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酸化ガリウムパワー半導体の実用化を目指した,放熱基板と原子レベルで接合した次世代複合ウェハの開発 【用途例】省エネ社会の実現に不可欠な「高出力・高周波数電力の低損失制御が可能なパワー半導体」が期待
現在カーボンニュートラルといった高い環境目標の達成のため、電力の制御・変換に半導体デバイスを用いる「パワー半導体」が注目されています。これにより消費電力を効率化できるため社会活用が始まっていて、2020年の2.8兆円の市場規模で、2030年に4.5兆億円になると予測されています(参考:富士経済プレスリリース第21055号)。
技術の発展の中で、右の表のように既存材料のSiよりも高い省エネ効果を持つ新材料の活用が注目されています。特に酸化ガリウムは日本が中心的な役割を果たしながら開発されてきた材料であり、パワー半導体として実用化されれば社会の省エネ化が大きく進むと期待されています。
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高精細ディスプレイを指向した超低消費電力・長寿命有機ELデバイス 【用途例】高精細なディスプレイ技術の開発
仮想・拡張現実などの人間の能力の拡張を支える技術や、スーパーハイビジョン映像システムの実現のために、国際的な色域規格である BT.2020 をみたす高精細なディスプレイ技術の開発が不可欠となっている。現行の有機ELでは、色純度の向上のために幅の広いスペクトルを光学フィルターで除去する必要があり、結果として大幅な効率の低下を招いている。有機ELを低消費電力な高精細ディスプレイへ応用にするには、①発光スペクトルが挟半値幅で色純度が高く、かつ、②低電圧・高効率・長寿命な有機ELを実現する必要がある。本研究では、挟半値幅有機ELの低く留まる寿命の解決に取り組む。具体的な研究項目は、①低消費電力化、②長寿命化、および ③新しい挟半値幅発光材料群の開発である。
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多糖結合ドメインを用いた酵素固定化と多糖多層担体の作製 【用途例】バイオリアクター・バイオセンサーの開発
近年、石油価格の不安定化や脱炭素化の流れから、様々な方面で酵素を用いたバイオ的手法での化成品製造が検討され始めています。しかしながら、共有結合を介する酵素と担体の固定化は、処理時に酵素が失活することがあり、使用できる酵素種を狭めています。本研究では、多糖結合ドメインを多連結して各種産業用酵素に融合し、活性を保持した状態で強固に多糖担体やフィルムに固定化する方法を開発します。さらに、認識多糖が異なる多糖結合ドメインを融合することで、別種の多糖間を接着して多層化させます。工業プロセスに耐えつつ、酵素と担体の結合を高度に制御して複雑な多段階反応を行える技術を開発する。
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音響収束による流路内のマイクロプラスチック等粒子の高濃度濃縮回収・分析システム 【用途例】マイクロプラスチックなどの微粒子の濃縮回収と材質分析を行う新しいシステムを構築
近年、微細なプラスチック片であるマイクロプラスチックが環境や生態系に与える影響が問題視されています。このマイクロプラスチックの分析調査や回収にあたっては、従来はメッシュを用いた濾過により行われてきましたが、この方法では微細粒子によるフィルタの目詰まりなどの課題がありました。
本技術は、微細な流路中で超音波を照射することにより、マイクロプラスチックをはじめとする粒子を流路中央に収束させて、濃縮回収することを可能とする技術です。この技術を用いることで、回収時におけるメッシュの目詰まりといった課題を解決するとともに、本機構を複数配置することで、マイクロプラスチックなどの粒子を高濃度かつ高流量で処理することが可能となります。
このマイクロプラスチックの濃縮回収装置を既存の装置や製品に組み込むことによって、洗濯排水や工場排水などの多くのマイクロプラスチック発生源からマイクロプラスチックを除去することを目指します。
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合金反応場設計に基づく超高耐久アルカン脱水素触媒システムの開発 【用途例】多元素合金ナノ粒子触媒
脱水素反応は、プロパンから基幹化学品であるプロピレンを合成する際に必要となる重要な化学反応です。
従来、この反応に対して、白金など貴金属元素を基盤とする触媒開発が行われていますが、プロピレンが分解され析出される炭素により急速な触媒の失活が課題となっています。本研究では、多元素合金ナノ粒子を精密に合成出来る技術により、世界最高レベルの耐久性と高効率な触媒の開発に成功しました。
今後は、触媒の工業的生産においても研究室内と同レベルの品質を確保し、プロピレンに限らず低級アルカン等の製造プロセスの省資源及び経済性の大幅な向上を目指します。
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波長選択制御を適用した高機能遮熱塗料の機械学習設計と応用開発 【用途例】波長選択制御によるふく射伝熱制御を幅広い場面に応用します
