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低環境負荷デバイス応用に資する高性能ナノカーボン電極材料の開発 【用途例】IoTデバイス向け自立型電源としての低環境負荷発電応用にむけて
ナノカーボン物質は、優れた電気伝導性、導電性、比表面積の大きさ、広い電位窓や汚染耐性など、金属材料を凌駕する電気化学特性を示すことから、次世代導電性材料として注目を集めています。構造柔軟性と伸縮性を併せ持つことから成形自由度も極めて高く、蓄電応用、透明導電膜、バイオ・医療など幅広い分野での応用が期待されています。
しかし、これほど魅力的な素材でありながらも、社会においては素材として上市されるにとどまっています。これはデバイスとしての機能を引き出すための段階である、改質・成形に関する研究開発が不十分なために他なりません。我々はナノカーボン物質の改質・成形に関する技術開発に注力するとともに、IoT向けデバイス利用に向けた性能評価も合わせて検討し、高性能ナノカーボン電極材料の創出を目指しています。
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フラストレイテッドルイスペアを利用したイオンペアセンサーの開発 【用途例】いつでも、どこでもイオンセンシング
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を用いた自動化の発展を背景に、センシング技術の重要性は高まる一方です。なかでも、環境モニタリングシステムや生体センサーの需要にともなって、有害物質や代謝物などに含まれるカチオン(正電荷種)やアニオン(負電荷種)といった電荷を有する化学種(イオン種)を検出するイオンセンサーが注目を浴びています。
本研究では、イオンペアと相互作用を示す新規分子を基盤として、あらゆるイオン種に対するリアルタイムセンシング材料を開発します。
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熱機関を利用しない低品位なバイオマス・褐炭による高効率・低温作動の発電方法の開発 【用途例】高効率化によりバイオマス発電の普及に貢献
熱機関を利用した従来の発電方法によるバイオマス、褐炭からの発電効率は10~30 %程度と低く、バイオマス、褐炭発電が普及しない大きな一因となっている。発電効率が低い第一の原因は、天然ガスや高品位の石炭よりも著しく低い発熱量にも拘わらず、まず燃焼により熱エネルギーに変換する点にある。燃焼により熱エネルギーに変換すれば、そもそもエクセルギーの損失が大きいが、発熱量が低いため得られる温度レベルが低く、さらに損失が大きくなってしまう(図左)。したがって、バイオマス、褐炭を用いた発電を従来の実績を大きく上回る50 %以上の高効率とするためには、エクセルギー率の低い熱エネルギーへの変換に依存しない新たな変換方法の開発ができるかどうかに懸っている。
そこで私たちは、金属イオンを媒体にバイオマス、褐炭を適切な化学エネルギーに変換することでエクセルギー損失を小さく抑え、さらにその化学エネルギーを電気エネルギーに変換するプロセスを提案し(図右)、研究開発を進めている。
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省エネルギーで製造可能な電子デバイスを目指した、自己組織性を有するN型有機半導体材料の開発
【用途例】自己組織化により配向制御された高品質なN型有機半導体薄膜を
高速で製造することが可能
省エネルギーで製造できる有機半導体材料の中でも、分子が自発的に凝集構造を形成する自己組織化有機半導体材料に注目することで、溶液プロセスでの製膜性と良好な電気特性を有する有機半導体薄膜が作製できます。本研究開発では、特に実現が困難な高品質なN型の有機半導体材料の実現を目指します。この自己組織化を有するN型有機半導体材料では、移動度が高く、結晶粒界方向を制御でき、さらに分子配向制御が可能です。これらの特徴を利用することで、高効率の光電変換素子や熱電変換素子が省エネルギーで製造できるようになると期待できます。
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前処理・添加剤・接着剤フリー!プラスチックフィルム向けレーザ接着装置の開発 【用途例】接着が変わると何が変わる?幅広い分野・業種での利用を期待
