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過酷環境で使用できるタフネスと自己修復性を両立した高分子イオン液体ゲル材料の開発 【用途例】イオンゲルはハイドロゲルが適用できない過酷環境で使えるソフトマテリアルとして注目されている
ソフトアクチュエータに代表されるフレキシブル電子デバイスの素子として、優れたイオン伝導性や不揮発性を有するイオンゲルが注目されています。イオンゲルは高分子の三次元架橋ネットワークにイオン液体を含むソフトマテリアル材料です。その実用化には、長期間劣化せず、繰り返しの変形に耐えうる「タフネス」や多少の傷なら自然に修復される「自己修復性」が求められます。しかし、基本的に両者の間にはトレードオフの関係があり、それらを両立して機能発現することは困難です。また、多くのイオンゲルは、親水性高分子骨格を多く含むネットワークであるため、イオン液体自体が疎水性であっても、時間経過とともに吸湿して機能低下をもたらすことが問題となっています。
本研究では、イオンゲル骨格として、ナノ材料と高分子イオン液体を複合したダブルネットワーク構造に着目し、ネットワーク構造に立脚した材料設計により、「タフネス」「自己修復性」「高イオン伝導性」「撥水性」などの有用な物性を広範な温度域で発現する新奇イオンゲルを開発します。
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赤潮原因藻類を自動計数できるシステムの構築 【用途例】「自動藻類識別・計測システム」で赤潮から海を守る
2021年10月北海道の太平洋沿岸で赤潮が発生し、壊滅的な被害をもたらしたことは記憶に新しいですが、赤潮被害は継続的に世界で発生しており、有害な赤潮原因藻類は常にモニタリングの対象となっています。しかし、藻類の識別作業の基準は各個人の記憶を頼りにしており、熟練の専門家でなければ難しく、初心者の場合は識別精度の低下・作業時間の長期化等の問題が発生しています。本研究開発では、赤潮モニタリング作業をAIシステムによる作業へ切り替えることで、作業の品質向上、時間の短縮を図ると共に経験の差による精度・作業時間のばらつきの解消を実現することを目的としています。AIシステムには物体検出アルゴリズムを適用し、藻類の自動識別及び計数が可能となる想定です。
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経皮感作予防を目的としたアレルゲン遮蔽装具および繊維素材 【用途例】効率的にアレルゲンから皮膚を守る
食物アレルギーの発端であるアレルゲンが体内に侵入して最初の免疫反応を生じる“感作”は経皮的に生じることから、食物に触れる機会の多い食産業従事者は食物アレルギーのハイリスク群と考えられ、実際に症例報告もあります。この“職業性食物アレルギー”の存在は食産業従事者の健康だけでなく就労の継続の観点からも問題視されます。食糧確保は人が生きていくうえで必須であり、食産業従事者の健康と仕事を守るため、食物アレルギーを予防する技術・方法が必要です。私はアレルゲンから皮膚を守るための方法として適切な素材を用いた装具の開発および職業性食物アレルギーの啓蒙とアレルゲン曝露防止方法の普及によって、食物アレルギー患者を減らしたいと考えています。
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空飛ぶクルマの空力設計DXと実機飛行 【用途例】電動化された新しい移動手段「空飛ぶクルマ」
