2021年度公募 seeds-1408 - 【中国・四国】 架橋点構造の精密設計によるリサイクル性汎用ゴム材料の開発
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VISION

ビジョン

加硫に頼らず、簡便にリサイクル可能な汎用ゴム材料で環境負荷の低減に貢献

ブタジエンゴムやEPDMなど、炭化水素系ゴム材料のリサイクルを実現

ブタジエンゴムやエチレンープロピレンゴム(EPDM)などの炭化水素ポリマーは汎用ゴム材料として知られ、自動車用のタイヤの他、ベルト・ホース・シーリング材などの工業用品、靴等の運動用品など、用途は様々です。しかし、これらの製品のほとんどは焼却処理されており、再生ゴムとして利用される割合は2割にも達しません。これは、これらの材料が非可逆的な加硫を経て製造されるためです。
資源循環型社会の実現が強く求められている現代において、廃ゴムを回収し、材料として繰り返し用いることで、石油や植生などの天然炭素資源の保護に貢献することは、ゴム産業において重要な課題です。本研究では我々の新しい重合技術を用いて、元のポリマーの構造をほとんど保ったまま、可逆的に形成可能な架橋点をポリマー鎖内に導入することで、これまでの汎用ゴム材料と同等以上の物性とリサイクル性を兼ね備えた材料を開発します。

USE CASE

最終用途例

既存ゴム材料を、より高性能なリサイクル性材料で置き換える

USE CASE 01可逆的に架橋可能な炭化水素系ポリマーを用いたゴム材料の開発

APPLICATION

APPLICATION

架橋位置の精密設計による高性能化、および架橋の可逆性による長寿命化・リサイクル性の付与

本研究で開発するゴム材料の主構造には、既存材料と同じものを用いることができます。既存材料の構造的特徴を保ったまま、架橋点の位置が精密に制御できること、可逆的な架橋が可能なことによって、物性の改善とリサイクル性を同時に達成することができます。

STRENGTHS

強み

化学的に安定なホウ素架橋点の導入技術

STRENGTHS 01

ホウ素モノマーの共重合技術により、主鎖炭素に強く結合した架橋点の導入に成功

演示実験でお馴染みの「スライム」に代表されるように、ホウ素化合物を用いたポリマーの可逆的な架橋は、安全で信頼できる手法ですが、耐久性に問題がありました。本研究の共重合技術を用いることで、主鎖に強く結合し、ポリマーから脱離しにくいホウ素架橋点を、あらゆるポリマー鎖の望みの位置に、望みの集積度で導入できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

あらゆる汎用ゴム材料に適用可能な共重合技術

TECHNOLOGY 01

既存ゴム材料を合成する触媒でそのまま利用可能な架橋点形成モノマー

ブタジエンゴムには希土類触媒、EPDMにはチタンやジルコニウムと、ゴム材料の原料となるポリマーの合成に必要な触媒は異なります。それぞれの触媒に適したモノマーを開発したことで、あらゆるポリマーに対してホウ素架橋点を導入することに既に成功しています。

PRESENTATION

共同研究仮説

ゴム材料の長寿命化だけでなく、高性能化も同時に実現したい

共同研究仮説01

タイヤ・ホースなど汎用材料から自己修復材料まで、あらゆる用途での検討に

リサイクル性に加えて、明確な架橋位置・集積度を持つゴム材料を提供可能な点も、本研究の大きな特徴の一つです。実用化を見据え、構造的特徴と求められる物性の関連性を明らかにすることができます。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

田中 亮 広島大学 工学部第三類 応用化学プログラム
経歴

2011年 東京大学大学院 工学系研究科 博士課程修了
2010年〜2012年 日本学術振興会 特別研究員(DC2, PD)
2011年〜2012年 フンボルト大学ベルリン 博士研究員
2012年〜2021年 広島大学工学部 助教
2021年〜 広島大学工学部 准教授(現職)

研究者からのメッセージ

複雑なゴム材料の科学に、ポリマーの一次構造からアプローチしたい

ゴムは複雑な配合物ですが、その組成をできるだけ単純化できれば、環境負荷の低減・高性能化に繋がると考えています。ポリマーの一次構造制御という立場から新材料の開発に取り組んでいきたいので、ご興味のある方は是非お声掛けください。