接着技術は、モノとモノをつなぎ合わせる手法であり、精密機器から家電、大型機械まで様々な対象に利用されています。特に近年では、様々な業界において金属部品の樹脂化と合わせて、軽量化に利用されてきました。また、高強度・高耐性を有するスーパーエンジニアリングプラスチックの利用も軽量化を後押ししていると言えます。
一方で、高強度・高耐性を有する樹脂ほど接着が困難であり、質量の増加・耐性の低下を招く接着剤の利用や、性能低下を生じる添加剤による素材の可溶着化、工程の増加・管理が複雑となる特殊な前処理の導入が行われています。すなわち、「どこにでも使える優れた樹脂ほど応用方法・範囲が限定される」という矛盾を抱えていました。
そこで本研究では、本研究室の固有技術である、高強度樹脂フィルムを対象とした「前処理・添加剤・接着剤フリー」なレーザ接着技術を発展させ、この矛盾の解決を目指します。
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フレキシブル有機エレクトロニクスによるウェアラブル生体インターフェースの構築
【用途例】デジタルヘルスケア・AR/VR/MR技術に応用・融合が可能な
装着感の極めて小さいウェアラブルデバイス
世界の中でも「課題先進国」と呼ばれる日本が抱える社会課題のひとつは少子高齢化問題です。数値的には、生産年齢人口の割合低下(2060年には対総人口51.6 %)、高齢者の増加(2050年には対総人口40 %が65歳以上の高齢者)が予測されています(平成29年度国土交通白書より)。これによって具体化する社会課題は高齢化にかかわる医療・介護労働力需要増と社会保障費の増大であり、我々研究者には、新しい化学技術の開拓によってこの社会課題を解決するという使命が課されていると考えています。
本研究開発では、遠隔医療・日常的健康モニタリングのための新しいウェアラブルデバイスの姿を世界に示し、その実用化に向けて企業との共同研究開発を推進してきたいと考えています。
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低エネルギーな長波長光を励起光源とする超高感度蛍光顕微鏡システムの開発
【用途例】低エネルギーな長波長光の高エネルギーな短波長光への変換は
様々な分野で注目
試料を染色した色素からの発光を検出・観察する蛍光顕微鏡技術は、発光検出の高感度性や染色部位の選択性による環境識別などの観点から化学や生命科学、医学分野を中心に広く用いられています。当該技術においては光子エネルギーの大きな紫外~青色光が励起光として広く用いられていますが、これらの光は発光性色素のほかに細胞などの生体試料を構成する物質や顕微鏡の光学部品をも励起して発光を与えてしまうことがあります。このような現象は「自家蛍光」と呼ばれ、得られた顕微鏡画像のノイズとなって解像度を低下させる原因となります。また、紫外~青色光は生体透過性が低く、試料内部に励起光が到達しないため、内部の情報を得ることができないという課題も残されています。
本研究ではこれらの課題を一挙に解決するために、複数個の低エネルギーな光子を利用して高エネルギーな励起状態を生み出す「フォトンアップコンバージョン現象」を利用して低ノイズ・高輝度な画像を与える蛍光顕微鏡システムを、「色素システム」と「光学システム」の両面から開発します。
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量子コンピュータの実現に向けた、インターフェースハードウェア技術 【用途例】量子コンピュータに向けた、多くの量子ビットの集積を可能にする
