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低エネルギーな長波長光を励起光源とする超高感度蛍光顕微鏡システムの開発
【用途例】低エネルギーな長波長光の高エネルギーな短波長光への変換は
様々な分野で注目
試料を染色した色素からの発光を検出・観察する蛍光顕微鏡技術は、発光検出の高感度性や染色部位の選択性による環境識別などの観点から化学や生命科学、医学分野を中心に広く用いられています。当該技術においては光子エネルギーの大きな紫外~青色光が励起光として広く用いられていますが、これらの光は発光性色素のほかに細胞などの生体試料を構成する物質や顕微鏡の光学部品をも励起して発光を与えてしまうことがあります。このような現象は「自家蛍光」と呼ばれ、得られた顕微鏡画像のノイズとなって解像度を低下させる原因となります。また、紫外~青色光は生体透過性が低く、試料内部に励起光が到達しないため、内部の情報を得ることができないという課題も残されています。
本研究ではこれらの課題を一挙に解決するために、複数個の低エネルギーな光子を利用して高エネルギーな励起状態を生み出す「フォトンアップコンバージョン現象」を利用して低ノイズ・高輝度な画像を与える蛍光顕微鏡システムを、「色素システム」と「光学システム」の両面から開発します。
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量子コンピュータの実現に向けた、インターフェースハードウェア技術 【用途例】量子コンピュータに向けた、多くの量子ビットの集積を可能にする
極低温インターフェースを開発することで、量子計算回路と制御装置の間にある拡張性のギャップを埋めることが本提案です。量子計算機は、量子性を情報処理に応用し計算を高速に実行できる新原理の装置です。情報処理量が爆発的に増加し続ける現代社会においてその計算能力は要求がさらに高くなっています。量子計算機を実現し得る分野の一つとして、近年、超伝導量子回路は目覚ましい成長を遂げてきました。実装されている量子ビット数は百個に届こうとしていますが、この集積数では到底、社会や産業の実用に足らないのが現状です。現在、量子計算回路と制御機構との間にはスケールアップする際に繋目の問題があり、量子計算回路だけでなくその周辺機器も集積に合わせて刷新しなければいけません。その機器の一つが量子ビットを制御する配線です。配線数を量子ビットの数につれて増やすのは、周辺機器を構築する際に現実的ではないのです。このような現状を打開するために、シームレスな拡張を可能とする新規な極低温用超伝導インターフェースを提案し、極低温下で動作するマルチプレクサー型の信号分配器を開発します。この超伝導マルチプレクサーは、低消費電力、拡張性、マイクロ波技術の移植性という量子計算機の実現にとても魅力的な特徴を備えています。この提案は、量子ビットの集積に欠かすことのできないシームレスな配線の拡張を目指すものです。
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ナトリウムイオン電池の大容量化に資する新奇材料開発 【用途例】低コスト蓄電池
我が国の二酸化炭素排出量は電力由来が37%と最大を占めます。総量4.5億トンを占める電力由来の二酸化炭素排出を抑制しカーボンニュートラルを達成するためには、脱炭素化効果のある設備導入が必須であり、全電力供給のうち洋上風力発電などの再エネ比率を50%以上に押し上げる必要あると試算されています。
中でも洋上風力発電は陸上に比べ大きな風力を持続的に得られるため、安定かつ大電力を供給でき、また大規模発電による発電コストが火力並みに低いことから「経済性を確保できる再エネ」として広く注目されています。
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ワイヤレス給電を用いた高強度磁界発生技術の開発 【用途例】従来の強磁性体に代わり、コンパクトかつ高強度磁場発生を実現
2050年のカーボンニュートラルに向けて、運輸部門をはじめとする動力の電動化が注目されています。その中で、コンパクトかつ高出力な次世代モーターの開発が課題とされています。従来は、強磁性材料を用いるためモーターのコンパクト化と高出力化はトレードオフの関係にあるとされていました。一方、超電導材料を用いたモーターは出力/重量比の飛躍的な改善が期待されています。しかし、超電導材料は冷却して使用する必要があり、電流を導入する端子からの熱侵入による冷却効率の低減が課題です。そのような中で、本研究では、熱侵入が限りなくゼロになる革新的な超電導システムを開発し、出口イメージとしてモーターなどへの展開に向けた高強度磁界の発生を目指します。そのために、我々の持つ技術シーズである新たな電気素子である「超電導ダイオード」を要素技術として研究開発を加速していきます。
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構造物の設計・施工におけるダークデータの有効活用 【用途例】構造物の合理的な設計・施工に応用可能
ダークデータを有効活用するためには,単に過去のデータをデータベース化するだけでは不十分であり,利用目的に合った利活用を行うための「前処理」「解析」「構造化」を行う必要があります.しかしながら,土木分野における(ダーク)データは、画像のようなデジタルデータとは異なり,非常に扱いにくいことが知られています.データの特性に合わせた適切なデータ解析・前処理により,データの有効活用を最大化します.