「脱炭素」「カーボンニュートラル」と言った用語を頻繁に耳にするようになりました。活用エネルギー資源の転換による環境配慮が世界的に推奨され、陸上移動手段としては従来のガソリン車が電気自動車(EV)等に代わろうとしています。このEV普及や蓄電池技術の発展を受け、点と点をダイレクトに結ぶ空の移動手段として、電動かつ自動の「空飛ぶクルマ(eVTOL, electric-Vertical-Take-Off-and-Landing)」の開発が国内外で活発化しています。その市場規模は2040年までに約100兆円以上になるとの予測があります。本研究では、この空飛ぶクルマの標準機体を最新の流体シミュレーション技術および風洞実験を駆使して設計し、提案します。そして実機を製作し飛行試験を行う事を予定しています。医療、離島輸送、渋滞緩和、レジャーからスタートし、将来的には誰もが身近に利用できる移動サービス(Maas)の提供を目指します。また我が国の空飛ぶクルマ研究全体を推進し、産業として定着させる事を想定しています。
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単一細胞とナノリットル溶液を操作するマルチピペットアレイの開発 【用途例】マルチピペットアレイ開発によるハイスループット実験の実現
単一細胞解析技術は、単一細胞レベルでの遺伝子発現やそれを制御するメカニズムをDNAレベルで詳細に解析する技術です。単一細胞解析市場は成長を続けていて、主な要因は製薬・バイオテクノロジー業界における研究開発の増加、個別化医療への注目の高まり、幹細胞研究の成長、がんの有病率の上昇などです。単一細胞解析製品のコストが高く、単一細胞解析市場の成長を阻害する大きな要因となっています。ここでより低コスト、容易に単一細胞を扱うツールを開発し、細胞治療につながる細胞間相互作用を調査します。
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次世代エレクトロニクス技術へ貢献するための大気圧プラズマを用いた新たな電気接合技術 【用途例】表面処理・接合技術・ナノ粒子修飾を大気圧プラズマにより簡便に,短時間に
従来のウェアラブルエレクトロニクスの電気接合は,紫外光などで簡便に接合ができる一方,接合するための導電性接着剤の電気抵抗が大きいため,機器の小型・軽量化の妨げにつながります.一般的に電気抵抗の小さな接着剤は加熱処理が必要ですが,ウェアラブルエレクトロニクスに用いられる有機材料を加熱することが難しいことが課題の一つです.この課題を解決するために,化学反応性の高い大気圧プラズマを用いて,加熱フリーな導電性接着剤の接着法の開拓を行います.
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金属スクラップのリサイクル促進を志向した,錯体混合溶液による溶液溶射技術 【用途例】機械・インフラ分野での耐食性・耐摩耗性皮膜を,環境負荷を低減しつつ安価に製造できる溶射技術を実現したい.
工業製品の耐食性と比強度を高めるため,チタン合金の使用は増加している。一方で,鉄鋼材料に比して,チタンおよびチタン合金のリサイクル方法は未成熟である。酸化チタン皮膜の安価な製造法として,かつチタン材料の新たなリサイクル法として,チタン切削屑から酸化チタン原料を得て,溶射原料として活用することが考えられる。提案技術は,工業的にスケールアップが容易な溶射を活用するため,酸化チタン皮膜の安価な製造法としても展開できる。
これまでに,溶液プラズマ溶射法(SPPS)によるリン酸カルシウムや酸化チタン皮膜の製造に成功している.また,酸化チタン皮膜は光触媒特性を示し,特に可視LEDによる抗菌性を発揮するなど,耐食性・耐摩耗性のみならず機能性材料としても使用しうることが見出されている.
