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植物のバイタルサインを監視するワイヤレスIoTデバイスの実現を目指したセンシング技術 【用途例】植物のバイタルサインは、農業分野、環境分野、研究・教育分野など、幅広い用途のアプリケーションに期待
農作物の生産現場では、インプットである栽培環境のモニタリングや制御技術が発達している一方で、アウトプットである植物のバイタルサインのモニタリングや評価技術が未発達であるために、植物の生育状態を環境制御にフィードバックするような栽培管理の高度な自動化が実現できていません。
植物の外観から病害を検出したり収量を予想したりする技術が開発されています。一方で、植物の外観からは環境に応じてダイナミックに変化する植物体内の生理情報を取得できません。また、軽度なストレスだと、外観に影響が現れるまでにタイムラグがあります。こうしたことから、画像計測のみでは緻密な栽培管理が難しい現状があります。
施設園芸や植物工場においても、作物の栽培環境や生育は不均一です。また、作物の生育段階によって環境応答は異なります。そこで、作物の生育に合わせた栽培環境の最適化やストレス処理による高付加価値化(果実の糖度向上など)を実現するには、植物の環境応答を高時空間分解能でセンシングする必要があります。
私は、植物の環境応答をリアルタイムで計測できる小型・低消費電力・低コストのセンシング技術を開発しています。
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低品位シリカの熱プラズマ中インフライト還元による金属シリコン製造 【用途例】プラズマを用いたインフライト処理技術を用いて
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの重要性が益々高まっている中で、大量の太陽光発電用高純度シリコンが必要となる見込みです。高純度シリコンの製造には、シリカ原料からの金属シリコン(MG-Si)の製造が最初のステップとなりますが、エネルギー多消費かつ二酸化炭素を排出するプロセスです。本研究では、熱プラズマの超高温を利用したインフライト水素還元プロセスの着目することで、エネルギー効率に優れる金属シリコン製造方法の確立を目指します。
従来技術である炭素電極アーク炉(電炉)では、一度還元されたシリコンが再び部分酸化されるなど、複雑な再循環の過程を経るためにエネルギー効率が低く、大量の二酸化炭素を排出する点が大きな課題点です。そこで本提案手法では、高温・高化学活性の熱プラズマ中でのインフライト処理に着目しました。数十~数百マイクロメートルのシリカ粉末を熱プラズマに投入することで、再循環の抑制、反応時間の短縮が可能となるため、エネルギー効率に優れ、CO2を排出しない革新的な金属シリコン製造方法が確立できると考えます。
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ナノスケール生体ダイナミクスのその場精密計測法の実用化 ~液中試料のナノスケールの構造と動きを走査型電子顕微鏡で計測する~ 【用途例】ナノスケールの構造と動きを計測することで、各種研究開発の加速と、検査・診断の改善を可能にします
生命現象や機能性材料の重要な性質は、あらゆる力のオーダーが揃うために複雑な相互作用が生じる、ナノスケールダイナミクスから創発されます。実は、このナノスケールダイナミクスを計測する方法の欠如、著しい制約が、各種分野の研究開発のボトルネックとなっています。我々は、液中試料をそのまま電子顕微鏡で観察し、構造と動きを観察可能とすることで、このボトルネックを解消しました。具体的には、電子線透過性と変形性に優れたナノ薄膜を作成し、試料を覆うことで、ナノ薄膜が透明マントのように観察の邪魔をせず、液中状態を保ったままの試料のダイナミクス観察を可能とする方法を開発しました。作成した薄膜をDET膜(Deformable and Electron Transmissive Film)、この薄膜を用いた電子顕微鏡ライブイメージング法をDET膜法と命名しました。現在開発したDET膜は光透過性も高いため、同じ試料の分光計測等の光学顕微鏡計測も可能とします。我々は、このDET膜法の利用と改良を進め、「液中試料の電子顕微鏡ライブイメージング」という顕微鏡計測の新基準を打ち出そうとしています。
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安全運転支援と歩道地図作成の両方を実現するモビリティ搭載モジュールの開発 【用途例】コンピュータビジョン技術に基づいたセンシングは,安全運転支援分野や,歩道地図作成分野など,さまざまな用途で活用