ふく射のナノマイクロスケール現象は新たな伝熱制御技術発展に寄与するものとして、盛んに研究されています。しかしながら、この研究分野は数値解析による研究が主であり、実験的なアプローチを試み、また実用化まで至っている研究は少ないのが現状です。本研究では、実用化への死の谷を越えられず、理論や解析に留まっていたふく射のナノスケール効果を現実に応用するための基盤技術を確立することを目指し、研究を進めてきました。粒子による光の散乱現象というミクロスケール現象の制御により、地球温暖化やヒートアイランド現象などのマクロスケールの環境問題の解決に貢献します。
太陽光エネルギーの約50%は近赤外光であり、人の目には見えません。この光を反射することによって外壁材の太陽光吸収を大幅に低減することが可能です。また、物体表面から放射される長波長赤外線を透過することにより、日射が強いときの家屋の冷房効果を増大する効果が得られます。景観のニーズに適した色を有しながら、近赤外光の反射を大きくし、長波長赤外線を透過するという理想波長選択を有する遮熱塗料の実現と社会実装を目指します。
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流動的な社会ニーズに対応するゼオライトのオンデマンド合成技術開発 【用途例】独自の知見・合成・解析技術を駆使したオンデマンドなゼオライト合成
吸着材や触媒として使用されているゼオライトは有用な工業材料であり、環境保全・省エネ・脱炭素に対する昨今の社会ニーズの急速な変化から、二酸化炭素分離・資源化触媒、ヒートポンプ・膜分離などの省エネルギー技術、土壌・排ガス・排水からの有害物質除去、センサー・デバイス部材など様々な新規用途開拓が進んでいます。一方で、この新たに生じる用途・市場に対して迅速に対応するためには、該当用途に必要な構造、組成、吸着・触媒機能を持ったゼオライトを選択し、合成段階からその特性を狙って制御していく必要があります。一方でこのようなオンデマンドなゼオライト合成は現状困難であり、ゼオライト自体の高い合成難易度や専門知見の不足から、試行錯誤的な研究開発が行われています。本研究では、合成中間体に着目したゼオライト合成手法および多角的な構造解析手法を駆使して、このような社会ニーズに迅速に対応可能なオンデマンドなゼオライト合成技術を確立し、さらにそれを企業が利活用可能なベンチスケールまで拡大することで、産業変革を加速させます。
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複合極限環境における革新的な試験技術の創出 【用途例】強磁場・大電流・極低温の3つの複合極限環境を実現する革新的試験技術を幅広い分野に適応
現在、様々な機器の電動化が進みパワーエレクトロニクス素子、磁性体材料、超電導材料の開発が著しく加速しています。そのような中、大電流、強磁場を用いた試験・製造設備が必要とされています。しかし、これまで大電流・強磁場を長時間に発生するには、大電力や冷却設備を必要としてきました。そこで本研究開発では、強磁場・大電流・極低温の極限環境を、瞬時かつ安定的に実現することで、飛躍的に低消費電力かつコンパクトなシステムを可能とします。
さらに本研究開発では、大電流・強磁場・極低温の極限環境を大学や研究所での特殊環境にとどめず、幅広い分野の産業への普及を目指しています。複合極限環境技術が拓くオープンイノベーションとして、EV等に用いられる永久磁石材料の高性能着磁技術の開発や、パワーエレクトロニクス分野の評価技術、超電導材料の評価技術への応用が期待されます。
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低原子価チタン化合物を用いたアルコールのC-OH結合ホモリシス法の開発 【用途例】有機合成の迅速化・簡略化
クロスカップリングやGrignard反応に代表されるように、現代の有機合成は有機ハロゲン化物や、そこから誘導される有機金属化合物を合成中間体とした分子変換反応に強く依存しています。本研究では、これらの合成中間体をアルコールで代替する手法を開発します。アルコールは、様々な誘導体が入手可能な最もありふれた有機化合物群の一つであり、上記の有機ハロゲン化物の原料です。したがって、これらを自在にC-C結合形成等の反応に利用することができれば、より直接的で簡便な有機合成が実現し、合成に必要な時間的・物質的コストを削減できると考えています。
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水電解電極・触媒の高性能化・省レアメタル化を実現する表面制御技術 【用途例】水電解酸素発生電極の高性能・低コスト化
大規模グリーン水素製造技術としてアルカリ水電解(AWE; Alkaline Water Electrolysis)が注目されています。しかし、アルカリ水電解のアノードでは酸素発生反応が起こり、カソードで起こる水素発生反応に対し反応を進行するためのエネルギーが多く必要なため、水素発生効率を向上しグリーン水素のコストを下げるためのボトルネックとなっています。
現在アルカリ水電解のアノードには、コバルトを含む酸化物触媒層を形成したニッケル系電極が使用されていますが、より資源量豊富な元素を中心として用い、より高活性な電極材料の開発が求められています。
本研究では、ニッケルやコバルトに対し資源量・コストの両面から優れるステンレス鋼に着目し、ステンレス鋼をアルカリ水電解アノードとして実用化するための表面改質方法を開発します。
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ファインバブル“超”発生技術の開発と応用 【用途例】“ファインバブルといえば水や空気”という固定観念からの脱却
