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超省エネ・高輝度有機EL/レーザーダイオードを目指した、量子効果を発現する高品質有機ナノ結晶及びその水系安定分散液の製造技術
【用途例】高品質有機ナノ結晶を導入した、
有機ELなど様々な高性能有機半導体デバイスの実現
希少元素を含まず、炭素・窒素・酸素・硫黄などの凡庸元素のみで構成される化合物を用いた有機ELは、社会ニーズに合致するサステイナブルなデバイスです。しかし、有機ELは輝度が低く、高温耐性も低いことが課題です。また、従来の有機EL製造は、有機分子を人体や環境に有害な有機溶媒に溶解させ基板上に塗布しているため、有機溶媒の処理のために製造コストが高いことも大きな課題です。
私は、高品質の有機ナノ結晶が発現する量子効果に着目して研究を進めています。有機ELの担体として高品質有機ナノ結晶を用いると、0次元状態密度形成により量子効果が発現し、低駆動電圧かつ高温耐久性を持つ発光素子が実現でき、さらに結晶サイズを変えるだけで発光色を変化させることもできます。また、有機ナノ結晶は水系の分散液として調製することができ、低環境負荷な有機EL製造の実現が期待できます。
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柔らかい圧力センサだけで、掌の圧力分布と手の動きを両方とも検知できるデータグローブ(Pressure to Posture Glove 略称P2P-Glove)を開発する
【用途例】P2P-Gloveが桃収穫、手話認識、医療訓練などへの分野への
応用開発等を進めている。
既存のデータグローブの問題点として、バルキーで分厚く、長時間使用した時の違和感が大きいことや、精度が低く単価が高いことなどが挙げられる。原因は掌の圧力検知と手の動き検知が異なる種類のセンサを利用しているため、データグローブの構造が複雑になることにたどり着けられる。それに対して、私は柔らかくて安価な圧力センサだけで、掌の圧力分布と手の動きを両方とも検知できるデータグローブを提案し、Pressure to Posture Glove (P2P-Glove)と名付けた。本研究により、新しい触覚と動作を同時に検知するP2P-Gloveの方式を確立させ、様々な仕事の現場や日常生活への応用の広がりに貢献することが期待できる。
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微生物による水素燃料とファインケミカル原料の同時生産技術の開発 【用途例】未利用の農地と資源を利活用する
水素燃料は、次世代の社会基盤を形成するエネルギー媒体として注目されています。またファインケミカル産業は、新たな付加価値や機能性を有する素材の生産事業として期待が高まっています。第二次産業は食品加工技術だけでなく、農産物をファインケミカル産業に供給可能な原材料に加工する技術を開発する必要があります。医薬品や生理活性物質のようなファインケミカルあるいはその原料を微生物により生産する技術を開発することは、第一次産業である農業を基盤とした新たな市場形成、新規雇用開発、サーキュラーバイオエコノミーの形成に寄与する可能性があります。
本研究課題では、農産物などから水素燃料とファインケミカル原料を同時に生産する技術(乳酸駆動型嫌気発酵)を開発し、これを社会実装規模で実証します。
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新規な構造を有する第4級アンモニウム塩の合成手法の開発および化合物ライブラリーの構築 【用途例】材料分野・ヘルスケア分野・有機合成を用いる企業全般
これまで有機化学研究の多くは中性分子に注がれてきた。その一方、取り扱いの難しさからイオン性分子の活用は遅れてきた。本研究では第4級アンモニウム塩にスポットライトを当て、触媒化学のエッセンスを取り込み、次世代機能性アンモニウム塩の創出に向けて、研究を行う。
すでに我々の分子の機能調査を始めており、今までにない生物活性などが見つかっている。しかし、アンモニウム塩の応用先は生物応用にとどまらない。イオン性を活かした新たな素材としての活用も期待される。
本研究の特色は、アンモニウム塩の合成研究という基礎研究に立脚した内容でありながら、多種多様な構造を有するアンモニウム塩を提供し、望む機能を発現すべく、分子合成を達成する点にある。特に合成手法開発が強みであり、シード分子が見つかった際には最速で構造活性相関など次のステージの研究に展開できる。ヒットした後にこそ真価を発揮する分子ライブラリーを提供し、研究を行える点が強みである。
