2021年度公募 seeds-1397 - 【九州・沖縄】 ファインバブルや界面活性剤を用いた生分解性電気絶縁油の改質基盤技術の研究開発
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VISION

ビジョン

安全・安心・微小な材料を用いて、持続可能で環境にやさしい生分解性電気絶縁油を改質・高性能化したい

パームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)の改質・高性能化に適した窒素ファインバブル(FB)の拡散技術の確立

変圧器などの電気機器に用いられる生分解性電気絶縁油(エステル油)は、従来の主な電気絶縁油である石油由来の鉱油に比べて持続可能で環境負荷が低いため、需要拡大が見込まれています。エステル油は、鉱油に比べて一部の性能が劣っているため、改質による高性能化が求められています。近年、エステル油や鉱油にナノサイズの粒子(ナノ粒子)を適量添加することで、高性能化を実現できる可能性が報告されています。しかし、ナノ粒子が凝集すると絶縁油の性能が低下し、ナノ粒子の粒径が小さいほど人体や環境に対する毒性が増加することが問題となっています。本事業では、ナノ粒子に代わる安全・安心・微小な材料として、窒素ファインバブル(FB)や非イオン界面活性剤(Non-ion)を用いた新たな改質基盤技術の研究開発を行うことを考案し、その第一歩として、エステル油の一種である「パームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)の改質・高性能化に適した窒素FBの拡散技術の確立」を目指しています。特に、「窒素FBの発生時間、原料窒素ガス供給量、発生後の静置時間」がPFAEの代表性状と窒素FBの直径や量に及ぼす影響を解明し、PFAEの改質・高性能化に必要な条件と機序を明らかにしていきます。

様々なエステル油の改質・高性能化に適した窒素FBやNon-ionの拡散技術の確立と電気機器への応用

エステル油は、合成エステル、天然エステル(植物油)、植物由来エステルの3つに大別されています(JIS C 2390の規格群を参照)。現在、国内では植物由来エステルの一種であるPFAEの他にも、いくつかの合成エステルや天然エステル(菜種油、大豆油など)が市販されています。鉱油と比較した場合、PFAEでは主に体積抵抗率の向上と電力損失(誘電正接)の低減が必要ですが、合成エステルや天然エステルではさらに動粘度の低減も必要とされています。本事業では、上記のPFAEだけでなく、合成エステルや天然エステルに対しても、窒素FBやNon-ionを個別または同時に拡散させて、その種類、直径、量が各種エステル油の代表性状に及ぼす影響を解明し、各種エステル油の改質・高性能化に必要な条件と機序を明らかにしていきます。そして、各種エステル油に適した改質基盤技術を確立し、変圧器などの電気機器に応用することを目指します。

USE CASE

最終用途例

窒素FBやNon-ionを用いて改質・高性能化したエステル油は、環境・エネルギー分野、ナノテク・材料分野などで注目

USE CASE 01エステル油に適した窒素FBやNon-ionの拡散技術

APPLICATION

APPLICATION

様々なエステル油の改質・高性能化に適した窒素FBやNon-ionの拡散技術を提供

エステル油は、原料や種類によって、電気的および化学的な性質が異なります。本事業では、エステル油の種類ごとに、適した窒素FBやNon-ionの拡散基盤技術を確立し、提供することを目指しており、研究開発を進めています。

STRENGTHS

強み

凝集による性能低下や毒性増加の懸念がない安全・安心・微小な材料を用いたエステル油の改質基盤技術

STRENGTHS 01

「独自開発した窒素FB発生装置」を用いて窒素FBを拡散させて、エステル油を改質・高性能化する

エステル油や鉱油では、気泡が存在すると電気絶縁の弱点になることが知られています。しかし、これまでの研究で、微小な窒素FBであればエステル油や鉱油の高性能化を実現できる可能性があることが示唆されています。

STRENGTHS 02

「独自選定したNon-ion」を拡散させて、エステル油を改質・高性能化する

ナノ粒子には凝集や毒性の懸念がありますが、Non-ionは洗剤や化粧品などに用いられており、微量であれば凝集や毒性の懸念がほとんどありません。また、一部のNon-ionには、FBを微細化できる効果があることが報告されています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

モータの高速回転による遠心力とせん断力で得られる窒素FB発生技術およびエステル油の性能評価技術

TECHNOLOGY 01

エステル油中に窒素FBを拡散させる独自技術

放射状に加工した直径1mmの8つの穴からモータの遠心力で窒素ガスを排出し、気液界面の気泡をモータの回転力で高速せん断して窒素FBを発生させます。窒素FBの発生時間や原料窒素ガス供給量などの制御が可能です。

TECHNOLOGY 02

窒素FBやNon-ionを拡散させたエステル油の電気的および化学的な性能評価技術

窒素FBやNon-ionを拡散させたエステル油の代表性状として、絶縁破壊電圧、体積抵抗率、誘電正接、比誘電率、動粘度、密度、水分量、窒素・酸素の溶解量などを評価して、エステル油の高性能化が可能な条件を究明します。

PRESENTATION

共同研究仮説

環境にやさしいエステル油の改質基盤技術を活用した電気機器の開発と普及を共に目指しませんか

共同研究仮説01

大容量のエステル油に適した窒素FB発生装置の試作と評価・改良および実機開発

本事業で得られる成果や知見を基に、企業の方と共同で上記装置の試作と評価・改良を実施したいと考えています。また、将来的には実機を開発していただき、上市を目指したいと考えています。

共同研究仮説02

窒素密封式で環境配慮型の新たな変圧器の試作と評価・改良および実機開発

本事業で得られる成果や知見を基に、企業の方と共同で上記変圧器の試作と評価・改良を実施したいと考えています。また、将来的には実機を開発していただき、上市を目指したいと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

高村 紀充 福岡大学 工学部 電気工学科
経歴

2015年4月-現在 福岡大学 工学部 電気工学科 助教
2014年10月-2015年3月 日本学術振興会 特別研究員(PD) (熊本大学)
2013年4月-2014年9月 日本学術振興会 特別研究員(DC2) (熊本大学)
2013年1月-2013年2月 オランダ王国 アイントホーフェン工科大学 研究留学 (客員研究員)
2012年4月-2013年3月 日本学術振興会 グローバルCOEプログラム 衝撃エネルギー工学グローバル先導拠点 ジュニア・リサーチ・アソシエイト(JRA) (熊本大学)
2012年4月-2014年9月 熊本大学 大学院 自然科学研究科 複合新領域科学専攻 博士後期課程
2011年10月-2012年3月 熊本大学 バイオエレクトリクス研究センター 環境バイオエレクトリクス分野 技術補佐員
2011年4月-2012年3月 熊本大学 大学院 自然科学研究科 複合新領域科学専攻 博士前期課程
2008年4月-2011年2月 三菱電機エンジニアリング株式会社 長崎事業所 技術第一部
2004年4月-2008年3月 熊本大学 工学部 電気システム工学科

荒岡 信隆 福岡大学 工学部 電気工学科
経歴

2017年4月-現在 福岡大学 工学部 電気工学科 助手
2010年4月-2017年2月 株式会社東芝 電力・社会システム技術開発センター 送変電機器開発部
2008年4月-2010年3月 九州大学 大学院 理学府 物理学専攻 修士課程
2004年4月-2008年3月 九州大学 理学部 物理学科