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ビジョン
センサーネットワークを生活の中で様々に活用するIoTの導入が、今まさに始まっています。今後のさらなるIoT社会の実現には、通信環境に加えて、その通信やセンシングなどに必要な電力をいかに簡便に供給するかが重要です。本研究で取り組む”光発電シート”が実現できれば、高効率・軽量・フレキシブルな特徴を生かして、わずかな光さえあればどこでも電力を得る事が可能となります。IoTの応用範囲が飛躍的に高まり、思いもよらない革新的なサービスの創生に繋がることが期待できます。
最終用途例
APPLICATION
部屋の照明で駆動でき配線が不要なので、どこにでも、自由な形に設置が可能となります。また、耐久性が高いことから、長期間安定した動作が見込めます。
APPLICATION
実現を目指す太陽電池は、小型のIoTデバイス向けに限定されません。大面積化すれば、信頼性を求められる車載用途や、農地などの過酷な環境でも活躍が期待できます。
APPLICATION
本研究に用いられている二酸化チタン結晶(電子輸送層)、ヨウ化銅薄膜(正孔輸送層)の用途は、太陽電池にとどまりません。その透明性を活かして、発光デバイスや、透明エレクトロニクス分野にも応用ができます。
強み
テクノロジー
二酸化チタンは合成が容易なアナターゼ型とルチル型の2種類のみが応用されています。我々のグループでは、独自のチタン原料を原料に用いることで、これらの2つに加えてブルカイト型、ブロンズ型の4種類の結晶構造の二酸化チタンナノ粒子を水熱法で合成しています。4種類すべて単相かつナノ粒子(粒径数~数十nm)で合成でき、スピンコートやスプレーコートなどで容易に薄膜作製が可能です。さらに、既に結晶の粒子を塗布するため、結晶化のための高温が不要で低温成膜(150~200℃)が可能です。これを電子輸送層に用いてペロブスカイト型太陽電池を試作し、良好な特性が得られることを実証済みです。
ヨウ化銅は、ワイドバンドギャップで透明なp型半導体であり、希少元素を含まず、高い正孔移動度を持つなどの稀有な特徴を持つことが知られています。我々はこのCuI に着目し、マグネトロンスパッタ法で作成した窒化銅薄膜をもとに、ヨウ素溶液への浸漬処理によってCuI 薄膜を形成する簡便な手法を用いて、CuIの太陽電池応用に向けた幅広い検討を行っています。これまでの固体ヨウ素を用いる方法と異なり、液浸であることから、大面積で面内均一性の高い薄膜が形成可能です。デバイスの試作結果から、波長約400 nm以上の広い波長領域で高い透過性を持ち、p型層として機能する薄膜が得られることを確認しています。
共同研究仮説
光発電シートとなるフレキシブルな逆構造型ペロブスカイト太陽電池の実現に向けて、基礎的検討から参画いただける企業を募集しています。また、IoTデバイスへの実装を念頭に、電池仕様の策定で協業いただける企業も必要としています。
太陽電池電極に限らず、4種類の結晶多形の二酸化チタンを電子輸送層等に応用したいと考える企業を探しています。また、透明性が高いp型半導体層である、ヨウ化銅薄膜の各種応用を検討して頂ける企業を求めています。どちらも用途は問いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。
研究設備
ペロブスカイト太陽電池の作製に必要な設備は、ドライ環境を作るグローブボックスを含めて、基板洗浄から金属電極形成までの全プロセスが可能な機器類が整備されています。もちろん、太陽電池に用いられる各層の単膜のみを形成する事も可能です。
試作した太陽電池サンプルの発電性能は、疑似太陽光の照射装置を利用して高精度かつ再現性良く評価できます。また、損失要因の調査など詳細の解析に必須である、入射波長ごとの光電変換性能を示す量子効率の評価装置も完備し、蛍光灯やLEDなどの各室内照明に対する定量的評価が可能です。
デバイスの性能を深く理解するためには、様々な分析が必要です。これに用いることができる電気特性、光学特性の各種評価装置はもちろん、電子顕微鏡類やX線回折装置、光電子分光装置などの高度な分析装置も充実しています。
研究者
経歴
2005年3月 東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了 博士(理学)
2005年4月 科学技術振興機構 博士研究員
2005年8月 東北大学多元物質科学研究所 助手
2006年4月 東海大学理学部 助手
2007年4月 同 助教
2009年4月 同 講師
2016年4月 同 准教授
2022年4月 同 教授 現在に至る
2012年8月~2014年7月 文部科学省研究振興局 学術調査官(兼任)
所属学会
日本セラミックス協会、日本化学会、粉体粉末冶金協会、日本MRS、日本ゾル-ゲル学会、日本希土類学会、無機マテリアル学会、応用物理学会
受賞歴
日本セラミックス協会・進歩賞(2012年)、学校法人東海大学松前重義賞・学術部門・松前重義学術奨励賞(2013年)、物質・デバイス領域共同研究拠点・物質・デバイス共同研究賞(2019年)
研究紹介参考リンク
https://www.u-tokai.ac.jp/facultyguide/faculty/3079/ http://www.rist.u-tokai.ac.jp/research1.html