2021年度公募 seeds-1846 - 【九州・沖縄】 低品位シリカの熱プラズマ中インフライト還元による金属シリコン製造
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VISION

ビジョン

1万度の高温“熱プラズマ”技術を用いて低品位シリカの高度利用技術を確立

水素ラジカルを用いた反応性プラズマ還元により,低品位シリカから金属シリコンを製造

2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの重要性が益々高まっている中で、大量の太陽光発電用高純度シリコンが必要となる見込みです。高純度シリコンの製造には、シリカ原料からの金属シリコン(MG-Si)の製造が最初のステップとなりますが、エネルギー多消費かつ二酸化炭素を排出するプロセスです。本研究では、熱プラズマの超高温を利用したインフライト水素還元プロセスの着目することで、エネルギー効率に優れる金属シリコン製造方法の確立を目指します。

従来技術である炭素電極アーク炉(電炉)では、一度還元されたシリコンが再び部分酸化されるなど、複雑な再循環の過程を経るためにエネルギー効率が低く、大量の二酸化炭素を排出する点が大きな課題点です。そこで本提案手法では、高温・高化学活性の熱プラズマ中でのインフライト処理に着目しました。数十~数百マイクロメートルのシリカ粉末を熱プラズマに投入することで、再循環の抑制、反応時間の短縮が可能となるため、エネルギー効率に優れ、CO2を排出しない革新的な金属シリコン製造方法が確立できると考えます。

USE CASE

最終用途例

プラズマを用いたインフライト処理技術を用いて

USE CASE 01低品位シリカからの金属シリコンおよびシリコンナノ材料のコプロダクション

APPLICATION

APPLICATION

1万度のプラズマ技術 ~反応性水素ラジカルを用いたインフライト水素還元~

アルゴンと水素の混合ガスをプラズマ化することで、反応性の高い1万度のプラズマが形成されます。この1万度のプラズマに被処理物質を粉体状で導入することで、プラズマ中で還元反応が進行することで、高速処理を行います。

USE CASE 02別用途での使用一例として:窒素プラズマを用いた窒化処理

APPLICATION

APPLICATION

各種材料創成プロセスへの波及効果を見据えて

同様の設備を用いて、プラズマガス種を変更するだけで、様々な反応性を付与できます。例えば窒素プラズマを用いた窒化処理、酸素プラズマを用いた酸化処理など、各種インフライト化学反応場として応用できます。

STRENGTHS

強み

1万度のプラズマ技術の真の実用化に向けた3つの強み

STRENGTHS 01

革新的なプラズマを「つくる」

粒子単位の瞬時の還元プロセス(インフライト溶融・還元プロセス)に特化した1万度のプラズマ発生技術として、研究者独自のダイオード整流プラズマ発生技術を駆使した「使い勝手」のよいプラズマ発生技術を開発します。

STRENGTHS 02

プラズマ中の現象を「みる」

インフライト水素還元中の、プラズマ場の物理量を計測・可視化することで、プラズマ温度、シリコン温度、濃度などの具体的な物理量を取得する研究を行っていることが強みの一つです。超高温の熱プラズマ場の計測は極めて困難であり、従来の計測手法では実施できないが、研究者が世界に先駆けて開発した計測手法に用いて諸現象を可視化することで、プラズマを正しく「つかう」技術を開発します。

STRENGTHS 03

プラズマを正しく「つかう」

適切なプラズマを適切にみることで、正しくプラズマをつかうことができます。

今回は、インフライト還元プロセスとして使用することで、MG-Siの大量製造手法、かつSiナノ材料およびシランガスの連続合成を行います。

TECHNOLOGY

テクノロジー

1万度の熱プラズマ技術の新しい活用方法

TECHNOLOGY 01

高温熱プラズマ中での化学反応を利用して、ミリ秒オーダーで生じる現象を活用します。

シリカ原料をプラズマ中でインフライト処理することで、ミリ秒オーダーで進行する化学反応場を構築します。

さらに、その化学反応場の熱流動特性を可視化する基礎現象可視化システムを併用することで、最適なプロセスの実現を目指します。

PRESENTATION

共同研究仮説

新しい熱プラズマ発生技術の実用化を一緒に取り組んで頂けませんか?

共同研究仮説01

プラズマを「つかう」プロセスの開発

シリカ原料をインフライト還元処理することで、効率のよい金属グレードシリコンの大量生産プロセスを構築したいと考えています。低品位シリカとして、例えば珪藻土など多種多様なシリカ源を検討したく思います。

本プロセスにご興味をお持ちの方からのご連絡をお待ち致します。

共同研究仮説02

プラズマを「みる」技術の開発

プラズマ中の複雑な諸現象を可視化する手法の開発も行っています。

本プロセスからの派生になりますが、プラズマ診断技術に興味をお持ちの方々からのご連絡もお待ちしています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

田中 学 九州大学 工学研究院 化学工学部門
経歴

2010年 東京工業大学 総合理工学研究科 化学環境学専攻 特別研究員

2013年 同上 特任助教

2014年~2021年 九州大学 工学研究院 化学工学部門 助教

2021年~現在 同上 准教授(現職)

研究者からのメッセージ

1万度の熱プラズマを用いた革新的プロセスの構築を目指して

熱プラズマの利用技術は、アーク溶接に代表されるように国内外で広く用いられています。その一方で、単なる熱的な利用技術が主であり、化学プロセスへの応用は極めて限定的です。熱プラズマ中の基礎現象をブラックボックスにせずに用いることで、現状の電力多消費プロセスにとって代わる新たな熱プラズマ化学プロセスが期待されます。