2021年度公募 seeds-1336 - 【北海道・東北】 合金反応場設計に基づく超高耐久アルカン脱水素触媒システムの開発
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VISION

ビジョン

高耐久多元素ナノ粒子触媒の開発により、プロピレンの製造プロセスの省資源及び経済性の大幅な向上を目指す

プロピレンが分解し炭素が析出するのを抑える触媒設計を開発

脱水素反応は、プロパンから基幹化学品であるプロピレンを合成する際に必要となる重要な化学反応です。
従来、この反応に対して、白金など貴金属元素を基盤とする触媒開発が行われていますが、プロピレンが分解され析出される炭素により急速な触媒の失活が課題となっています。本研究では、多元素合金ナノ粒子を精密に合成出来る技術により、世界最高レベルの耐久性と高効率な触媒の開発に成功しました。
今後は、触媒の工業的生産においても研究室内と同レベルの品質を確保し、プロピレンに限らず低級アルカン等の製造プロセスの省資源及び経済性の大幅な向上を目指します。

USE CASE

最終用途例

多元素合金ナノ粒子触媒

USE CASE 01経済性と競争力に優れたプロピレン製造の実現

APPLICATION

APPLICATION

従来触媒をはるかに上回る長期安定性の多元素合金ナノ粒子触媒を使用することで、プロピレンの生産性の向上と、大幅なコスト削減が可能になります。

基幹化学品であるプロピレンの製造に必要な600度以上の高温環境下で、工業的に広く用いられているPt-Sn系触媒は高温下では触媒が析出した炭素で覆われ、失活するため未だ安定性は十分ではありません。
しかし、今回開発した2種類の触媒であるPtGa系と6元素系の触媒を利用することで上記の課題を解決することが出来ます。
特に6元素系の触媒は、高エントロピー合金を用いることで高い熱的安定性を示し、再生処理後も元の性能を維持することが認められました。またPbも使用しないため安全性が高い触媒でもあります。

STRENGTHS

強み

世界最高の耐久性を実現した多元素合金ナノ粒子触媒

STRENGTHS 01

従来触媒をはるかに上回る長期安定性を実現

従来の触媒に比べ圧倒的に高い耐久性と選択性を有する触媒の開発に成功したことにより、次世代の高性能な触媒開発への展開の足掛かりとなります。

STRENGTHS 02

水素生成プロセスへの応用

本脱水素技術は水素キャリアからの水素生成プロセスにも応用が可能なため、水素インフラの社会実装への貢献も期待できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

圧倒的耐久性を実現した多元素合金ナノ粒子の精密合成技術

TECHNOLOGY 01

触媒の高い熱的安定性を実現

担体をSiO2、主金属をPtとする、多元素合金ナノ粒子を精密に合成することで、従来触媒の課題であった高温下の劣化を克服し、高効率なアルカン脱水素触媒の生成が可能となりました。従来型触媒では、PtーSn系に代表される二元合金が未だ主流であるのに対し、本技術では4~6元素から構成される多元素合金触媒を用いており材料面でも革新性が高いです。

PRESENTATION

共同研究仮説

金属触媒プロセスのお悩み解決

共同研究仮説01

金属触媒の多元素化により劇的な性能向上が可能

金属を合金化により複合化、多元素化することにより触媒としての性能を飛躍的に向上させることを得意としています。触媒活性、選択性、耐久性など、実用プロセスに求められる高い性能を兼ね備えた理想的な触媒開発を共同で目指します。

RESEARCHER

研究者

古川 森也 北海道大学触媒科学研究所
経歴

2009 年4 月 日本学術振興会特別研究員 DC1
2012 年4 月 東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻 助教
2016 年7 月 北海道大学触媒科学研究所 准教授
2019 年8 月 文部科学省研究振興局 学術調査官(兼任)
~2021 年7 月
2019 年10 月 科学技術振興機構 さきがけ研究者(兼任)

研究者からのメッセージ

合金材料を駆使した触媒研究開発により、産業と学術にイノベーションを興す

多種多様な合金材料を駆使することで、従来では実現出来なかったような高難度の触媒反応を達成することを目標として日々研究を行っています。基礎と応用の両方を重視し、学問の発展と社会への貢献双方に寄与することを目指します。