極低温インターフェースを開発することで、量子計算回路と制御装置の間にある拡張性のギャップを埋めることが本提案です。量子計算機は、量子性を情報処理に応用し計算を高速に実行できる新原理の装置です。情報処理量が爆発的に増加し続ける現代社会においてその計算能力は要求がさらに高くなっています。量子計算機を実現し得る分野の一つとして、近年、超伝導量子回路は目覚ましい成長を遂げてきました。実装されている量子ビット数は百個に届こうとしていますが、この集積数では到底、社会や産業の実用に足らないのが現状です。現在、量子計算回路と制御機構との間にはスケールアップする際に繋目の問題があり、量子計算回路だけでなくその周辺機器も集積に合わせて刷新しなければいけません。その機器の一つが量子ビットを制御する配線です。配線数を量子ビットの数につれて増やすのは、周辺機器を構築する際に現実的ではないのです。このような現状を打開するために、シームレスな拡張を可能とする新規な極低温用超伝導インターフェースを提案し、極低温下で動作するマルチプレクサー型の信号分配器を開発します。この超伝導マルチプレクサーは、低消費電力、拡張性、マイクロ波技術の移植性という量子計算機の実現にとても魅力的な特徴を備えています。この提案は、量子ビットの集積に欠かすことのできないシームレスな配線の拡張を目指すものです。
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ナトリウムイオン電池の大容量化に資する新奇材料開発 【用途例】低コスト蓄電池
我が国の二酸化炭素排出量は電力由来が37%と最大を占めます。総量4.5億トンを占める電力由来の二酸化炭素排出を抑制しカーボンニュートラルを達成するためには、脱炭素化効果のある設備導入が必須であり、全電力供給のうち洋上風力発電などの再エネ比率を50%以上に押し上げる必要あると試算されています。
中でも洋上風力発電は陸上に比べ大きな風力を持続的に得られるため、安定かつ大電力を供給でき、また大規模発電による発電コストが火力並みに低いことから「経済性を確保できる再エネ」として広く注目されています。
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ワイヤレス給電を用いた高強度磁界発生技術の開発 【用途例】従来の強磁性体に代わり、コンパクトかつ高強度磁場発生を実現
2050年のカーボンニュートラルに向けて、運輸部門をはじめとする動力の電動化が注目されています。その中で、コンパクトかつ高出力な次世代モーターの開発が課題とされています。従来は、強磁性材料を用いるためモーターのコンパクト化と高出力化はトレードオフの関係にあるとされていました。一方、超電導材料を用いたモーターは出力/重量比の飛躍的な改善が期待されています。しかし、超電導材料は冷却して使用する必要があり、電流を導入する端子からの熱侵入による冷却効率の低減が課題です。そのような中で、本研究では、熱侵入が限りなくゼロになる革新的な超電導システムを開発し、出口イメージとしてモーターなどへの展開に向けた高強度磁界の発生を目指します。そのために、我々の持つ技術シーズである新たな電気素子である「超電導ダイオード」を要素技術として研究開発を加速していきます。
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高温環境下でのスマート渦電流センサによる新検査システムの開発
【用途例】石油化学、石油精製、一般化学、水素、電力、ガス、インフラ業分野の
保全・保安業務のスマート化
石油化学、石油精製、一般化学、電力、ガス、インフラ業種企業において、保全・保安業務へのスマート化投資により安全性・収益性の双方が向上したと報告されています。特に、異常の早期対応および安定稼働、危険な現場の点検作業、配管の腐食予測など従来把握できなかった状態の監視や故障の予測は、持続的な社会を目指す上で必要です。
本研究開発では、プラント設備のスマート保安保全の高度化を目的に、これまでの渦電流センサに関する技術シーズを活用し、高温環境下にさらされる金属部材の損傷の可否を監視するスマート渦電流センサを利活用した新検査システムを開発します。本検査システムの特徴は、非接触かつ高温や蒸気などの耐環境性に強い非破壊検査が可能で、過酷な環境下であっても人に替わってプラント等稼働中での損傷状態を監視できる効果があります。ワイヤレス通信で監視することで高度な保安・保全業務サービスを社会へ提供します。
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中赤外放射制御メタ表面の構築 【用途例】中赤外センサーは、分子固有の振動数を検知し、対称二原子分子と単原子以外の全ての分子を検出できる革新的センサーが実現できます
