2021年度公募 seeds-1280 - 【北海道・東北】 ファインバブル“超”発生技術の開発と応用
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VISION

ビジョン

小さな泡が秘めた大きな可能性

超音波であらゆる物質にファインバブルを生成する

ファインバブル(マイクロ・ナノオーダーの気泡)は、幅広い分野への応用研究が進められています。例えば、次世代の超音波造影剤の開発です。これは「倍音」をよく反射するというファインバブルの音響特性を活用するもので、従来は超音波での検査が難しいとされてきた血流の様子を観察することが可能になります。また体内のがん細胞にピンポイントに薬を届けるドラッグデリバリーシステムなど、医療分野での応用に大きな期待が寄せられています。

さらに、オゾンのファインバブルによる殺菌効果を利用した植物工場用の殺菌や、福祉の分野で期待される洗浄効果を持つバブルバスなど、その可能性はますます広がっています。

私は超音波伝達体であるホーンの内部に気体流路を設けた中空超音波ホーンを用いて、ファインバブルを発生させる超音波ファインバブル発生技術を開発しました。特段の複雑な設備導入を必要としない本技術によって、多くの分野においてイノベーションをもたらすことを目指しています。

USE CASE

最終用途例

“ファインバブルといえば水や空気”という固定観念からの脱却

USE CASE 01ファインバブル発生

APPLICATION

APPLICATION

高温・高粘度・腐食性流体でのファインバブル発生

研究開発によって、ポンプでの循環が難しい腐食性流体、高温流体、不純物を多く含む流体などでも市販と同等レベルの量のファインバブルを発生させることができることを目指しています。高温・高粘度・腐食性流体でのファインバブル発生が効果的と見込まれる例としては、材料分野でのポリマーや金属を用いた発泡体生成、泡沫食品の原料となる高粘度液状食材、洗浄分野での洗浄効果の増強や、強酸や強アルカリの液体中での化学反応など、非常に多くのニーズがあると考えています。

USE CASE 02中空粒子の創成

APPLICATION

APPLICATION

新しい材料を用いた中空粒子の創成

バブルにしたい物質の中には、瞬間接着剤の成分であるシアノアクリレートのように、水に触れるとすぐに固まるものもあります。従来の方法ではバブルになる前に固まってしまいますが、超音波による発生装置では、シアノアクリレートの蒸気をファインバブルとして水に通すことで、微細な中空のカプセルを生成できます。中空粒子については、ドラッグデリバリーキャリアや超音波造影剤などの用途が考えられます。

USE CASE 03ポーラス金属の生成

APPLICATION

APPLICATION

既存より小さい空孔で形成されるポーラス金属の生成

本技術の高温や高粘度液体でもファインバブル発生可能である特性を生かして溶融金属にファインバブルを吹き込むことによるポーラス金属生成が可能です。ポーラス金属は、自動車などの衝撃吸収材や軽量化材への用途が考えられます。

STRENGTHS

強み

適用流体の汎用性が高い超音波ファインバブル発生技術

STRENGTHS 01

水や海水以外の高温・高粘度・腐食性流体でもファインバブルを発生できる

既存のファインバブル発生装置は、液体の高速流動を伴う流体のせん断を用いるため、ポンプなどの流体機械を主製品とするものが多く、適用できる液体に制限があります。

しかし本技術では、超音波伝達体であるホーンの内部に気体流路を設けた中空超音波ホーンの構造により、ホーン先端を液体に浸すだけで水以外の多種・多様の液体中で気体を問わずファインバブル発生ができます。

STRENGTHS 02

ホーン先端を液体に浸すだけでファインバブル発生ができるユニークな手法

超音波ホーン先端を液体中に差し込んで振動させるだけでファインバブルが発生するため、ポンプでの循環が難しい高温・高粘度・腐食性流体でのファインバブル発生が可能になります。材料分野でのポリマーや金属を用いた発泡体生成、高粘度液状食材から作る泡沫食品の味の調整、洗浄分野での洗浄効果の増強や、強酸や強アルカリの液体中での化学反応を用いた中空粒子生成など、多くの分野での活用が期待できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

気体供給機能と超音波振動付与機能を一体化

TECHNOLOGY 01

超音波伝達体であるホーンの内部に気体流路を設けた中空超音波ホーン

超音波伝達体であるホーンの内部に気体流路を設けた中空超音波ホーンを用いて、数十mL/minオーダの気体流量でファインバブルを発生させる超音波ファインバブル発生技術を開発した。

この技術はホーン先端を液体に浸すだけで水以外の多種・多様の液体中で気体を問わずファインバブル発生ができる。

PRESENTATION

共同研究仮説

広い適用範囲と導入の容易性

共同研究仮説01

金属や樹脂の溶融体等の高温液体,泡沫食品原料等の高粘度液状食材,強酸・有機溶媒等の腐食性液体でもファインバブルが発生可能な技術および装置

従来法ではポンプでの循環が難しい腐食性流体、高温流体、不純物を多く含む流体などでも市販と同等レベルの量のファインバブルを発生させることができ、“ファインバブルといえば水(水溶液)と空気”という固定観念を壊すまさにブレークスルーをもたらす技術の開発を目指しています。この技術を適用できる分野を広く探索したいと考えているので、少しでも関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ議論しましょう。

RESEARCHER

研究者

幕田寿典 国立大学法人山形大学大学院理工学研究科
経歴

2005 東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了 博士(環境学)

2005-2007 産業技術総合研究所 特別研究員

2007-2014 山形大学大学院理工学研究科 助教

2014-2021 山形大学大学院理工学研究科 准教授

2021-現在 山形大学大学院理工学研究科 教授

[研究室HP]:http://mb-lab.yz.yamagata-u.ac.jp/

[研究紹介動画]:https://www.youtube.com/watch?v=5UoXB9FGGKI

研究者からのメッセージ

ファインバブルによるイノベーション創出への貢献

水だけではなく、様々な液体に微細なファインバブルを発生させることができる技術であり、工業材料への空孔付与、食材の発泡による食感・風味の制御、反応性の強い薬品中で気液化学反応の促進など様々な用途

に適用可能です。共同研究を通じて、ファインバブルによるイノベーションを共に創出しましょう。