2020年度公募 seeds-0067 - 【関東】 小型ドローンの安全性向上等への応用を想定した、小型・軽量・高感度な風速・風向センサの研究開発
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VISION

ビジョン

ドローン普及のための安全性向上を実現する小型風速センサの開発

小型ドローンに取り付けられる寸法・重量かつ高感度な風速センサの開発

本研究では球面上に配置した孔の圧力差によって風速を検出する原理を用いた小型高感度な風向・風速センサの開発を行います。
複数の孔を用いることで風速だけでなく風向も検出できます。さらに圧力差を検出するセンサ素子として、提案者が研究開発を行ってきた微小な電気機械システム(MEMS)の高感度差圧センサを筐体内に内蔵します。
提案者の持つMEMS技術により、小型ドローンに取り付けられる寸法・重量で、風速に対して高感度のセンサを実現します。

ドローン普及のための安全性向上

近年、実用化が進んでいるドローンの普及において、最も重要な要因は安全性です。ドローンは小回りが利く一方で、飛行機のような製安定性に欠けています。そのため、強い突風によって流されたり機体が傾き墜落する危険があり、GPS やIMU(慣性計測装置)などを搭載し機体自体の状態を感知し、制御しています。
今後、宅配や安全な生活のための監視への適用など身近なシーンへのドローン普及を見据えると更なる安全性向上が求められると想定されます。
この時、提案する風速センサをドローンに取り付けることで、空気流れの速度と方向を検出し機体の制御にフィードバックできるので、強固な安定性を持つ制御につながると期待できます。

USE CASE

最終用途例

小型・軽量・高感度な風速・風向の計測が求められる現場での活用

USE CASE 01ドローンの安全性向上のためのセンサとしての活用

APPLICATION

APPLICATION

突風が吹いた際などにも墜落しないドローン

街中を飛行する小型ドローンに取り付け風速・風向を高感度で計測しながら安全性を高める。計測した風速・風向はドローンの制御機器にフィードバックする。

MARKET

MARKET

急成長しているドローン市場

今後商用利用が進むにつれ、安全性が求めれるケースが増えることで、本研究の活用領域も拡大することが想定されます。また、ドローンの世界市場規模は、年々拡大しており、2025年で約2.9兆円になるとの予測もあります(矢野経済研究所調べ)。

STRENGTHS

強み

ドローンに搭載することに適した計測原理及びシステム

STRENGTHS 01

感度の高いピトー管方式の風速センサの小型化

空気の圧力を計測することで風速を計測するピトー管と呼ばれる風速センサを、提案者のMEMSの研究ノウハウにより小型化させること出来ます。
その他の風速センサには、熱線式や、ドップラー式のセンサがありますが、小型化や高感度を実現することは難しく、ピトー管式の風速センサが小型ドローン搭載を想定した場合、最適と考えられます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

微小な電気機械システム(MEMS)技術の風速センサへの応用

TECHNOLOGY 01

MEMS差圧センサ内蔵小型高感度風速センサ

風速計測の原理はピトー管と呼ばれる風速計と同様で、空気の圧力を計測することで風速を算出手法です。ピトー管を小型化しようとした場合、従来は、圧力センサの大きさ、感度の問題から技術的課題がありましたが、提案者自らが開発したセンサは、十分な性能を持っています。実際に、単一の小型ピトー管の開発には、すでに成功しています。
ドローンは、複数方向への移動を伴うため、風速に加え、風向の取得も必要となります。本研究では、動圧と静圧の圧力差を計測する管路を球体内に三次元的に組み合わせた構造することで風速の3次元計測を可能にするアプローチを取ります。また、一つの球形の筐体に内蔵することで、設置しやすく、堅牢性のある構造としています。

PRESENTATION

共同研究仮説

小型・軽量・高感度な風速・風向センサの実用化

共同研究仮説01

企業の開発仕様に合わせたセンサ開発

想定している共同研究

今後、球形の筐体に配置する、圧力を計測するための孔の位置と数についてのセンサ構造と、センサの応答から風向・及び風速を逆算する回路・アルゴリズム開発を進めていくことを想定しています。
上記開発に際し、ドローンメーカ様やセンサメーカ様が実用化する際の仕様に合わせて研究開発を進めることを想定しています。

LABORATORY

研究設備

センサの設計・製作・評価

LABORATORY 01

センサの設計・製作

マスク設計から始まり、フォトリソグラフィ、ワイヤボンディングなどのポストプロセスまでMEMSの設計・製作の行っております。さらに本研究開発では風速・風向センサの筐体、計測用の回路基板などを用途に応じて設計・製作を行っています。

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LABORATORY 02

センサのキャリブレーション

圧力、音波、風速、振動、回転、温度などに対するセンサの応答評価が可能です。センサに合わせた特性評価装置を構築し、定量的な計測を行っています。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

高橋英俊 慶應義塾大学理工学部機械工学科 専任講師
経歴

経歴:
2008年 日本学術振興会特別研究員
2011年 東京大学IRT研究機構 特任研究員
2013年 東京大学大学院情報理工学系研究科 特任助教
2015年 東京大学大学院情報理工学系研究科 助教
2019年 慶應義塾大学 専任講師

実績:
MEMSの力センサに関する研究開発に従事。
研究開発したMEMS三軸触覚センサが株式会社タッチエンスより製品化。

論文:
H. Takahashi, et al., Sens. Actuators A Phys., 2013.
H. Takahashi, et al., J. Micromech. Microeng., 2012.

研究者からのメッセージ

学術研究と社会実装が正のスパイラルになる研究開発

これまで機械工学を軸としたMEMSの力センサの研究開発を行ってまいりました。その中で学術研究としてMEMSの力センサを用いて生物の運動時の力計測といった研究を進めております。アリの足裏反力やウミドリの対気速度など計測対象は様々ですが、厳しい要求仕様を満たすために実用性を重視し新たな計測原理などを利用して力センサを研究開発しています。これらの知見は学術研究だけでなく、社会実装可能なセンサにも応用でき、例えばハエの羽ばたき力を計測するためのセンサの知見を応用したMEMS三軸触覚センサが製品化されています。今回提案している風速・風向センサのMEMSセンサ素子も元々はチョウの翼面に働く圧力差を計測するために研究開発したセンサでした。大学の研究者として、学術研究と社会実装の両輪で研究を進めることで、それらが正のスパイラルになり、日本の科学技術・産業に少しでも役立てればと考えております。