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薄膜転写プロセスを用いたシリコンフォトニクス用導波路型光アイソレータ
【用途例】波長多重システム用のシリコンフォトニクス光回路や多機能・新機能の
光集積回路の実現に貢献
マイクロトランスファープリンティングによる微細かつ高精度の薄膜転写技術を開発し、加工が困難な磁気光学結晶などの異種材料をシリコンフォトニクスプラットフォーム上に集積します。シリコーン高分子エラストマーというフィルムを用いて薄膜化した材料や素子をピックアップし、シリコン光回路の任意の位置に数マイクロメートル以下の高精度で貼り付けることができます。これにより、これまで実現できなかった新機能の光素子の作製や、それらを一体集積した機能集積光回路が実現可能になります。本研究では、これまで高密度集積が困難とされてきた導波路型光アイソレータの作製を目指します。
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超低消費電力・大容量・高速不揮発性メモリ、疑似量子計算機、環境発電向け革新的スピントロニクス素子技術 【用途例】低消費電力半導体集積回路、非古典コンピュータ、エナジーハーベスティングでカーボンニュートラル達成に貢献
電子の持つ電気的性質(電荷)と磁気的性質(スピン)を同時に利用するスピントロニクスにより、超低消費電力での演算や記憶を可能とする半導体集積回路、量子コンピュータに迫る計算性能を室温で簡易的に実現できる確率論的コンピュータ、Wi-Fi電波からの発電によるバッテリーレスのエッジ端末などの実現が期待されます。このような低炭素社会の実現に資する革新的技術の実現に向けた基礎から応用までの研究開発を幅広く展開しています。本研究開発課題ではA)DRAMを代替する大容量(100Gbit超)STT-MRAM、B)SRAMを代替する超高速(1GHz超)SOT-MRAM、C)多体最適化問題を室温にて効率的に処理する疑似量子計算機、D)Wi-Fi電波からの環境発電、を実現する革新的スピントロニクス素子を開発します。これまで私たちが開発してきた世界をリードする技術を事業化に向け発展させ、現行技術が抱える半導体ワーキングメモリ大容量化の限界、半導体回路の発熱の問題、計算論的複雑性の高い問題の効率処理の問題などへの解決策を示します。
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電極・電解質材料設計に資する「リアルタイム」界面可視化技術 【用途例】界面が鍵となるあらゆる化学/電気化学/触媒反応デバイスの高性能化に貢献
電気化学反応は電極と電解質の境界である「界面」で進行します。したがって、電気化学反応の特性を改善する場合には、この「界面」に着目した材料検討が最も有効だと考えられます。しかし、この「界面」は2つの異なる材料の境界の数ナノメートルの領域のことであり、その観察は困難を極めます。特に、電気化学反応が進行している状況で、「界面」を観察するのは至難の業でした。これまでにさまざまな方法で「界面」のリアルタイム観察が試みられ、多くの素晴らしい成果が得られていますが、どの方法も簡単に試せる手軽さに欠けていました。私たちは、この「界面」のリアルタイム観察のハードルを大きく下げ、材料のルーティーン試験の一つに組み込んでいただけるような手法の開発を試みています。
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BI-Techによる建物省エネ性能診断・ナッジシステムの開発
【用途例】個々の設備・機器と個人の行動と省エネルギーを関連付けて、
高次元の省エネ・環境管理を目指す
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、大きな面積を占めるオフィスビルの省エネルギー促進は極めて重要な課題です。特に、中小規模のオフィスでは対策が少なく、省エネルギー促進のブルーオーシャンといえます。そのため、オフィスビルを対象として、マイコン端末と画像診断を用いた簡易測定キットによる省エネ自動診断と在室者への省エネ行動の働きかけを実現するツールを開発し、中小規模のオフィスに普及させることが我々の目的です。
AI技術の発展により、カメラによる画像解析が簡単かつ高速に実現可能になりました。プライバシーに配慮しながら、画像診断によってオフィスの状態を検知し、適切な省エネ施策を自動診断するシステムを構築します。マイコンを用いた環境計測も近年発展した技術です。これにより安価に環境計測システムを構築できるようになりました。オフィス環境の計測は省エネルギーのみならず、健康性や知的生産性の評価にも活用できます。さらに、建物ユーザーのスマートフォンに導入できるアプリを提供することによって、省エネ行動へのポジティブ・フィードバックといったナッジを通じて、建物利用者が誰でも省エネの取組みに参加できる環境を作り、建物と利用者の両面から省エネルギーを促す仕組みを構築します。
