2021年度公募 seeds-1447 - 【北海道・東北】 セラミックス蛍光コーティングで開拓する次世代インフラ
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VISION

ビジョン

セラミックス蛍光コーティングで開拓する次世代インフラ

インフラストックへの機能性セラミックス蛍光コーティング

①施工当時と同様の機械的強度を有し、②輝度5mcd/m2以上、60分後の最低燐光輝度60mcd/m2(JIS規格)の高輝度発光、③1500度級の高温暴露に耐えうる機能性セラミックスコーティングを実現します。
将来負担を軽減する維持管理技術を導入し、安全で強靭なインフラへの変革が喫緊の課題となりつつあります。今後、世界規模で日々増加するインフラストックへの補修・補強技術は、低環境負荷で、環境非依存的かつ簡便な後施工であることが望ましいと考えます。H28年の国土交通省の発表では、建築後50年を経過する道路橋が2033年に68%になるという報告がある。全体のインフラメンテナンス市場は、世界で200兆円の市場、日本でも5兆円市場になるという算出があります。インフラストックは、1973年のオイルショックごろまで続いた高度成長期、その後の20年の安定成長期の時代に大量に建設されました。笹子トンネル天井板落下事故のような事故を背景に、高齢化したインフラの大規模修繕や更新の計画が急務であると考えます。

機能性セラミックス蛍光コーティングが生み出す日本発コンクリートの3R(Reduce/Reuse/Recycle)

インフラストックを新しいコンクリート構造体として舗装すると仮定すると、今後大量のコンクリートを生産することに伴い、大量のCO2発生が大いに予想されます。WBCSD Cement Sustainability Initiativeの発表によれば、2050年における世界のセメント産業のCO2排出量予測は、5000百万トンとの予想が出されました。また、国際エネルギー機関(IEA)の報告(『Energy Technologies Perspective 2008』)により、世界各国のセメント産業の削減ポテンシャルが算出されました。世界トータルで、4.5億トンであり、セメント1トンあたりの削減ポテンシャルを見ると、日本においては、0.06です。現行のアプローチでは、CO2削減の世界貢献は、現実的ではないととらえました。もし、インフラストックが従来の機能以上の性能を回復することができれば、コンクリート舗装普及以上のCO2削減効果が期待できるのではないかと考えました。環境に依存せず、環境負荷が少なくかつ簡便で後施工できる補修・補強技術により、セメントの新規製造量を低減する技術を世界に先駆けて提案します。

USE CASE

最終用途例

蓄光体コーティングが生み出す、安全・安心な次世代インフラの提案

USE CASE 01地下構造物や夜間の建屋内等での避難経路誘導

APPLICATION

APPLICATION

蓄光体コーティングでみなさんの緊急時をサポートします。

災害時や停電時において、電源を必要としない蓄光体による避難誘導標識が注目を浴びています。蓄光体粉末は高価、かつ塗布面や樹脂の表面近傍に存在する粉末のみしか光りません。蓄光体コーティングで構造物全面に形成し、暗闇でも光り続けさせます。

USE CASE 02構造物のリアルタイム応力異常検出・応力履歴記録システム

APPLICATION

APPLICATION

蓄光体コーティングで構造物の亀裂、損傷を早期に発見し、安全管理に貢献します。

現在、全道路橋に対する5年に1回の近接目視点検が義務化されています。蓄光体コーティングでは、構造物の補修に加え、その蛍光特性を面的連続データとしてリモートセンシングすることでマイクロ亀裂の検出、橋梁の毀損部位の診断、パイプラインの健全性・寿命評価などが期待できます。

USE CASE 03人の視認性や反応時間や制動反応をサポートするシステムの提案

APPLICATION

APPLICATION

蓄光コーティングで車中での夜間視認性を向上させます。

夕暮れ時の事故発生率は「昼間の約4倍」と言われます。本事業では、ドライバー運転をサポートするために暗い場所では青色は鮮やかにみえる(プルキニェ現象)ことに着目しました。青色の蓄光体コーティングで例えば、90-140m程度の車中での夜間視認性を向上させ、走行安全性を劇的に高めることができるのはないかと期待できます。

STRENGTHS

強み

独自技術で切り開いた、次世代インフラの輪郭

STRENGTHS 01

構造物をオンサイト(その場・ピンポイント・瞬時)にハードとして補修し、更にソフトとして蛍光性(=「視認性」)を付加できることを発見した

「わが国の老朽化し続ける道路などのインフラストックを如何に生かしていくか?」と考えたとき、構造物(コンクリート)の表面を光らせることを発想した。申請者の属するグループでは、金属錯体溶液をモルタルに塗布し、バーナーで瞬間的に強熱すると金属錯体溶液を塗布した部位がセラミックス蛍光体に変化することを見出した。

TECHNOLOGY

テクノロジー

セラミックスコーティングの構造物への汎用的な適用 

TECHNOLOGY 01

キレート錯体水溶液と燃焼炎を組み合わせたシンプルなコーティング技術を構造体へ適用する

セラミックス蛍光体は高融点、高絶縁材料です。従来の構造物に対する表面被覆は、重層構造を要し、また温度や湿度による制約が大きいです。また、表面含浸は、温度や天候による制約が大きく膜組織の緻密化または固化に時間を要します。そこで施工時の環境に影響されず、短時間施工が可能な単層のセラミックス被覆を提案します。

TECHNOLOGY 02

独自の塗布・強熱プロセスを利用して、キレート錯体溶液がセラミックス蛍光体に変化する

Eu2+のf-d遷移則の基づく青~緑の蛍光体とするには一般的には高温の還元雰囲気下での熱処理が必要となります。水酸素炎は還元炎であるため、Euキレートを水酸素炎で熱分解するとEuはEu2+として存在することが可能となり、一度の熱処理で容易かつ迅速にEu2+を賦活剤とする金属酸化物蛍光体を得られます。

PRESENTATION

共同研究仮説

オンサイトセラミックス蛍光体コーティング技術

共同研究仮説01

キレート錯体水溶液の塗布・強熱で瞬時に蓄光体ができます

Euキレートを水酸素炎で熱分解すると一度の熱処理で容易かつ迅速にEu2+を賦活剤とする金属酸化物蛍光体を得られます。予備実験で目視できるほどの蓄光性を有する、Eu2+のf-d遷移則の基づくCa-Al-O:Eu2+,Nd3+青色蓄光体を作製できました。

共同研究仮説02

その場施工可能な機能性セラミックスコーティング

セラミックスは高融点、高絶縁材料であり,近紫外〜可視域に高い光透過性という特性があります。従来の表面被覆法では、度や湿度による制約が大きいです。そこで施工時の環境に影響されず、短時間施工が可能な機能性セラミックスコーティング技術を提案します。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

小松啓志 国立大学法人長岡技術科学大学 物質材料工学専攻
経歴

2013年  3月  長岡技術科学大学 材料工学専攻 修了
2013年  4月  長岡技術科学大学 研究員
2013年  5月  長岡技術科学大学 産学連携研究員
2014年  10月  長岡技術科学大学 技学研究院 物質材料工学専攻助教

研究者からのメッセージ

老朽化し続けるインフラストックをセラミックスコーティングで活性化

本研究では、コンクリート劣化対策と道路夜間走行時の安全性向上の同時達成を目指します。金属イオンをキレートした溶液をコンクリート上で塗布・乾燥し、酸水素バーナーで強熱すると、強熱した部位の溶液が化学反応して青色残光を発現できます。