2022年度公募 seeds-2545 - 【北海道・東北】 しきい値近傍アブレーションによる非侵襲レーザー微細加工
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VISION

ビジョン

ナノメートル厚さの薄膜を加工できるナノ材料エンジニアリング法

下層構造に影響を与えない表層アブレーション処理への応用

フェムト秒レーザーを使ったアブレーション加工は、半導体、金属、有機材料など幅広い材料に適応できる特徴があります。様々な薄膜試料に対して系統的にレーザー加工を行い、材料がアブレーションされるしきい値を調査・整理することで、複数の材料からなる積層試料に対して、表層構造を選択的に除去する表層処理技術への展開が期待できます。例えば、大気圧下で実行可能なドライエッチングや、高感度材料の表面クリーニング、半導体リペア技術などが想定されます。

USE CASE

最終用途例

FIBやナノリソグラフィに頼らない薄膜デバイスの製造法

USE CASE 01基礎研究の現場で要求される多様な膜状デバイスを迅速かつ手軽に製造

APPLICATION

APPLICATION

基礎研究サイクルの向上に貢献

本薄膜レーザー加工技術では、フェムト秒レーザーパルスが照射されるごく短時間のうちに加工が完了します。装置および試料は大気中で取り扱うことができ、試料の準備や加工の条件出しも簡単に実行できます。

USE CASE 02電子ビームを透過する電子位相デバイスの実現

APPLICATION

APPLICATION

透過電子顕微鏡法への応用

電子ビーム整形や電子位相イメージングなど、最先端の電子顕微鏡法で要求される機能的な電子光学素子を実現するには、電子ビームが透過できる厚さ数10 nmの材料を加工する必要があります。

USE CASE 03アブレーションしきい値の差を利用する非侵襲な表面洗浄法

APPLICATION

APPLICATION

薄膜試料の表面クリーニング

プラズマクリーニング等の手法ではダメージを受けてしまう繊細な試料でも、本レーザーアブレーション技術を応用することで表面洗浄処理を施すことができると期待されます。

STRENGTHS

強み

厚さ1~100 nmの幅広い範囲の薄膜に適用可能です

STRENGTHS 01

FIB法の苦手な範囲をもれなくカバー

最先端のFIB技術を駆使しても、厚さが100 nm以下であるような薄膜の加工は難しい課題です。本技術では厚さが数100 nmの材料から、薄いものではグラフェンのような単原子層材料にも適用することができます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

二次元結晶を加工できる唯一技術としての期待

TECHNOLOGY 01

量子産業時代を支える材料エンジニアリング技術

量子科学分野の研究の進展により、スピントロニクスやバレートロニクスといった物質の表面物性や、二次元結晶の電子物性を駆使する新しい工学分野が誕生しています。レーザーを利用する加工技術は、サブマイクロメートルスケールの微細穴あけ処理からミリメートルスケールの大規模パターニングまで柔軟に対応できるため、これら新技術領域に適用可能なスケーラビリティのある要素技術として期待されます。

PRESENTATION

共同研究仮説

材料エンジニアリングのフロンティアを開拓する

共同研究仮説01

薄膜に特化したレーザー微細加工の確立

新しいフェムト秒レーザー加工技術として

本技術は、大出力のレーザーを使って材料を加工する従来のレーザー加工技術よりも、高品質のレーザーで描画やパターン露光を行うフォトリソグラフィに近い性質の光学装置を要求します。光学系設計や装置開発を通じて、本技術の確立を共に目指していただける企業様とご一緒できればと考えております。

共同研究仮説02

微細機能デバイスの作製と応用

先端分析計測への貢献

電子顕微鏡法、走査プローブ顕微鏡法、ラマン分光など、精密分析技術の高度化に貢献する機能デバイスの作製も想定しております。本技術をイノベーション・シーズとして、新技術の開発に挑む企業様の提案もお待ちしております。

LABORATORY

研究設備

研究設備など

LABORATORY 01

フェムト秒レーザー光源

加工用のYb系フェムト秒レーザ―(40 μJ)と、再生増幅Ti:サファイアレーザー(4 mJ)を保有しており、レーザーアブレーション現象の様々な基礎検証を行うことが可能です。

LABORATORY 02

共用分析機器

EDX付きのFE-SEM、FIB装置、STEM、高分解TEM、AFMや顕微ラマン分光装置など、微細構造物の観察に欠かせない多様な研究設備を利用することが可能です。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

上杉 祐貴 国立大学法人東北大学
多元物質科学研究所 光物質科学研究分野(助教)

経歴

研究者情報については、JST科学技術振興機構のデータベースサービス「researchmap」をご参照ください。
https://researchmap.jp/yuukiuesugi

研究者からのメッセージ

ニーズから生まれたイノベーション・シーズ

本技術はもともと、電子顕微鏡用の位相ホログラムを作製するために開発したものです(Y. Uesugi et al., Opt. Express 27(15), pp. 20958-20964, 2019, DOI: 10.1364/OE.27.020958)。レーザー加工の品質を高めるために光学装置の改良を進めるにつれて、本技術が薄膜材料の加工において優れた特性を有していることが次々と明らかになりました。フェムト秒レーザーを使ったレーザー加工技術は、これまで30年近くにわたり多くの研究者によって研究されてきました。そのような分野に新規参入して学術的成果を得ることができたというのは、大変驚くべきことです。本事業を通じてパートナー企業様とともに本技術を成熟させることによって、まだ知られていない本技術の特性・優位性を見つけ出すことができると考えております。また、ニーズとシーズの良い循環が得られるのではないかと期待しております。