日本では高齢化が進んでおり,2030年には約3割が高齢者となる社会に突入することが推計されています。また,近年の乗用車による危険運転を背景として,運転免許証の自主返納の動きが広がっています。免許返納後,地方では公共交通網が脆弱であるために生活機能維持が難しくなっています。そのため,後期高齢者を始めとした買い物弱者の自立的移動のためのモビリティ確保に向けた対策が求められています。
私は,電動車いすの利用において,運転時に危険・不安となる事象をあらかじめ検出し,それらを運転者に知らせる安全運転支援機能と,危険・不安事象を反映させた自動歩道地図作成機能を,コンピュータビジョン技術に基づいて実現しようと開発に取り組んでいます。
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学習・労働支援のための非接触センサビッグデータを用いた心的状態推定システムの開発 【用途例】室内環境と心的状態との関係を解明することによって、よりよい作業環境を提供
メンタルヘルス対策、学習・労働の作業効率化、および人為的作業ミス対策として、ストレスや疲労感、快適感、感情的覚醒度などの人の心的状態の把握と環境改善が重要です。心的状態を推定する技術は、近い将来に向けて、自動車メーカ、医療メーカ、家電メーカ、さまざまな企業が注目している技術です。心的状態推定技術は、製品やサービスを利用する人の感情に応じて個別最適化するシステムやサービスへの応用が期待されており、新しい製品やサービスを生み出し、開発の在り方も変えるインパクトを持っています。
本研究では、労働環境・教育研究環境における心的状態の把握と改善に向けて、非接触型環境センサデータのみ用いて心的状態を推定するシステムの高度化(高精度化、汎用化、心的状態の時系列予測技術の開発)を目的とします。本研究において、実用化に向けた研究開発を進めることによって、メンタルヘルス対策、学習・労働の作業効率化、および人為的作業ミス対策だけではなく、個別最適化技術を用いたさまざまなサービスへの展開が可能となります。
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合成エラスチン: 機能性ファイバー・ゲルを形成する人工タンパク質
【用途例】安心で高品質なエラスチンを、
医療、化粧品、食品、次世代デバイス等、幅広い分野へ
生体組織に弾性・伸縮性を与えるエラスチンタンパク質は、コラーゲンやヒアルロン酸と並んで重要な細胞外マトリックス成分ですが、抽出法や化学合成法が確立されておらず、実利用・普及に至っていません。本研究開発では、自己集合してナノファイバーやハイドロゲルを形成し、エラスチンの機能を再現できるタンパク質・ペプチドの最小アミノ酸配列を探索し、その化学合成法を確立します。合成エラスチンが実現すれば、社会、産業においてエラスチンを利活用する道が拓かれ、機能性化粧品や食品、細胞培養基材、実験用モデル組織、人工血管、創傷治癒、ウェアラブルデバイス用素材等、多数の応用につながると期待されます。
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次世代CAE技術の開発による構造物の状態可視化・健全性予測のデジタルツイン技術の構築 【用途例】高効率の構造シミュレーション技術を活用しデジタルツインシステムや実大構造物の予測
Society 5.0として注目されている技術では、AIとIoTによるセンサーを活用し現象を学習・予測しますが、センサーのない箇所までは対象にできません。機械やインフラなどの構造物には様々な力がはたらくため、IoT技術のみでは構造全体の状態の把握が難しくなります。また、AIの学習にも、センサーから得られる計測データを使用するため、長時間を要します。
この研究では、構造シミュレーション手法であるCAE技術を積極的に活用し、データ科学の手法と融合させることで、構造物の状態把握におけるセンサーと学習時間の問題の克服するデータ駆動型CAE技術の開発を目指します。しかし、従来のCAE技術を用いて構造物の予測するためには、大型コンピューターを用いた長時間の計算が必要になり、データ科学の手法で必要とされる膨大な数のシミュレーションを実行が難しくなります。そのため、この研究では、独自の高効率なシミュレーション技術である「理想化陽解法FEM」により、計算量の壁ともいえる問題を克服し、Society 5.0の技術に加えて物理現象のモデルを活用したSociety 5.1技術体系を構築します。
