2021年度公募 seeds-1227 - 【関東】 セラミックス3Dプリントのプロセスの開発、ならびに、本プロセスを経て製造可能となる各種複雑形状セラミックス体の提供に向けた研究
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VISION

ビジョン

3Dプリンターを活用した、「高効率」で「低環境負荷」なセラミックス製造技術の普及に貢献したい

セラミックス材料の3次元造形市場は10年間で20倍の拡大が予測される成長分野だが、光造形法には課題がありました

世界におけるセラミックス材料の三次元造形市場は2019年で200億円、2028年には4000億円とおよそ20倍にも拡大すると予測される成長分野です。特にセラミックス材料の3次元光造形技術は、コンピュータなどで設計支援された複雑形状部材を、高精細かつ生産性良く製造できる期待から、高い関心が寄せられています。
しかし、セラミックス材料の光造形プロセスには、インク材料の時間安定性、造形物の長い乾燥・焼成時間、溶剤使用による製造工程における環境負荷および利用者の安全衛生面への懸念、細かい造形に対する高い難度、等のさまざまな課題を抱えています。これらの課題が総合的に解決されない限りは商業における実用的な生産は困難であると考えられます。

複雑な形状をもつ3次元セラミックス構造体の光造形を、低コストかつ安全・低環境負荷型なプロセスで実現することを目指します

これらの課題を解決すべく、本研究の前段階にて、製造プロセスの短縮化等を実現する独自の3Dプリント用インク設計技術を開発しました。しかし、当該研究では溶剤系インクを使用していたため、環境負荷が高く、かつ、利用者の安全衛生的に課題がありました。
それら課題も改善するため、本研究では「ごく少量の樹脂分でスラリーを光硬化できる水系インク」を用いた上で、光硬化体の「高速脱脂・焼成を経ても形状崩壊を招くことなく造形物を焼結緻密化できる」プロセスを開発しております。
当該プロセスが実現した暁には、光造形物の脱脂・焼成時間削減による生産性の向上、低コスト化やCO2排出量の削減、溶剤使用量削減による低環境負荷化や利用者の安全衛生の向上が期待されます。また、水系インクを開発することで造形の自由度が高まり、複雑形状の造形も可能になることが期待され、現状予測を超えた光造形法の市場拡大も見込めると考えております。

USE CASE

最終用途例

複雑形状ガラス・セラミックス部材全般の製造

USE CASE 01セラミックス部材を用いた光造形

APPLICATION

APPLICATION

触媒担体やリアクター材料の光造形

人工骨歯などのテイラーメイド生体材料、特異な物質移動経路を有する触媒担体やリアクター材料の光造形

USE CASE 02光学部材の光造形

APPLICATION

APPLICATION

ガラス部材を用いた光造形

内視鏡用カメラ等小型精密機器用途の微小構造部材や、アキシコン型集積レンズなどの光学部材の光造形

STRENGTHS

強み

生産性、環境性・安全性、造形能力における強み

STRENGTHS 01

複雑形状の造形を実現

市場が高い関心を示す要因となっている複雑形状部材の製造を実現するべく、高精細(サブmmオーダー)な表面凹凸構造を持つ、センチメートルスケールの複雑形状セラミックス焼結体が製造できるプロセスの開発を行っています。

STRENGTHS 02

生産効率を向上

従来のいずれの手法も「造形用インクに含まれる多量の可燃性有機分の急速熱分解に伴う造形物の崩壊」を防ぐために、「低速で長時間にわたる脱脂・焼成工程」が強いられていますが、本研究は「10℃/min以上の昇温速度かつ5時間以内(従来比約75%の焼成時間削減)での高速脱脂・焼成を経ても形状崩壊を招くことなく造形物を焼結緻密化」が可能です。

STRENGTHS 03

環境負荷と安全衛生面を改善

従来手法と比して脱脂・焼成時間を約75%短縮することでCO2排出量を削減すると共に、溶剤系ではなく水系インクの使用によりプロセスの低環境負荷化や労働者の安全衛生向上を実現します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

セラミックス原料粒子間をごく少量の樹脂分で光架橋する革新的光硬化性インクの設計技術

TECHNOLOGY 01

過去実績を活用して光造形法によるセラミックス製造プロセスを短縮化

研究者はインク設計技術に基づいて光造形体の焼成工程短縮化の実績があります。本研究は当該実績で得た知見やデータを活用し、光造形法によるセラミックス製造プロセスの短縮化を実現します。

TECHNOLOGY 02

水系インクにより環境負荷・安全性の問題を解決すると共に、複雑形状の造形を実現

溶剤系ではなく水系インクを用いた造形プロセスを開発することで、従来の溶剤系インクを使用した際に懸念されていた環境負荷や安全性の問題を解決すると共に、水系ならではの手法を併用した複雑形状体の造形を実現します。

PRESENTATION

共同研究仮説

セラミックスの新しい光硬化性インクを活用した、新製品開発や製造プロセスの高効率化に共に挑みませんか?

共同研究仮説01

任意形状を高速プロセスで安価かつ安全に造る次世代プロセスを活用

御社が開発目標とされる部材の求める外形構造や特性値に応じて、当方独自の光硬化性インクの設計技術とその光造形手法を多角的に最適化し、産業実装化に挑戦します。

共同研究仮説02

あらゆるセラミックス素材が検討可能

モデルとしてシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)を扱っていますが、様々なセラミックス素材について3Dプリンティング用水系インクの開発を検討可能です。ご相談ください。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

飯島 志行 国立大学法人横浜国立大学 大学院環境情報研究院 人工環境と情報部門
経歴

2007年4月-2008年3月 日本学術振興会 特別研究員
2008年4月-2010年3月 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 助教
2010年4月-2013年8月 東京農工大学大学院工学研究院 助教
2013年9月-2017年2月 横浜国立大学大学院環境情報研究院 講師
2017年3月-現在      横浜国立大学大学院環境情報研究院 准教授
【受賞歴】
2021年 The 8th Asian Particle Technology Symposium, Young KONA Award
2021年 粉体工学会, APT Outstanding International Contribution Award
2019年 日本セラミックス協会, 国際交流奨励賞21世紀記念個人冠賞井関孝善賞
2018年 粉体工学会, 2017 APT Distinguished Paper Award
2018年 日本粉体工業技術協会, 日本粉体工業技術協会奨励賞 優秀研究賞
2017年 日本セラミックス協会, 第71回(平成28年度)日本セラミックス協会進歩賞
など多数、すべての情報はWebで公開中
【個人ページ】
(研究室)http://ceramics.ynu.ac.jp/
(研究者総覧)https://er-web.ynu.ac.jp/html/IIJIMA_Motoyuki/ja.html

研究者からのメッセージ

スラリー設計技術で任意形状を高速・安価・安全に:新しいセラミックス材料の製造プロセスの産業実装化に貢献したい!

任意形状部材を、歩留まり良く、高速(短焼成)、安価、かつ低環境負荷(安全)に製造する技術は、持続可能な次世代社会に適合した製造プロセスとして重要なトレンドです。次世代型製造プロセスのもと、新製品・部材の開発研究をご一緒できれば幸いです。