2022年度公募 seeds-2501 - 【北海道・東北】 超精密ナノ加工技術に基づく可視光応答型光触媒デバイス
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VISION

ビジョン

太陽光を使ってクリーンな化学エネルギーをつくる

ナノの精度で造り、大面積で反応する

金属ナノ構造と半導体から形成される光反応デバイスは、その構造配列で劇的に反応効率が向上される、という従来の光触媒にない特性を持っています。これを産業化するためには、ナノメートルの精度で金属ナノ構造を加工するのはもちろん、それを大面積に渡って作製する必要があります。本技術が確立されれば、人工光合成デバイスに限らず、新たな光学、電気、通信用途への適用が期待されます。

USE CASE

最終用途例

太陽光を、化学燃料へ

USE CASE 01可視光を高効率に吸収し、化学エネルギーへ変換可能なデバイス

APPLICATION

APPLICATION

持続可能で、分散型のエネルギー製造システム

太陽光中の可視光を用いて水素やアンモニアといった化学資源を製造可能な人工光合成デバイスを大面積に構築します。

USE CASE 02ナノメートルスケールの精度での、高スループット金属ナノ加工によるデバイス作製

APPLICATION

APPLICATION

ナノレベルの”はんこ”で構造作製

ナノインプリントと呼ばれる加工法をシングルナノメートル精度での金属加工に適用し、連続生産への道を拓きます。本技術は人工光合成デバイスに限らず、電気・光学・通信デバイスへの適用も可能となります。

STRENGTHS

強み

光の結合により、光反応効率の限界を越える

STRENGTHS 01

光の結合で光吸収・反応効率を大幅に向上

金属中の電子の集団振動である局在プラズモン共鳴と、薄膜共振器との「強結合」と呼ばれる現象に基づく、可視光域での高効率光吸収・光電気化学反応を実施可能です。強結合の適用により従来のプラズモン光触媒と比較して反応効率が1~3桁向上することから、既存光触媒では困難であった可視光の有効利用が期待できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

ナノメートル精度で設計されたプラズモン-ナノ共振器強結合電極の開発

TECHNOLOGY 01

微細加工技術を駆使して可視光での人工光合成反応を達成

プラズモンと薄膜共振器との強結合は、それらの空間的・エネルギー的重なりが重要となるため、ナノ構造の幾何学的構造と配置に鋭敏に応答することが分かっています。これらを電磁界シミュレーションを用いて設計し、加工する技術を有しています。この技術を用いて、最長波長800nmまでの可視光でのアンモニア合成、水素製造に成功しています。
これらの成果は国内外で高く評価されており、第2回プラズモニック化学研究会若手奨励賞・最優秀賞を受賞しました。

PRESENTATION

共同研究仮説

高精度金属微細加工技術に基づく可視光応答人工光合成デバイスの開発

共同研究仮説01

金属微細加工技術の量産プロセスへの適用

ナノインプリントプロセスによる金属ナノ構造作製へ

本研究はシングルナノメートルスケールの精緻な金属ナノ構造を設計・作製する技術、特にそれをセンチメートル級の範囲で実現することを目指しています。これを産業用途に展開するためには、ロール・トゥ・ロールの製造技術をはじめとしたナノインプリント製造技術を有するメーカーとの共同研究が不可欠です。

共同研究仮説02

実機プロセスを想定した人工光合成デバイスの開発

製造・回収・輸送プロセスを含めた反応器を共同開発

実用可能なスケールでの人工光合成反応デバイスをメーカーと共同で開発することにより、CO2削減に大きく貢献できます。また、従来の大量生産型プラントとは異なり、分散型のエネルギー生産設備での利用が想定され、エネルギー業界だけでなく、それらを実装する建築、自動車メーカーとの共同研究を希望します。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

押切友也 東北大学多元物質科学研究所(准教授)
経歴

■経歴
2022.3 – 現在      東北大学多元物質科学研究所 准教授
2020.9 – 2022.2 北海道大学電子科学研究所 特任准教授
2012.12 – 2020.8   北海道大学電子科学研究所 助教
2008.4 – 2012.6  三菱レイヨン株式会社研究員
■代表論文
[1] T. Oshikiri, H. Jo, X. Shi, H. Misawa, Chem. Eur. J. 2022, 28, e202200288.
[2] T. Oshikiri, Q. Sun, H. Yamada, S. Zu, K. Sasaki, H. Misawa, ACS Nano 2021, 15, 16802-16810.
[3] X. Shi, K. Ueno, T. Oshikiri, Q. Sun, K. Sasaki, H. Misawa, Nat. Nanotechnol. 2018, 13, 953-958.
[4] T. Oshikiri, K. Ueno, H. Misawa, Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 3942-3946.

研究者からのメッセージ

金属ナノ構造を精密に制御し、新たな光化学を生み出す

金属ナノ構造が示すプラズモンの応用分野は、その多くが光学用途であり、電気・反応デバイスとしてはその加工範囲の狭さ、エネルギー変換効率の低さから実用化が難しいのが実情でした。本技術は、ナノメートル精度で高スループットな金属ナノ構造製造技術と、それによって強結合呼ばれる新たな光の状態を制御することでこの限界を超克するものです。ナノ構造加工プロセスの量産化、それを活用した反応デバイスの実用化にむけて、共に取り組んでいただけませんか。