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新材料デザインのための機械学習を用いた結晶構造探索システムの開発 【用途例】新材料設計の基盤ツール
安定構造を予測する手法は結晶構造探索手法と呼ばれ、リチウムイオン電池や水素貯蔵物質などのエネルギー材料、超伝導物質、半導体および磁性体材料といった様々な産業における新材料設計の基盤ツールとして期待されています。我々が開発しているオープンソースソフトウェアのCrySPYを用いれば、第一原理計算や原子間ポテンシャルによる構造最適化を利用することで簡単な入力から安定構造を予測することが可能です。従来の手法では、ランダム構造か進化的アルゴリズムで構造を生成するのが主流で、いつまで探索しても安定構造が見つけられないこともありました。この問題を解決するため、網羅的に構造を生成して、スクリーニングおよび選択型アルゴリズムにより最安定構造または準安定構造を効率よく探索する手法を開発します。開発した手法はツールとして提供可能なレベルにして、実際に新材料設計の応用を目指します。
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持続可能な環境保全に貢献する新規アンチエイジング化粧品素材の開発 【用途例】アンチエイジング作用を持つ化粧品や健康食品の新規素材として利用
薬用として使用されている素材のほとんどは中国からの輸入に頼り、国内での生産はハトムギ、センキュウやアロエはおこなわれているが確保できる土地、環境や気候条件もあり全体でみると約12%にとどまっている。一方で我が国は四方を海で囲まれ豊富な海洋資源に恵まれている。そこでこの利点を生かし、海水で栽培することができる海藻から有用な素材を創出することで100 %国産の機能性素材を開発する。また本開発で用いる海藻は増殖が早く、新たに増加した炭素化合物の炭素はCO2由来であることが確かめられており、海藻の利用価値を創出してその栽培を拡大することでカーボンニュートラルな社会の実現に貢献したい。
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安心・安全・快適生活の向上を目指した再生機能を有するオーダーメイド抗ウイルス機能表面の研究開発 【用途例】表面偏析技術を使った再生修復機構を組み込むことで、材料機能にメンテナンスフリーに
我々の研究グループではポリマーブラシ構築技術を用いて、金属、セラミクス、繊維などあらゆる物質と形状の表面にイオン性のポリマーブラシ(イオンブラシ)を安価かつ容易に付与し、ウイルスを不活性化できる表面の構築を進めています。ブラシの分子設計と合成及び実際のウイルスを用いた不活性評価によって最も不活化性能に優れるブラシ構造を選定し、ブラシの強靭性、耐久性の特徴を活かし、日常生活において年単位で抗ウイルス効果を保ち、洗濯耐久性を有し、無色透明のウイルス不活性化コーティング開発を進めています。また、我々が近年開発した ABA 型トリブロックポリマーを用いた表面偏析による表面に形成されるループブラシ(PCT/JP2018/008126)をウイルス不活化技術へ転用し,ループブラシの脱落などが生じた場合においても基材内部より新しいブラシが出現する不活化機能が再生可能な技術の開発を合わせて実施しています。
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高性能と長時間運転の両立実現を目指すSOFCアノードへ添加する酸化物助触媒研究 【用途例】水素社会をリードする次世代エネルギーデバイスSOFCを開発
SOFCの性能と安定性の両立のために、安定性確保のための組成であるNiO: YSZ 重量比=4:1にアノードの反応活性助触媒を添加し、少ない3相界面数でも活性を高めることで性能を向上させSOFCのトレードオフ解消を目指した。アノード層中で起こるアノード反応(H2 + O2- => H2O +2e– )で律速となるのがZrO2表面の酸化物イオン伝導あると報告されているので、ZrO2表面で酸化物イオンが高速に移動する領域を助触媒添加で「活性サイト」として形成することが出来れば性能向上につながると考えた。活性サイトは助触媒酸化物とアノード構成材料のZrO2表面に電極焼き付け時と還元処理中に形成されると考えている。ZrO2表面の結晶構造に助触媒の構成元素が一部拡散しそれに伴いZrO2表面の欠陥構造を変化させることで活性サイトとして振る舞う。なお、助触媒にはブラウンミラライト型構造を有する酸化物を電極反応活性助触媒として採用した。
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二酸化炭素の有効利用による持続可能なメタネーションを目指した金属粉末燃焼技術の開発 【用途例】現在の代表的な二次エネルギーであるメタンから、次世代エネルギーキャリアとしてのアルミニウムまで
メタネーションとは、CO(若しくはCO2)をH2と反応させ、CH4を合成する反応のことを言います.工場や発電所などから発生するCO2を原料として、カーボンニュートラルCH4の生産する、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の一種の技術です。これまで提案されてきたメタネーションでは,CO2とH2OをCOとH2に還元するプロセスに電力や熱の投入が必要となるため、再エネ電力や排熱が利用する場合でも必ずしも自立性の高い技術とは言えませんでした。本課題では、金属アルミニウム粉末の高い燃焼性(還元性)に着目し、アルミニウムの酸化反応を用いてCO2とH2Oからメタネーションの原料となるCOとH2を同時に生成する、全く新しい技術の開発を行います。従って,電力や熱の投入や触媒の使用を最小限に抑えつつ、アルミナをアルミニウムに還元して再利用することで、高い自立性を持つシステムとして構成することが可能となります。脱炭素社会の実現に向け、持続可能でかつ環境負荷の低い、高効率メタネーションシステムの構築を目指していきます。
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「引いてダメなら押す」コンセプトに基づいた高機能ハロゲン化触媒の創出と機能開拓 【用途例】有機化学の「定石」に新たな一手を
有機化学は、世界最小の「ものづくり」に挑む研究分野です。多様な機能持つ素材(機能性分子)を創出するため、精密分子加工を実現する新たな技術の開発が求められてきました。 2010年ノーベル化学賞を受賞したカップリング反応は、こうした市場ニーズにズバリ答える技術だと言えるでしょう。有機分子を自在につなぎ合わせることが可能となり、多くの機能性分子が生み出されてきました。では、その「つなぎ目」を作る技術の進展はどうでしょうか?