ファインバブル(マイクロ・ナノオーダーの気泡)は、幅広い分野への応用研究が進められています。例えば、次世代の超音波造影剤の開発です。これは「倍音」をよく反射するというファインバブルの音響特性を活用するもので、従来は超音波での検査が難しいとされてきた血流の様子を観察することが可能になります。また体内のがん細胞にピンポイントに薬を届けるドラッグデリバリーシステムなど、医療分野での応用に大きな期待が寄せられています。
さらに、オゾンのファインバブルによる殺菌効果を利用した植物工場用の殺菌や、福祉の分野で期待される洗浄効果を持つバブルバスなど、その可能性はますます広がっています。
私は超音波伝達体であるホーンの内部に気体流路を設けた中空超音波ホーンを用いて、ファインバブルを発生させる超音波ファインバブル発生技術を開発しました。特段の複雑な設備導入を必要としない本技術によって、多くの分野においてイノベーションをもたらすことを目指しています。
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産業用モータ駆動インバータの高信頼化に資するセンサレス寿命診断システムの開発 【用途例】産業用インバータの高信頼化
持続可能なエネルギー社会の実現には、インバータをはじめとしたパワーエレクトロニクス(以下パワエレ)回路の普及拡大が必要不可欠です。パワエレは送配電設備や鉄道、ハイブリッド電気自動車などのインフラを支える根幹技術であり、今後も年率10%程度の市場拡大が予想され、膨大な数の機器が世界中で使用されることが見込まれています。パワエレ回路の故障はインフラの麻痺を引き起こすことになるため、従来とは桁違いの高い信頼性が要求されるようになっています。
パワエレ回路の中のキャパシタ(コンデンサ)という受動部品に着目し、電流センサレスの新しいモニタリング技術によって、大電力・高電圧パワーエレクトロニクス回路の信頼性向上を目指します。
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光を用いた交流磁界トモグラフィー装置の研究開発 【用途例】アルカリ金属を用いた光による磁気センシングは、光技術ならではの幅広い応用が期待される
デバイスを接近させるか置くだけで充電できる非接触給電装置の普及は著しいが、効率的な給電には送受信コイルの位置ズレを考慮したシステム設計および最適化が必要となる。本研究では、センサヘッド内を透過する磁界の三次元分布のうち、評価に有用な平面のみを選択的に断層イメージ(トモグラフィー)として画像取得することを目的とする。
実製品から生じる空間的な交流磁界のトモグラフィー画像によって、無線電力伝送デバイスの評価と伝送効率の向上が期待でき、省エネの促進やCO2削減についても期待できる。
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メカニカルメタマテリアルによる振動抑制を可能とする超軽量構造の研究開発 【用途例】軽量性と高度な材料特性・機能の制御性を活かした革新的な人工材料
本研究開発では、メカニカルメタマテリアルの①超軽量化可能性、②構造特性の高度制御性、③微視構造における荷重伝達の制御性の特性を生かし、航空機・自動車等の輸送機分野、家屋・ビル・道路・橋梁等の建設分野、オーディオ等の音響電器分野などにおいて、例えば、振動を抑えた快適な乗り心地(エンジン、モノコック・ボディ等)、生活空間で感じる振動を抑えた構造負荷軽減等の応用可能性・市場性の最も高い新材料技術の確立を目指します。
この新材料では、従来型の対症療法的な車体振動抑制のためのサスペンションやダンパー、これら追加機器に伴う全体重量増加やシステムの複雑化といった影響を低減する振動抑制デバイス・システムとは根本的に異なる設計・材料思想を採用する。振動抑制機能を有する素材構造から成る本体構造により、追加機器等による重量増加も抑えられ、システムとして簡潔化された革新構造設計が実現されます。
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パルスECTを搭載した水中ロボット(ROV)を用いた、海底送水管等の電磁気非破壊検査手法の開発 【用途例】目視では発見できなかった送水管等の漏洩箇所や漏洩する危険性のある個所の検査に活用
離島などの土地に生活用水を供給する役目を海底送水管が担っていますが、海中環境による腐食、損傷などによって送水管の寿命を短命になっています。そのため、水中にあるこれら送水管の検査が非常に重要となり、現状はROVによる外観からの目視検査と内挿型の内部検査によってメンテナンスを行っていますが、これら検査手法では配管の減肉状況を確認すること困難なため、適切な寿命評価が行えておらず、また、漏洩箇所等の把握も困難です。
本研究では、外観検査用カメラと共にパルスECTによる電磁気非破壊検査装置を搭載した水中ロボット(ROV)による検査の実現を目指しております。当該研究を実現することで、従来の人による目視での外観検査では発見できなかった漏洩個所や漏洩する危険性のある個所の発見をROVを用いて実現できるようになります。また、開発する電磁気非破壊検査装置はパルス磁界を用いるため、ROVを送水管に密着させる必要が無くなり、ある一定の距離が存在する場合(送水管まわりの付着物が存在する場合、等)であっても測定が可能となります。
これらにより、検査時間削減や人員コスト削減等による低コスト化の実現を目指します。
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