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ストレッチャブルアンテナを用いた多点センサシステムの研究開発 【用途例】大規模インフラ構造物向け長寿命センサシステムの実現
近年、IoT/DXによる未来型社会の実現に向けた取り組みが社会で活発化している。一方、IoT/DXの進展は、ネットワーク構築やセンサシステムの導入等の「イニシャルコスト」を低減させることが重要な課題になっている。本研究で開発するRFID帯の通信を用いた無線ストレッチャブルセンサは、非常に薄く柔軟,、低コスト(将来的には一枚当たり10円以下)、バッテリーフリーのシステムを実現する。
また、インフラ構造物の寿命は50年以上である一方、従来のエレクトロニクスの寿命は50年に満たないことから、既存のエレクトロニクスは寿命の観点でインフラ構造物への適用が困難である。そこで本研究では、環境耐性が非常に高く長寿命のカーボン系材料を用いたセンサシステムを実現することによって、従来のエレクトロニクスの弱点である長期信頼性の課題を克服することを目指す。
これらによって、規模インフラ構造物の多点計測、センサシステムを鉄筋コンクリート内部に埋め込むことによる内部の劣化状況の定量評価等といった従来技術ではコストの問題で実現しなかった技術課題の解消を目指す。
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環境・食品情報モニタリングのための完全自然分解型ワイヤレスセンサ 【用途例】土に直接センサを混ぜ込む、また生鮮食品にシールのように貼るなど、使用者が気軽に利用できる新しいIoTセンサを提供
近年のIoTの社会的実装の加速に伴い、我々の生活環境にスマートフォンなどを代表とする高性能なセンサシステムが浸透している。次の社会的・技術的の目標の一つとしては、日常の消耗品(食品や衣類など)や農耕地などの広大なフィールドから低コスト・低環境負荷のセンサにより情報を取得してIoTの対象を拡大し、人々に安全な生活と健康を届けることが挙げられる。
本研究提案は、 (a) センサの全ての構成要素が自然分解性・生分解性で、利用後は使用環境で完全に消失し、(b) 電磁波を利用しワイヤレスでのセンサ情報取得を可能(配線不要)、(c) バッテリーフリーで安全・安心の素材のみで構成(環境や生体への有害物質を含まない)、(d) 安価で大量生産可能、の5つの要素を全て満たす新規な自然分解性センサおよび計測通信手法を提案する。提案する手法により、使用環境にあわせたワイヤレスセンシング可能な自然分解型のセンサを開発し、(1)農業用地のIoTソイル(自然分解する微小顆粒状ワイヤレスセンサ)(2)生鮮食品などの品質管理シール(生分解する薄膜状ワイヤレスセンサ)の2つの実用的なかつ新規なセンサシステムを実現する。
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半導体への超高速フェムト秒レーザー加工の実現 【用途例】Si、SiCなどの半導体材料の高速加工技術は、今後の半導体産業の発展に欠かせない
フェムト秒レーザーは材料の微細加工手法として注目されていますが、SiやSiCをはじめとする硬脆材料の加工時には、低い加工速度とクラック生成が課題となります。提案者はこれまで、透明材料を瞬間的に金属化することで、従来比5000倍速の加工が実現することを示してきましたが、この金属化手法は透明材料にしか適用できません。本研究では、電子密度の高速計測・制御技術を確立することで、不透明である半導体の透過性を向上させます。その領域を金属化することによって、半導体の超高速加工を実現します。
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植物のバイタルサインを監視するワイヤレスIoTデバイスの実現を目指したセンシング技術 【用途例】植物のバイタルサインは、農業分野、環境分野、研究・教育分野など、幅広い用途のアプリケーションに期待
農作物の生産現場では、インプットである栽培環境のモニタリングや制御技術が発達している一方で、アウトプットである植物のバイタルサインのモニタリングや評価技術が未発達であるために、植物の生育状態を環境制御にフィードバックするような栽培管理の高度な自動化が実現できていません。
植物の外観から病害を検出したり収量を予想したりする技術が開発されています。一方で、植物の外観からは環境に応じてダイナミックに変化する植物体内の生理情報を取得できません。また、軽度なストレスだと、外観に影響が現れるまでにタイムラグがあります。こうしたことから、画像計測のみでは緻密な栽培管理が難しい現状があります。