本研究では、分子と光ナノ材料との結合を利用して、分子吸収を大幅に増強する。これにより、Kirchhoffの放射の法則に基づいて、熱放射強度を増強することで、分子由来の超狭帯域放射を実現することを目指す。
これまで中赤外の光源では、放射光源、中咳がLED,、量子カスケードレーザーなどの技術が確立されてきた。放射光源は大出力が得られるが、黒体放射則により、非常に広帯域の放射をバンドパスフィルターなどの高価な光学部品で取り出すことが必要であった。またLEDは量子効率が低く十分な輝度が得にくい。量子カスケードレーザーは高価で消費電力に難がある。これらの既存光源の持つ課題を解決できるような新たな赤外光源を実現することを目指す。本研究では、金属-誘電体-金属ナノ構造からなるメタ表面と呼ばれる新しい材料で、分子振動を増強することで分子由来の放射ができるデバイスを作る。これにより、分子振動計測には必要十分な光源を実現することができる。使う誘電体を制御することにより、所望の波長に十分な輝度を持つオンデマンド光源を目指す。
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国際海運の低炭素化のための最適な船底防汚塗料の選定技術 【用途例】外航船舶を保有する業種における防汚塗料の最適化
人類による石油の大量消費は、大気中の二酸化炭素濃度上昇と地球温暖化を引き起こし、人類社会の存続を脅かす大きなリスクです。国際海運から排出される二酸化炭素は、世界全体から排出される二酸化炭素の総排出量の約2%を占め、今後さらに増大すると予測されています。近年では、国際海事機関(IMO)による大型外航船の二酸化炭素排出規制が始まるなど、国際海運の低炭素化に対する政治的な要請が大きくなっています。
船舶の船底へのフジツボや藻類等の生物付着は、船舶の燃費の低下させる主要因として知られています。生物付着を防ぐため、様々な船底塗料がメーカー各社から発売され、その市場規模は国内外を含めると約1100億円と推定されています。防汚塗料の効果は、船舶の運行状況や航路に応じて大きく異なりますが、市場に存在する様々な船底塗料の中から、顧客の船舶にどの塗料が最も適しているのかを高精度かつ短期間に判定するサービスはこれまでありませんでした。我々は、次世代シークエンサーを用いたDNA分析法を用いて、個々の船舶に最適な防汚塗料を選定するサービスを提供します。
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ファインケミカル高生産微生物開発のための技術基盤構築 【用途例】微生物による発酵プロセスの実用化
経済成長とSDGs(持続可能な開発目標)の両立を図る概念として,生物資源とバイオテクノロジーを活用する“バイオエコノミー”が世界的に注目を集めています。バイオエコノミーを実現するためには,ファインケミカル等の有用物質を高生産する微生物を作出することが重要ですが,その開発には地道なトライ&エラーが必要で,長い時間がかかります。本研究では,独自に開発してきた合成生物学やロボティクスをベースとした微生物の代謝や遺伝子発現を最適化する基盤技術を高度化し,従来よりも短期間でファインケミカル等の有用物質を高生産する微生物を作出するための育種基盤を構築します。
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電場などの外部刺激を利用した経皮吸収促進技術の開発
【用途例】経皮吸収の作用メカニズムやその促進方法に関する知見は、
医療や製薬、美容分野など幅広い分野で注目されている
本研究では、経皮吸収過程にある皮膚角層に電場や超音波などの外部刺激を加え、その際の皮膚角層内を構成する分子の動きをリアルタイムで解析し、それらの作用メカニズムや効果特性を明らかにすることを目指す。SPring-8における最新の放射光と申請者が開発した角層試料保持装置を用いることで、印加する電場の種類(電圧、時間変化特性など)や電極の形状、その際の皮膚の温度条件などが経皮吸収性に及ぼす影響が明らかとなり、より効果の期待される施術方法の開発が可能となる。塗り薬などの外用による投薬方法は、注射や内服と比べてより患者負担の小さい投薬方法であり、本研究で得られた知見は、投薬分野への貢献も期待される。
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