2021年度公募 seeds-1819 - 【中部】 合成エラスチン: 機能性ファイバー・ゲルを形成する人工タンパク質
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VISION

ビジョン

新素材「合成エラスチン」
~タンパク質ナノファイバー/ハイドロゲルで未来を豊かに~

エラスチンの機能を持つ化学合成タンパク質を創出

生体組織に弾性・伸縮性を与えるエラスチンタンパク質は、コラーゲンやヒアルロン酸と並んで重要な細胞外マトリックス成分ですが、抽出法や化学合成法が確立されておらず、実利用・普及に至っていません。本研究開発では、自己集合してナノファイバーやハイドロゲルを形成し、エラスチンの機能を再現できるタンパク質・ペプチドの最小アミノ酸配列を探索し、その化学合成法を確立します。合成エラスチンが実現すれば、社会、産業においてエラスチンを利活用する道が拓かれ、機能性化粧品や食品、細胞培養基材、実験用モデル組織、人工血管、創傷治癒、ウェアラブルデバイス用素材等、多数の応用につながると期待されます。

安心、高品質、機能付与が可能なエラスチン

動物から抽出するエラスチンや、遺伝子組換で作製されるエラスチンと異なり、高純度で安定した品質の化学合成エラスチンを開発します。生体由来エラスチンで懸念されていた石灰化や内毒素残留のない、安全・安心なエラスチンを供給します。また、エラスチン最小配列への機能性ペプチドや低分子の付加により、機能の追加も可能です。

USE CASE

最終用途例

安心で高品質なエラスチンを、
医療、化粧品、食品、次世代デバイス等、幅広い分野へ

USE CASE 01化粧品や食品の添加剤として

APPLICATION

APPLICATION

極微量で機能するレオロジーコントロール剤

合成エラスチンは、水中で、長さ数十マイクロメートルを超える長いナノファイバーを形成します。このナノファイバーは分散性にすぐれ、溶液の透明性を損ないません。この特徴により、ごくわずか(およそ0.03wt%)の添加量であっても、水溶液のレオロジーを弾性的に変化させます。

USE CASE 02二次元・三次元細胞培養基材として

APPLICATION

APPLICATION

ユニークな粘弾性と生体適合性を持つナノファイバー・ハイドロゲルで細胞を培養

合成エラスチンのナノファイバーは、塗布・乾燥によって簡単に基材にコーティングできます。また、合成エラスチンのハイドロゲルは、振とうにより液状化、静置によって再ゲル化する自己修復特性を持つため、ゲルへの簡便な細胞包埋や、細胞3Dプリンティングのバイオインクに適しています。人工臓器や培養肉作製のための足場材料として活用が期待されるほか、抗血栓性を持つため人工血管用途にも好適です。

USE CASE 03新たなヒューマンインターフェースとして

APPLICATION

APPLICATION

高品質なタンパク質ナノファイバーを次世代デバイスへ

合成エラスチンのナノファイバーは、単独で成膜したり、他の高分子材料と混合してシートを形成させることができます。配列変換・付加による機能拡張で、力学特性、細胞接着性、電気的特性などを制御できるため、ウェアラブルデバイス用素材としての発展が期待できます。

STRENGTHS

強み

エラスチンの力学的・生物学的特性を再現でき、化学合成法に基づき生産される「合成エラスチン」

STRENGTHS 01

弾性繊維形成能をもち、機能のカスタマイズが可能な人工タンパク質

合成エラスチンは生体エラスチンの弾性繊維形成能細胞接着性血小板低粘着性等を再現しつつ新機能をも付与できる世界で唯一のタンパク質です。

STRENGTHS 02

化学合成による高純度、高品質なタンパク質材料の製造

生体からの抽出や組換え技術による製法とは異なり、生体由来の不純物を全く含まないため高い安全性と品質管理が期待できます。生体由来の不純物の除去操作も必要ないためコストダウンも期待できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

温度に応答した自己組織化能を持つ人工タンパク質

TECHNOLOGY 01

冷水に溶解し、昇温で自己組織化してナノファイバーを形成。ナノファイバー表面に機能性配列が露出し機能を発現します。

合成エラスチンは、温度応答性配列・繊維形成配列・機能性配列の3つの要素配列からなります。配列設計により、ファイバーを形成する温度や機能(細胞接着性など)を自在にカスタマイズできます。

TECHNOLOGY 02

化学合成によるエラスチンタンパク質の製造

それぞれのアミノ酸の性質に合わせた反応条件を選択することで効率的に合成を行います。実験室レベルでも数百mgからグラムスケールの合成が可能です。

PRESENTATION

共同研究仮説

「合成エラスチン」で新たな事業創出、豊かな未来を実現できます

共同研究仮説01

エラスチンの取り扱いでお困りの企業様へ

合成エラスチンは、生体由来エラスチンの課題であった、溶媒に不溶、品質が一定でない、不純物残留の懸念をすべて解決します。

共同研究仮説02

良質なナノファイバー・ハイドロゲル素材をお求めの企業様へ

合成エラスチンは、透明性にすぐれるナノファイバー分散液およびハイドロゲルを与えます。ナノファイバーは数十マイクロメートル以上の長さを持ち、特異な粘弾性を発現します。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

鳴瀧 彩絵 東海国立大学機構 名古屋大学
経歴

2004年 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了

2004年〜2007年 東京医科歯科大学生体材料工学研究所 日本学術振興会特別研究員(PD)
2007年〜2008年 カリフォルニア工科大学 日本学術振興会海外特別研究員
2008年〜2013年 東京大学大学院工学系研究科 助教
2014年〜2020年 名古屋大学大学院工学研究科 准教授

2020年~ 名古屋大学大学院工学研究科 教授(現職)

研究室ホームページ:https://softmater.energy.nagoya-u.ac.jp/index.html

研究者からのメッセージ

自己組織化を極めて新材料をつくりたい

物質が自発的に秩序を形成する「自己組織化」を利用した材料合成に長く取り組んできました。省エネルギーで高品質な材料をつくるモノづくりにこだわり、持続可能で豊かな社会の実現を目指します。異分野融合研究に力を入れていますので、ぜひ何でもご相談下さい。