塩素(Cl)臭素(Br)ヨウ素(I)といったハロゲン元素を含む分子(ハロゲン化合物)は、あらゆる化学結合に変換できる万能な「つなぎ目」であり、ハロゲン化合物を軸に標的分子の合成ルートを設計することが、現代の有機化学での定石となっています。また合成中間体としての価値のみならず、ハロゲン元素の導入によって有機分子の特性をチューニングできることの利用価値は、市販の医薬品&農薬の約60%がハロゲン元素を含むことからも裏付けられています。本研究の目的は、こうした価値あるハロゲン化合物を効率的に合成するため、世界最強の活性を持つ新触媒を開発することです。
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ペルフルオロアルカンスルホン酸の新しい利用法 【用途例】フッ素資源の効率的な利用
身の回りには数多くのフッ素化合物が存在しており,みなさんの生活に欠かせない存在となっています。これはフッ素が他の元素,例えば有機化学の主役である炭素と強い化学結合を形成する特徴があるため,フッ素を含む化合物は,耐熱性や耐薬品性などの様々な特性を有します。そのため,様々な分野で使用されてきました。
ペルフルオロアルカンスルホン酸の1つであるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は,耐熱性,耐薬品性に優れた界面活性剤であり,泡消火剤の有効成分として広く普及していました。PFOSは開発当初は無害であると考えられていましたが,強い化学結合が仇となり,蓄積性が問題となりました。現在,PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の附属書B(制限)に記載され,国際的に製造・使用が制限されています。しかし,いまだ未処理の泡消火剤等が多く存在します。これは,単なる焼却しか処理方法がないことに起因しています。そこで,有機化学の力を使って,PFOS化学的に分解するだけでなく,新しい有用な分子へと変換することを目指します。
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形状制約のない力学的異方性材料の簡易な弾性定数計測手法の開発 【用途例】「新規開発材料の基礎特性評価」や「製品の工程管理・品質検査・品質改善」に活用
例えば、航空機、自動車、鉄道などの安全性についての開発は、変形や振動現象を論理的に解明し機体・車体構造を検討することにより進められています。弾性定数は上述した数値シミュレーションに必須な入力値であるとともに、解析精度に最も影響を与える材料物性の一つです。これまでの弾性定数の計測には、シンプルな形状かつ力学的等方性材料に対しては機械的試験法が用いられており、力学的異方性材料に対しては複数の異なる機械的試験法が用いられております。しかしながら、3次元かつ複雑な構造に加えて、力学的異方性材料に対しては従来の機械的試験法の適用は困難です。
本研究では、固体材料の共鳴振動現象を利用した超音波共鳴法を用いることで「形状制約のない力学的異方性材料の簡易な弾性定数計測手法」を開発することを目指しています。さらに、計測した弾性定数が機械的試験法で測定される標準偏差に収まる測定精度を実現することを目標としています。
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