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希少細胞の1細胞分取技術の向上と、ハイドロゲル3Dプリントを利用した灌流マイクロ流路技術の構築 【用途例】希少な細胞の1細胞分取とオルガノイド培養技術で、細胞機能評価、がん診断、創薬開発に貢献
雑多な中から特定の細胞を効率よく1個単位で分取する独自の細胞分取システム「レアセルソーター」の開発をしています。レアセルソーターは、直径18 µmのマイクロピラーアレイが施されたチップにサンプルを注入し、特定の細胞に対してサイズ・変形能の違いから篩分け,さらにそこから個別に細胞を分取する技術を備えています。本技術は、シンプルさゆえに低コスト化・高速化はさることながら、高純度かつ“生きたままの細胞”を処理産物として提供することが可能です。本研究では、当該1細胞分取技術の向上と、このように分取してきたプライマリー細胞をEx Vivoで培養アッセイする技術の確立を目指します。
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機能集積型固体触媒による芳香族化合物の環境調和的な新しい合成・変換技術の開発 【用途例】芳香族化合物は液晶, 香料, 機能性高分子, 染料, 医農薬品, 繊維, 有機ELなど幅広い分野の素材として注目
芳香族化合物は液晶、香料、機能性高分子、染料、医農薬品、繊維、有機ELなど幅広い分野で我々の社会を支え、身の回りの至る所に存在するきわめて重要な化合物群です。芳香族化合物合成の大量合成では (バルクケミカル合成)、ベンゼンとプロピレンと酸素からフェノールとアセトンを合成するクメン法や、アンモニアを硝酸に変換し硫酸との混酸によりベンゼンをニトロ化した後水素還元してアニリンを合成する手法などが有名ですが、化学工業的に高効率に設計されているものの、多段階合成・多量の試薬・高温/高圧等を必要とするエネルギー多消費型プロセスとなっています。化学反応として本質的に環境負荷が大きいことが原因であるため、環境にやさしい新反応経路を開発して置き換える必要があります。そこで、本研究では、脱水素芳香環形成反応というシクロヘキサノンやシクロヘキサノールといった非芳香族化合物から芳香族化合物を合成する新反応に着目しました。例えば、アンモニアとシクロヘキサノールを基質としたアクセプターレス脱水素芳香環形成反応による選択的な第一級アニリン合成が実現できれば、すでに工業化されているプロセスと組み合わせることで、形式的にベンゼンとアンモニアからアニリンと水素を合成する理想的なプロセスになります。
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物体表面の音響透過損失制御による流体機械の省エネルギー化 【用途例】SDGsの達成に向け、流体関連機械の低損失化・低騒音化は必要不可欠
流体によるエネルギーロスや騒音の発生は大きな課題としてとらえられ、様々な観点から長く研究が行われてきました。しかし、長い歴史を持つがゆえ、その研究成果は限界を迎えつつあり、大きな効果を得る手法の提案は難しくなっています。そこで本研究で目を付けたのが、物体表面の音響透過損失の制御による流体の制御です。
エネルギーロスや騒音の発生を低減するための流体の制御と言えば、境界層や渦の制御がパッと浮かぶ方もいらっしゃると思います。確かに、例えば物体表面から空気流を吹き出すことや、物体の形状を工夫することで、これまで多くの、有益な流体制御効果を得てきました。しかし、先述の通り、最適化技術やAI/機械学習技術の進歩もあり、例えば物体形状の工夫や最適化によるエネルギーロスや騒音の発生の低減は限界を迎えています。
このような背景から、これまで当たり前であったことを当たり前としない、既成概念を捨てる考えにたどり着きました。それが、物体表面の音響透過性の制御です。音響透過性の制御とは、すなわち圧力波の通りやすさを意味します。物体の表面では基本的には圧力波を全反射するものとして議論しますが、表面の素材を変え、音響透過性を高めることで、従来の流体に関する運動方程式を変え、流体を制御し、今までと異なる制御効果を得ます。
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カーボンニュートラルに向けた低温作動を可能にする固体酸化物形燃料電池の開発 【用途例】素材の力によるカーボンニュートラルの実現
