2021年度公募 seeds-1688 - 【中部】 単一細胞とナノリットル溶液を操作するマルチピペットアレイの開発
  • 自動車・機械
  • 素材
  • ケミカル
  • 機械
  • 次世代デバイス
  • 新素材
  • 生産・加工
  • 化学
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

単一細胞とナノリットル溶液を自由に操作し、細胞治療やハイスループット実験に活用したい

単一細胞を活用した細胞治療につながる細胞間相互作用の調査

単一細胞解析技術は、単一細胞レベルでの遺伝子発現やそれを制御するメカニズムをDNAレベルで詳細に解析する技術です。単一細胞解析市場は成長を続けていて、主な要因は製薬・バイオテクノロジー業界における研究開発の増加、個別化医療への注目の高まり、幹細胞研究の成長、がんの有病率の上昇などです。単一細胞解析製品のコストが高く、単一細胞解析市場の成長を阻害する大きな要因となっています。ここでより低コスト、容易に単一細胞を扱うツールを開発し、細胞治療につながる細胞間相互作用を調査します。

ナノリットル溶液の並列操作によるハイスループット実験

高価で貴重な試薬は、分子生物学(PCR実験など)、生化学、免疫学、細胞培養などの分野で用いられます。ナノリットルの溶液操作で節約しながら、可能な限りの多い組み合わせ(入力)を用い、出力の情報を得たいです。ところでナノリットル溶液を効率的に操作する適切な道具(ピペット)が欠けていたことから、あまりこの応用は進んでいません。本研究では並列的にナノリットルの溶液を混ぜ合わせられるようにし、ハイスループット実験ができるようにします。

USE CASE

最終用途例

マルチピペットアレイ開発によるハイスループット実験の実現

USE CASE 01汎用理化学機器としてのマルチピペットアレイ

APPLICATION

APPLICATION

汎用理化学機器として単一細胞とナノリットル溶液の両方を操作できるマルチピペットアレイが開発されます。

このピペットアレイは、単一細胞解析、材料開発、生命科学、医薬分野に応用できます。1試験当試薬消費量と時間を減らすことができ、コスト削減と効率的なデータ取得につながります。ナノリットル溶液のハンドリングに使用でき、バイオテクノロジー、医薬品、理化学の分野で使用可能な汎用器具です。

USE CASE 02ハイスループット実験

APPLICATION

APPLICATION

分子生物学、生化学、免疫学、細胞培養でのハイスループット実験に活用します。

分子生物学(PCR実験など)、生化学、免疫学、細胞培養などの分野では高価で貴重な試薬を扱います。消費量を低減した1 µL以下の量での実験が可能です。特にPCR検査を中心とした分子生物学の研究・実験量の増加で、需要が増えており、これらの分子生物学に使用できます。

USE CASE 03単一細胞解析

APPLICATION

APPLICATION

単一細胞操作を利用した単一細胞解析

本ピペットは単一細胞を配置することで、単一細胞解析技術(一細胞レベルでの遺伝子発現やそれを制御するメカニズムをDNAレベルで詳細に解析すること)を行うための主要なツールとなります。複数の単一細胞を配置し、幹細胞、神経細胞、がん細胞における細胞間相互作用、不均一性を調べることができます。

STRENGTHS

強み

透明構造を用いた多層マイクロ構造の加工技術、流体回路設計技術

STRENGTHS 01

透明構造を用いて、マルチピペットアレイの開口部と流路の微細加工ができます

マルチピペットは、これまでに提案者が確立した作製方法を適用し、透明なネガ型厚膜フォトレジスト(SU-8)やPDMSを材料にして作製が可能です。これは3つのパーツに分けて微細加工を行い、各部分を接合していくことで行います(特許権取得済)。

STRENGTHS 02

流体回路としてモデル化することにより、単一細胞や溶液を望み通りに操作します

マルチピペットの内部の流路を回路としてモデル化することで、流路寸法や圧力源の配置により、各素子の流れを厳密に制御できます。さらにこのモデル化により、各ピペットを独立化させることに成功しています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

各ピペットが独立し,単一細胞とナノリットルを操作するマルチピペットアレイ

TECHNOLOGY 01

単一細胞とナノリットル溶液の両方が操作できるマルチピペット

単一細胞とナノリットル溶液の操作は別デバイスで行うことが一般的です。溶液に加え、単一細胞が操作できるように単一ピペット構造に捕獲部を設けています。このような統合したピペットは汎用性が高いです。

TECHNOLOGY 02

各ピペットを独立させることで、干渉をなくし、特性が安定したマルチピペット

電気回路と違い、流体を扱うピペットでは流れが隣の素子に容易に影響します。そこで各素子の性能を同じにしたままスケールアップさせるのは難しいです。ここで各ピペットを独立させることで、ピペット間の干渉をなくし、流れの特性が安定したマルチピペットを開発しています。

PRESENTATION

共同研究仮説

マイクロ・ナノの利点を活かしたマルチピペットアレイを商品化しませんか

共同研究仮説01

マルチピペットアレイの技術提供と商品化

マルチピペットアレイの商品化につなげたいと思っております。単一細胞操作、溶液操作、構造作製等、基礎的な部分では協力させて頂ければと有り難いです。現在、量産に向けては、外部のMEMSファウンドリーの利用、歩留まりの向上に向けて動いています。

共同研究仮説02

試薬料低減による温室効果ガスGreenhouse Gasの削減

試薬を消費することは、サプライチェーンの上流と下流でのGreenhouse Gas (GHG)排出を増やします。本ピペットでは、1試験当たりの試薬消費量を削減することができて、用いる原材料が低減し、(GHG)削減にも役立ちます。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

永井 萌土 豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所
経歴

2009年10月~2010年3月 東京大学生産技術研究所特任研究員

2010年4月~2016年12月 豊橋技術科学大学 機械工学系 助教

2015年9月〜2016年8月  カリフォルニア大学ロサンゼルス校 Visiting Researcher

2017年1月〜2020年3月 豊橋技術科学大学 機械工学系 講師

2020年4月〜2022年3月 同上准教授

2022年2月〜現在に至る 名古屋市立大学 客員准教授

2022年4月~現在に至る 豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所 教授

研究者からのメッセージ

マイクロ・ナノの作業をハイスループットに活用することを使命にしています

マルチピペットアレイは、マイクロ・ナノの溶液・細胞操作をハイスループットに行うための主要な道具です。微細加工はもちろんのこと、スケールアップするためにメカトロニクス、機械学習も進めています。