2021年度公募 seeds-1794 - 【関東】 希少細胞の1細胞分取技術の向上と、ハイドロゲル3Dプリントを利用した灌流マイクロ流路技術の構築
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VISION

ビジョン

分取したプライマリー細胞が培養可能な、ハイドロゲル製灌流マイクロ流路デバイスの創出

希少細胞の1細胞分取技術

雑多な中から特定の細胞を効率よく1個単位で分取する独自の細胞分取システム「レアセルソーター」の開発をしています。レアセルソーターは、直径18 µmのマイクロピラーアレイが施されたチップにサンプルを注入し、特定の細胞に対してサイズ・変形能の違いから篩分け,さらにそこから個別に細胞を分取する技術を備えています。本技術は、シンプルさゆえに低コスト化・高速化はさることながら、高純度かつ“生きたままの細胞”を処理産物として提供することが可能です。本研究では、当該1細胞分取技術の向上と、このように分取してきたプライマリー細胞をEx Vivoで培養アッセイする技術の確立を目指します。

犠牲層ハイドロゲル材料を利用した3D灌流マイクロ流路の作製技術

一般的にハイドロゲル製のマイクロ流路は、強度不足のため管腔の維持が難しく、安定した流れを形成した報告は少ないです。また、Ex Vivoの培養組織に灌流系を構築するには、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)による自己組織的なアプローチを取ることが多く、それでは灌流が成立するに数週間ほどの時間を要します。本研究では、低温融解するハイドロゲル材料によりプリンティングされた犠牲層マイクロ流路を予め造形することにより、培養基質材へ冷却水の注入のみで3D灌流マイクロ流路の形成と管腔維持を達成する、新しいマイクロ流路作製技術を提供します。それにより、がんオルガノイドの安定作製を目指します。

USE CASE

最終用途例

希少な細胞の1細胞分取とオルガノイド培養技術で、細胞機能評価、がん診断、創薬開発に貢献

USE CASE 01超希少な細胞の単離が必要なアプリケーション

APPLICATION

APPLICATION

Circulating Tumor Cellの1細胞分取

がん患者の血液から,がん転移に関与する超希少ながん細胞(Circulating Tumor Cell)を高感度、高特異度、さらにダメージレスで分取でき、患者の身体的負担が少なく、がんの網羅的な解析が可能になります。

USE CASE 02血管構造を有する培養基材が必要なアプリケーション

APPLICATION

APPLICATION

がんオルガノイドの安定作製

がん細胞をはじめとする生物由来のプライマリー細胞のオルガノイドが樹立でき、患者の病期に応じた薬剤試験や機能評価が可能になります。

STRENGTHS

強み

超稀少な細胞を、“生きたまま”、“確実に”、“逃さず”、単離する

STRENGTHS 01

高感度・高特異度・ダメージレス

マウスを用いた前臨床試験で、平均90.6%の高い捕捉率を示す(=高感度)

従来のセルソーターでは10-30%の純度だが、本研究では90%の平均細胞純度を示す(=高特異度)

一連の細胞分取前後で,RIN(RNA Integrity Number)が7.9以上を示す(ダメージレス)

※右図はその一例

TECHNOLOGY

テクノロジー

ハイドロゲル材料の3Dプリンティング

TECHNOLOGY 01

ハイドロゲル製3D灌流マイクロ流路の作製

犠牲層ハイドロゲル材料を応用した3D灌流マイクロ流路の作製法を構築し、培養組織への血管新生の誘引と、規格化されたがんオルガノイドの樹立に挑戦する。

PRESENTATION

共同研究仮説

複雑な微細構造体を可能にする新規光応答性ゲル材料の開発

共同研究仮説01

ハイドロゲル3Dプリントの課題と実用化

微細なハイドロゲル製の流路構造を作製するにあり,犠牲層を予め作製することで流路構造を実現できることは実証済みです。生体内の毛細血管レベルの管腔構造を再現するためには、造形装置の改善もさることながら材料開発がポイントになります。実用化にむけて犠牲層として有用な光応答性ゲル材料の開発が進むことにより、造形精度の向上が期待できます。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

益田泰輔 国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻
経歴

2003年-2006年 日本学術振興会 特別研究員

2006年-2010年 東北大学 大学院歯学研究科 助教

2010年-2016年 名古屋大学 大学院工学研究 助教

2016年-2020年 名古屋大学 未来社会創造機構 特任准教授

2020年-現在 東京大学 大学院工学系研究科 特任准教授

【主な受賞歴】

2019年 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門、ROBOMECH表彰

2019年 グッドデザイン賞受賞

2018年 第37回化学とマイクロ・ナノシステム研究会、優秀研究賞

2018年 IEEE MHS 2018、Best Paper Award

ほか

研究者からのメッセージ

医工融合領域における多数の研究実績を有しています。

マイクロ・ナノメカトロニクス関連デバイスやバイオロボティクスを基盤に、生体医歯工学の異分野融合の研究に取り組み、BioMEMS、細胞組織工学の基礎研究から、医療関連機器の開発に取り組んでいます。