2021年度公募 seeds-1273 - 【北海道・東北】 水電解電極・触媒の高性能化・省レアメタル化を実現する表面制御技術
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VISION

ビジョン

材料表面制御技術により水電解水素生成をより安価に

市販ステンレス鋼の表面改質により、高性能・低コストを両立するアルカリ水電解電極を開発

大規模グリーン水素製造技術としてアルカリ水電解(AWE; Alkaline Water Electrolysis)が注目されています。しかし、アルカリ水電解のアノードでは酸素発生反応が起こり、カソードで起こる水素発生反応に対し反応を進行するためのエネルギーが多く必要なため、水素発生効率を向上しグリーン水素のコストを下げるためのボトルネックとなっています。

現在アルカリ水電解のアノードには、コバルトを含む酸化物触媒層を形成したニッケル系電極が使用されていますが、より資源量豊富な元素を中心として用い、より高活性な電極材料の開発が求められています。

本研究では、ニッケルやコバルトに対し資源量・コストの両面から優れるステンレス鋼に着目し、ステンレス鋼をアルカリ水電解アノードとして実用化するための表面改質方法を開発します。

表面・界面構造制御により貴金属酸化物触媒を高活性・高耐久化

固体高分子型水電解はアルカリ水電解に対し、小型化が容易であることから分散型水素発生装置としての普及が期待されています。しかしながら、強酸環境であるため、触媒として貴金属を必要とし、特にアノードの酸素発生用触媒として用いられるイリジウムは極めて高価かつ希少であることから使用量の大幅な低減が求められています。

この固体高分子型水電解に関わる課題に対し、原子レベルで表面・界面構造が制御された単結晶モデル触媒を用い、イリジウムやルテニウムの酸化物を高活性・高耐久化するための指針を見出し、得られた知見をもとに、実用に適した触媒構造を提案する研究も合わせて進めています。

USE CASE

最終用途例

水電解酸素発生電極の高性能・低コスト化

USE CASE 01ステンレス鋼電極

APPLICATION

APPLICATION

現行ニッケル電極の性能・コストを凌駕するステンレス鋼電極

ステンレス鋼電極は耐久性(耐食性)に課題がありますが、目標達成により現行のニッケル系電極をコスト、活性、耐久性の全てにおいて凌駕する新規技術が開発され、アルカリ水電解を用いた水素生成コストの低減が期待できます。

USE CASE 02固体高分子型水電解

APPLICATION

APPLICATION

イリジウム・ルテニウム酸化物使用量を大幅低減

固体高分子型水電解の普及に向けた最大の課題の一つである酸素発生触媒の使用量大幅低減に資する、新規触媒構造を提案し、安価かつ高性能な実用触媒の開発に貢献します。

STRENGTHS

強み

材料表面に任意の化学特性を付与できる

STRENGTHS 01

電極・触媒表面特性のナノ・原子レベルチューニング

「電気化学手法による電極表面のナノレベルエッチング」、「真空蒸着法による任意の材料への原子・ナノ薄膜堆積」などにより、電極・触媒表面をナノ・原子レベルで制御し、所定の材料表面に任意の化学特性を付与することができます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

電気化学・真空蒸着法による触媒ナノ・原子構造制御

TECHNOLOGY 01

電気化学法を用いたステンレス鋼上へのナノ構造触媒層の生成

ステンレス鋼に簡易な電気化学処理を施すことで高い酸素発生反応活性・活性維持率を示す触媒層の形成に成功しています。この触媒層は処理時間・印加電位などによりその厚さやナノ構造を制御できます。また、異種元素を表面ドーピングすることで耐食性を向上することができます。

TECHNOLOGY 02

様々な真空蒸着法により、調べたい触媒構造を自在に作製

スパッタ、アークプラズマ、パルスレーザー蒸着など様々な真空蒸着法を駆使し、任意の触媒構造を自在に作製し、その構造・触媒特性評価までを行なうことで、実用触媒の高性能化につながる新たな知見を得ることができます。

PRESENTATION

共同研究仮説

“表面エンジニアリング”により水電解電極・触媒に関わる課題を打破したい

共同研究仮説01

アルカリ水電解用ニッケル系電極をステンレス鋼電極に代替

ステンレス鋼電極にはまだ課題がありますが、高い特性を示すことから、既存ニッケル系電極を代替する十分なポテンシャルを有します。実用化に向け、課題の解決に一緒に取り組んで頂けるパートナーを探しています。

共同研究仮説02

よく制御された触媒を作製・評価し、原理を解明

企業様の設備で作製できない、あるいはメカニズムを解明することが困難な材料系について、真空蒸着法でよく構造制御された触媒(金属、化合物、etc.)を作製し、その評価を通じて特性の起源を明らかにすることができます。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

轟直人 東北大学大学院 環境科学研究科 先端環境創成学専攻
経歴

2014年4月-2019年12月   東北大学大学院 環境科学研究科 先端環境創成学専攻 助教

2020年1月-現在 東北大学大学院 環境科学研究科 先端環境創成学専攻 准教授

2020年11月-現在 JSTさきがけ「反応制御」領域 研究員(兼任)

【受賞歴】

2014年 電池技術委員会賞

2018年 日本金属学会 奨励賞

2019年 原田研究奨励賞 など

【研究者ページ(Researchmap)】

https://researchmap.jp/7000010019

研究者からのメッセージ

材料表面の制御により、環境問題解決に貢献

表面科学的視点に基づき、水電解や二酸化炭素電解、燃料電池などに用いられる触媒・電極に関する研究を進めています。応用・基礎、どちらの立場からも研究していますので、ぜひお声がけください。