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高温環境下でのスマート渦電流センサによる新検査システムの開発
【用途例】石油化学、石油精製、一般化学、水素、電力、ガス、インフラ業分野の
保全・保安業務のスマート化
石油化学、石油精製、一般化学、電力、ガス、インフラ業種企業において、保全・保安業務へのスマート化投資により安全性・収益性の双方が向上したと報告されています。特に、異常の早期対応および安定稼働、危険な現場の点検作業、配管の腐食予測など従来把握できなかった状態の監視や故障の予測は、持続的な社会を目指す上で必要です。
本研究開発では、プラント設備のスマート保安保全の高度化を目的に、これまでの渦電流センサに関する技術シーズを活用し、高温環境下にさらされる金属部材の損傷の可否を監視するスマート渦電流センサを利活用した新検査システムを開発します。本検査システムの特徴は、非接触かつ高温や蒸気などの耐環境性に強い非破壊検査が可能で、過酷な環境下であっても人に替わってプラント等稼働中での損傷状態を監視できる効果があります。ワイヤレス通信で監視することで高度な保安・保全業務サービスを社会へ提供します。
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中赤外放射制御メタ表面の構築 【用途例】中赤外センサーは、分子固有の振動数を検知し、対称二原子分子と単原子以外の全ての分子を検出できる革新的センサーが実現できます
本研究では、分子と光ナノ材料との結合を利用して、分子吸収を大幅に増強する。これにより、Kirchhoffの放射の法則に基づいて、熱放射強度を増強することで、分子由来の超狭帯域放射を実現することを目指す。
これまで中赤外の光源では、放射光源、中咳がLED,、量子カスケードレーザーなどの技術が確立されてきた。放射光源は大出力が得られるが、黒体放射則により、非常に広帯域の放射をバンドパスフィルターなどの高価な光学部品で取り出すことが必要であった。またLEDは量子効率が低く十分な輝度が得にくい。量子カスケードレーザーは高価で消費電力に難がある。これらの既存光源の持つ課題を解決できるような新たな赤外光源を実現することを目指す。本研究では、金属-誘電体-金属ナノ構造からなるメタ表面と呼ばれる新しい材料で、分子振動を増強することで分子由来の放射ができるデバイスを作る。これにより、分子振動計測には必要十分な光源を実現することができる。使う誘電体を制御することにより、所望の波長に十分な輝度を持つオンデマンド光源を目指す。
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国際海運の低炭素化のための最適な船底防汚塗料の選定技術 【用途例】外航船舶を保有する業種における防汚塗料の最適化
人類による石油の大量消費は、大気中の二酸化炭素濃度上昇と地球温暖化を引き起こし、人類社会の存続を脅かす大きなリスクです。国際海運から排出される二酸化炭素は、世界全体から排出される二酸化炭素の総排出量の約2%を占め、今後さらに増大すると予測されています。近年では、国際海事機関(IMO)による大型外航船の二酸化炭素排出規制が始まるなど、国際海運の低炭素化に対する政治的な要請が大きくなっています。
船舶の船底へのフジツボや藻類等の生物付着は、船舶の燃費の低下させる主要因として知られています。生物付着を防ぐため、様々な船底塗料がメーカー各社から発売され、その市場規模は国内外を含めると約1100億円と推定されています。防汚塗料の効果は、船舶の運行状況や航路に応じて大きく異なりますが、市場に存在する様々な船底塗料の中から、顧客の船舶にどの塗料が最も適しているのかを高精度かつ短期間に判定するサービスはこれまでありませんでした。我々は、次世代シークエンサーを用いたDNA分析法を用いて、個々の船舶に最適な防汚塗料を選定するサービスを提供します。
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電場などの外部刺激を利用した経皮吸収促進技術の開発
【用途例】経皮吸収の作用メカニズムやその促進方法に関する知見は、
医療や製薬、美容分野など幅広い分野で注目されている
本研究では、経皮吸収過程にある皮膚角層に電場や超音波などの外部刺激を加え、その際の皮膚角層内を構成する分子の動きをリアルタイムで解析し、それらの作用メカニズムや効果特性を明らかにすることを目指す。SPring-8における最新の放射光と申請者が開発した角層試料保持装置を用いることで、印加する電場の種類(電圧、時間変化特性など)や電極の形状、その際の皮膚の温度条件などが経皮吸収性に及ぼす影響が明らかとなり、より効果の期待される施術方法の開発が可能となる。塗り薬などの外用による投薬方法は、注射や内服と比べてより患者負担の小さい投薬方法であり、本研究で得られた知見は、投薬分野への貢献も期待される。
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ファインケミカル高生産微生物開発のための技術基盤構築 【用途例】微生物による発酵プロセスの実用化
経済成長とSDGs(持続可能な開発目標)の両立を図る概念として,生物資源とバイオテクノロジーを活用する“バイオエコノミー”が世界的に注目を集めています。バイオエコノミーを実現するためには,ファインケミカル等の有用物質を高生産する微生物を作出することが重要ですが,その開発には地道なトライ&エラーが必要で,長い時間がかかります。本研究では,独自に開発してきた合成生物学やロボティクスをベースとした微生物の代謝や遺伝子発現を最適化する基盤技術を高度化し,従来よりも短期間でファインケミカル等の有用物質を高生産する微生物を作出するための育種基盤を構築します。