燃料電池は、水の電気分解の原理を利用し、水素と酸素を化学反応させることで、水と電気(エネルギー)を発生する装置である。CO2などの有害な排出物が無く、環境にやさしいエネルギーであり、非常に高い発電効率を示します。特に、固体酸化物形(Solid Oxide Fuel Cell, SOFC)の発電効率は60%と現在主流である固体高分子形(Polymer Electrolyte Fuel Cell, PEFC)よりも高く、貴金属触媒を必要としないという利点を持つ。一方で作動温度(700~1000℃)が高く、それによる起動性の悪さや高価な耐熱性材料を用いることによるデバイス価格の上昇という問題がある。そのため、より低い温度で高い発電効率で作動するSOFCの開発が求められており、特に150℃以下で作動するSOFCが実現されれば、カーボンニュートラルの実現に向け、画期的なブレークスルー技術となると言われている。本研究では、新たな電解質材料の創成と薄膜化について挑戦することで、150℃以下での高効率発電を実現する燃料電池を開発する。
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ナノシート積層型有機溶剤ナノろ過膜の開発による省エネルギー溶剤回収 【用途例】ナノシート積層膜の産業応用プロセス
化学品製造プロセスにおける有機溶剤等の分離・濃縮において、膜分離法は相変化を伴わない分離法であり、蒸留法と比べて大幅な省エネルギー化が可能です。しかしながら、市販の有機溶剤ナノろ過(organic solvent nanofiltration: OSN)膜は溶剤透過性が不十分であり、そのため現状では普及が進んでいないのが現状です。
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天然由来の細胞構造を利用したスポンジ木材の開発 【用途例】スポンジ木材は建築、家具分野だけではなく、樹脂やゴム等、柔らかい素材が使われる幅広い分野で利用可能
主に建築材や家具材として利用される木材は、密度の高い樹種や、物理的・化学的処理で高密度化した木質材料など、力学的強度に優れたものが一般に高品質とされています。これらの木材は、世界的な資源の枯渇や生産エネルギーコストが高く、利用が難しくなっています。今回開発した素材は、一般には価値が低いとされる低密度材を使って、非常に簡便な処理で木材をスポンジ状態まで柔らかくすることが可能です。処理条件や使用する樹種によって柔らかさを調整できる可能性があり、幅広い用途が期待できます。
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還元鉄製造プロセスにおける廃プラスチックおよび木質バイオマス有効利用技術の開発 【用途例】廃プラスチックおよび木質バイオマスの有効利用と還元鉄製造
現在、日本国内では年間約900万トンに廃プラスチックが排出されています。このうち約260万トンの廃プラスチックが単純焼却等により処理され、多くのCO2を排出し地球温暖化に加担しているのが現状であり、国内での再利用が急務です。また、年間約950万トン発生する間伐材等の林地残材は75%程度が未利用であり、この林地残材をはじめとする木質バイオマスのさらなる有効利用についても検討する必要があります。このような廃プラスチックおよび木質バイオマスは水素を多く含有する水素含有廃棄物であり、石炭などの化石燃料の代替原料としてリサイクルが可能であると考えます。そこで、本研究では、回転炉床炉などを用いた還元鉄製造プロセスに着目し、還元材・燃料として使用される石炭粉の代替として廃プラスチックおよび木質バイオマスを有効利用可能な技術の開発を目指します。
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CCUS機能を有する革新的バイオマス処理型電気バイオリファイナリープロセスの開発 【用途例】廃水処理システムへの適用による廃水の有価物変換システム化
革新的廃棄物系バイオマス処理用「電気バイオリファイナリープロセス」の確立と社会実装を目指すそのシステムの構築を目的としています。この技術は2050年カーボンニュートラル達成に大きく寄与することが期待されます。プロセスの構成原理は、ゲノム編集を行った微生物を利用した「カーボンネガティブなCO2固定」と「固定に必要なエネルギー生成」応用微生物共役系です。研究成果として、エネルギー自立型CO2無排出廃水処理・有価物生産プロセスが確立されます。本事業のマッチングサポート期間では、利用する微生物のゲノム編集等の技術等によるその特性の向上・システムの最適化を行うとともに、研究成果の社会実装を目指した共同研究を行う企業とのマッチング形成を図っていきたいです。
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