2021年度公募 seeds-1777 - 【中部】 物体表面の音響透過損失制御による流体機械の省エネルギー化
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VISION

ビジョン

新しい観点での流動制御による流体関連機械の低損失・低騒音・省エネ化

今さら流体制御?

流体によるエネルギーロスや騒音の発生は大きな課題としてとらえられ、様々な観点から長く研究が行われてきました。しかし、長い歴史を持つがゆえ、その研究成果は限界を迎えつつあり、大きな効果を得る手法の提案は難しくなっています。そこで本研究で目を付けたのが、物体表面の音響透過損失の制御による流体の制御です。

エネルギーロスや騒音の発生を低減するための流体の制御と言えば、境界層や渦の制御がパッと浮かぶ方もいらっしゃると思います。確かに、例えば物体表面から空気流を吹き出すことや、物体の形状を工夫することで、これまで多くの、有益な流体制御効果を得てきました。しかし、先述の通り、最適化技術やAI/機械学習技術の進歩もあり、例えば物体形状の工夫や最適化によるエネルギーロスや騒音の発生の低減は限界を迎えています。

このような背景から、これまで当たり前であったことを当たり前としない、既成概念を捨てる考えにたどり着きました。それが、物体表面の音響透過性の制御です。音響透過性の制御とは、すなわち圧力波の通りやすさを意味します。物体の表面では基本的には圧力波を全反射するものとして議論しますが、表面の素材を変え、音響透過性を高めることで、従来の流体に関する運動方程式を変え、流体を制御し、今までと異なる制御効果を得ます。

どれだけ効果があるの?

 ここまでのお話から、二点の疑問が出ると思います。

 一つは、音響透過損失の制御って何?という点です。そもそも、音響透過損失とは、物体の音の通りやすさを表します。この値が小さければ小さいほど、音を通しやすくなります。当然、剛体であれば音は通りにくくなります。しかし、物体表面の性状を少し変更することで、この値は変化します。一見剛体に見えるものでも、音が通りやすくなります。その一例が、多孔質材料の利用です。これは昔から利用されている材料ですが、多孔質材料を物体表面に設置することで、音響透過損失は変化します。そして、さらに注目すべきは、その損失の大きさ、すなわち音の通りやすさが、音の周波数により異なる点です。私たちは、流体の中で発生している圧力変動の周波数に着目し、これに基づいて物体表面の音響透過損失の制御を行うことで、流体による抵抗や騒音の発生量が大きく変化することを見出しました。

 疑問の二つ目は、それで一体どれくらい効果があるのか?という点です。これは一言では言い表せないのですが、強いて言えば、音を通しやすくなればなるほど、その効果は上がっていくという点です。逆に言うと、その流体関連機械で、どの程度まで音響透過損失を下げることができるかにより効果は変わります。

USE CASE

最終用途例

SDGsの達成に向け、流体関連機械の低損失化・低騒音化は必要不可欠

USE CASE 01風力発電への利用

APPLICATION

APPLICATION

風力発電の発電効率向上はSDGsの達成に必要不可欠

風力発電は二酸化炭素を排出しない発電方法のひとつで、これからの電力を支える技術といえます。

この発電の効率が上がり、発生する騒音が小さくなれば、きっと我々は嬉しくなるはずです。

USE CASE 02自動車への利用

APPLICATION

APPLICATION

自動車が電動化すると、もっともっと車内の静粛性が必要不可欠

電気自動車はこれからの自動車の主役となる車ですが、この電気自動車、内燃機関が無くなったためか、空調機の音が相対的に目立ちます。これを静かにできれば、きっと我々は嬉しくなるはずです。

USE CASE 03建築物への利用

APPLICATION

APPLICATION

窓やベランダの手すりなど、建築部材を通る風による音を減らすことが室内環境向上に必要不可欠

換気に対する需要の高まりにより、窓やベランダで空気流を通す機会が増えています。この空気流の通過は異音や騒音の発生につながります。これを静かにできれば、もっと室内環境が向上するはずです。

STRENGTHS

強み

簡易・手軽な手法で流体による抵抗や騒音の発生を抑制

STRENGTHS 01

物体表面の性状を変えることで簡単に抵抗や騒音を大幅に抑制する

流体の制御による抵抗や騒音の低減はこれまで多く行われてきましたが、複雑な手法や装置が使われることも少なくありませんでした。これに対し、この技術は、物体表面の性状を別材料の貼り付けるという簡単な手法で抵抗や騒音を低減します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

物体表面を音は通すが流体は通さない状態にする

TECHNOLOGY 01

物体表面の性状設計

本技術で注目したのは物体表面の性状です。一般的な剛体材料に比べてある程度の空隙をもつ材料を用いることで、流体は通さないが、音はよく通す状態をつくります。そして、このような物体表面の性状設計により、流体による抵抗と騒音の発生を小さくします。

PRESENTATION

共同研究仮説

物体表面の音響透過損失制御による流体抵抗と騒音の低減に取り組みませんか?

共同研究仮説01

これまでの流体力学と違った観点で、大幅に抵抗と騒音の低減が期待できる技術の構築

この技術で提案している手法は、これまでの流体力学の考え方とはずれたものになります。正直、「本当にそんなことできるの?」、という印象を抱かれる方も多いと思います。かくいう私も、この事実を初めて見つけた時はとても驚かされました。まだまだこれからやるべきことは多いのですが、是非ともに取り組みませんか?

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

寺島 修 富山県立大学 工学部 機械システム工学科
経歴

【研究者紹介HP】

https://researchmap.jp/read0156642

研究者からのメッセージ

これまでと違った視点で、大きな効果を得る方法を実現しませんか?

これまで、様々な流体制御技術を考案してきましたが、いざ実用化となった際に「難しい」と言われることがあったり、「効果が弱い」と言われることがあったりと、悔しい思いをしてきました。なんとか、実用性のある方法で、大きな効果を得たいと考えていますので、ぜひ一緒によろしくお願いいたします。