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合理的に美味しさを創製する革新的食インフォマティクスシステムの構築
【用途例】高品質な食品の合理的な開発・製造を実現する
革新的な食インフォマティクスシステム
日本の企業が製造する食品の品質の高さは、世界トップレベルであると言われています。一方で、団塊の世代の熟練技術者や開発者の定年退職によって、日本の食品企業が蓄積してきた食品開発・製造の経験やノウハウが消えゆくという懸念があります。そのような中で、今後とも破壊的な市場変化と消費者のニーズに迅速かつ的確に応えながら、世界をリードし、国際競争力を保持していくためには、一社での対応には限界があり、体系化された知見に基づき、食品を合理的に高品質化する手法が不可欠です。本研究開発では、各社が協同する際に最大の障壁となる「社外秘の流出」を防ぎながら、各社が長年蓄積してきた高度な知を集結・共用できる革新的な食インフォマティクスシステムを構築することに挑戦します。
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超省エネ・高輝度有機EL/レーザーダイオードを目指した、量子効果を発現する高品質有機ナノ結晶及びその水系安定分散液の製造技術
【用途例】高品質有機ナノ結晶を導入した、
有機ELなど様々な高性能有機半導体デバイスの実現
希少元素を含まず、炭素・窒素・酸素・硫黄などの凡庸元素のみで構成される化合物を用いた有機ELは、社会ニーズに合致するサステイナブルなデバイスです。しかし、有機ELは輝度が低く、高温耐性も低いことが課題です。また、従来の有機EL製造は、有機分子を人体や環境に有害な有機溶媒に溶解させ基板上に塗布しているため、有機溶媒の処理のために製造コストが高いことも大きな課題です。
私は、高品質の有機ナノ結晶が発現する量子効果に着目して研究を進めています。有機ELの担体として高品質有機ナノ結晶を用いると、0次元状態密度形成により量子効果が発現し、低駆動電圧かつ高温耐久性を持つ発光素子が実現でき、さらに結晶サイズを変えるだけで発光色を変化させることもできます。また、有機ナノ結晶は水系の分散液として調製することができ、低環境負荷な有機EL製造の実現が期待できます。
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柔らかい圧力センサだけで、掌の圧力分布と手の動きを両方とも検知できるデータグローブ(Pressure to Posture Glove 略称P2P-Glove)を開発する
【用途例】P2P-Gloveが桃収穫、手話認識、医療訓練などへの分野への
応用開発等を進めている。
既存のデータグローブの問題点として、バルキーで分厚く、長時間使用した時の違和感が大きいことや、精度が低く単価が高いことなどが挙げられる。原因は掌の圧力検知と手の動き検知が異なる種類のセンサを利用しているため、データグローブの構造が複雑になることにたどり着けられる。それに対して、私は柔らかくて安価な圧力センサだけで、掌の圧力分布と手の動きを両方とも検知できるデータグローブを提案し、Pressure to Posture Glove (P2P-Glove)と名付けた。本研究により、新しい触覚と動作を同時に検知するP2P-Gloveの方式を確立させ、様々な仕事の現場や日常生活への応用の広がりに貢献することが期待できる。
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バイオマス資源を原料とする有用化成品の合成技術の開発 【用途例】バイオマスを原料とした有用化成品の合成技術の開発
石油や天然ガスなどの化石資源は自動車や航空機の燃料、衣類や化成品の原料などとして利用され、人類の経済活動の発展を支えてきた。しかし、その埋蔵量には限りがあり、枯渇が危惧されている。また、化石資源を消費することで副次的に生産されるものの中には、環境問題を引き起こす物質も多く確認されている。例えば、二酸化炭素は地球温暖化の要因として取り上げられ、また窒素酸化物や硫黄酸化物は、酸性雨・大気汚染などの公害問題の原因物質として問題となっている。これらの理由から、近年では化石資源の節制・保存を目的としてバイオマス資源への代替が注目されている。そこで本研究では、バイオマスの主成分であるリグノセルロースの化学変換により有用化成品を製造するための合成技術の確立を目指す。
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微生物による水素燃料とファインケミカル原料の同時生産技術の開発 【用途例】未利用の農地と資源を利活用する
水素燃料は、次世代の社会基盤を形成するエネルギー媒体として注目されています。またファインケミカル産業は、新たな付加価値や機能性を有する素材の生産事業として期待が高まっています。第二次産業は食品加工技術だけでなく、農産物をファインケミカル産業に供給可能な原材料に加工する技術を開発する必要があります。医薬品や生理活性物質のようなファインケミカルあるいはその原料を微生物により生産する技術を開発することは、第一次産業である農業を基盤とした新たな市場形成、新規雇用開発、サーキュラーバイオエコノミーの形成に寄与する可能性があります。
本研究課題では、農産物などから水素燃料とファインケミカル原料を同時に生産する技術(乳酸駆動型嫌気発酵)を開発し、これを社会実装規模で実証します。
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