施設園芸や植物工場においても、作物の栽培環境や生育は不均一です。また、作物の生育段階によって環境応答は異なります。そこで、作物の生育に合わせた栽培環境の最適化やストレス処理による高付加価値化(果実の糖度向上など)を実現するには、植物の環境応答を高時空間分解能でセンシングする必要があります。
私は、植物の環境応答をリアルタイムで計測できる小型・低消費電力・低コストのセンシング技術を開発しています。
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低品位シリカの熱プラズマ中インフライト還元による金属シリコン製造 【用途例】プラズマを用いたインフライト処理技術を用いて
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの重要性が益々高まっている中で、大量の太陽光発電用高純度シリコンが必要となる見込みです。高純度シリコンの製造には、シリカ原料からの金属シリコン(MG-Si)の製造が最初のステップとなりますが、エネルギー多消費かつ二酸化炭素を排出するプロセスです。本研究では、熱プラズマの超高温を利用したインフライト水素還元プロセスの着目することで、エネルギー効率に優れる金属シリコン製造方法の確立を目指します。
従来技術である炭素電極アーク炉(電炉)では、一度還元されたシリコンが再び部分酸化されるなど、複雑な再循環の過程を経るためにエネルギー効率が低く、大量の二酸化炭素を排出する点が大きな課題点です。そこで本提案手法では、高温・高化学活性の熱プラズマ中でのインフライト処理に着目しました。数十~数百マイクロメートルのシリカ粉末を熱プラズマに投入することで、再循環の抑制、反応時間の短縮が可能となるため、エネルギー効率に優れ、CO2を排出しない革新的な金属シリコン製造方法が確立できると考えます。
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ナノスケール生体ダイナミクスのその場精密計測法の実用化 ~液中試料のナノスケールの構造と動きを走査型電子顕微鏡で計測する~ 【用途例】ナノスケールの構造と動きを計測することで、各種研究開発の加速と、検査・診断の改善を可能にします
生命現象や機能性材料の重要な性質は、あらゆる力のオーダーが揃うために複雑な相互作用が生じる、ナノスケールダイナミクスから創発されます。実は、このナノスケールダイナミクスを計測する方法の欠如、著しい制約が、各種分野の研究開発のボトルネックとなっています。我々は、液中試料をそのまま電子顕微鏡で観察し、構造と動きを観察可能とすることで、このボトルネックを解消しました。具体的には、電子線透過性と変形性に優れたナノ薄膜を作成し、試料を覆うことで、ナノ薄膜が透明マントのように観察の邪魔をせず、液中状態を保ったままの試料のダイナミクス観察を可能とする方法を開発しました。作成した薄膜をDET膜(Deformable and Electron Transmissive Film)、この薄膜を用いた電子顕微鏡ライブイメージング法をDET膜法と命名しました。現在開発したDET膜は光透過性も高いため、同じ試料の分光計測等の光学顕微鏡計測も可能とします。我々は、このDET膜法の利用と改良を進め、「液中試料の電子顕微鏡ライブイメージング」という顕微鏡計測の新基準を打ち出そうとしています。
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安全運転支援と歩道地図作成の両方を実現するモビリティ搭載モジュールの開発 【用途例】コンピュータビジョン技術に基づいたセンシングは,安全運転支援分野や,歩道地図作成分野など,さまざまな用途で活用
日本では高齢化が進んでおり,2030年には約3割が高齢者となる社会に突入することが推計されています。また,近年の乗用車による危険運転を背景として,運転免許証の自主返納の動きが広がっています。免許返納後,地方では公共交通網が脆弱であるために生活機能維持が難しくなっています。そのため,後期高齢者を始めとした買い物弱者の自立的移動のためのモビリティ確保に向けた対策が求められています。
私は,電動車いすの利用において,運転時に危険・不安となる事象をあらかじめ検出し,それらを運転者に知らせる安全運転支援機能と,危険・不安事象を反映させた自動歩道地図作成機能を,コンピュータビジョン技術に基づいて実現しようと開発に取り組んでいます。
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