2021年度公募 seeds-1481 - 【関東】 テラヘルツ領域の電磁波やダイナミクスを高感度かつ波形ゆがみなく計測できるテラヘルツオシロスコープ
  • 電気電子工学
  • その他工学
  • センサ・計測・解析
  • 次世代通信 IoT
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

超短パルスレーザーを用いて超高速現象を可視化し、それを制御・応用したい。

リアルタイムテラヘルツ波形検出により、テラヘルツデバイスの応答を評価する

テラヘルツ領域はシリコンベースのエレクトロニクスで扱える周波数領域よりも高周波側に位置しており、従来の技術では電場波形を検出することが困難な周波数帯です。一方で、データ通信量の増大やデータ処理速度の向上などにより、テラヘルツ領域の電磁波を用いたデバイスが数多く研究されています。しかしながら、現在ではその波形をリアルタイムかつ高感度に測定できる技術は存在しないため、テラヘルツデバイス評価は難しいのが現状でした。本技術では、超短パルスレーザーを活用することで、テラヘルツ電場波形をレーザーパルス1パルスで計測できるために、テラヘルツデバイス評価に画期的な手法となり得ます。このようなテラヘルツリアルタイムオシロスコープを実現したい、テラヘルツ技術の発展に貢献したいと考えています。

テラヘルツ波形の高精度な計測により、高分解能かつ高速な3次元イメージングを実現する

本技術を用いた高精度なリアルタイムテラヘルツ波形計測技術を実現することができれば、波長程度のオーダーの構造を可視化することが可能となります。特に、テラヘルツ波は多くの物質を透過する性質を持つとともに、X線や赤外線など他の周波数では区別が困難な物質についてもその性質を明確に見分けることができることが知られています。このようなテラヘルツ波の特徴を用いれば、テラヘルツイメージングを行うことができ、さらにリアルタイム波形計測の実現によって、その速度が大幅に向上するものと期待できます。また、テラヘルツ波の反射するタイミングをイメージングに利用することで、深さ方向のイメージングも実現可能となります。

USE CASE

最終用途例

テラヘルツ波をリアルタイムかつ高感度・高精度に計測する技術を確立する

USE CASE 01Beyond 6Gデバイスの評価に活用可能

APPLICATION

APPLICATION

テラヘルツ領域で動作するリアルタイムオシロスコープが実現されることによって、開発速度が向上する。

現在のエレクトロニクスでは、高周波はギガヘルツ程度の周波数で動作することがほとんどであり、通信もそのあたりの帯域で行われています。これらをより高周波数に拡張していくためには、オシロスコープのような計測技術がまずは必要であると考えられます。

USE CASE 02テラヘルツイメージングの高速化に寄与

APPLICATION

APPLICATION

リアルタイム波形計測により、装置を止めることなくイメージングの掃引を行うことができる。

テラヘルツイメージングでは、基本的には波形計測にパルス間隔の時間遅延を掃引する手法をとるため、波形を得るためにかなりの時間が必要です。しかし、レーザーパルス1パルスで電場波形を計測する、シングルショット分光技術を利用することができれば、光源のパルス幅である10 ps程度で測定が完了するため、イメージングのためにスキャンをする必要がありません。したがって、テラヘルツイメージングの高速化が可能となります。

USE CASE 03テラヘルツ波を用いたプロセスモニタリング

APPLICATION

APPLICATION

フェムト秒レーザー加工やプラズマ発生などから放出されるテラヘルツ波でその初期過程をモニターできる。

フェムト秒レーザー加工やレーザープラズマなど、フェムト秒レーザーを用いた応用が広がっています。レーザー1パルスで波形計測を行う、リアルタイムテラヘルツオシロスコープを実現できれば、このような過程における超高速のダイナミクスを可視化することができるようになります。ひいてはそれが、制御の難しい加工の様子をモニタリングする手法として活用できます。

STRENGTHS

強み

高感度・広帯域のテラヘルツ波形を検出できる

STRENGTHS 01

これまでの研究室での技術蓄積を生かして、高い機能を実現できます。

これまで研究室では広帯域のテラヘルツ分光手法の開発や、高感度化などの研究を進めてきました。これらの蓄積を最大限活用することによって、リアルタイムテラヘルツオシロスコープの高感度化・広帯域化を実現することができると考えています。

STRENGTHS 02

広いネットワークで幅広い応用先を模索中

国内外の学会などで積極的に発信しつつオープンな議論を行うことで、これまでにも様々な研究室に技術提供を行ってきました。今回開発する技術についても、知財確保等に留意しつつ、これらのネットワークを活用し、応用先を模索していきたいと考えています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

瞬間的・リアルタイムのテラヘルツ波形計測が可能

TECHNOLOGY 01

一瞬の現象や、繰り返せない複雑な現象などの可視化にも使うことができます

我々のグループで開発している、シングルショット分光技術はレーザー1パルスで波形計測が可能です。近年この検出感度の高感度化に成功し、その応用範囲を広げることが可能になりつつあります。現在、国内外の様々なグループと共同してこの技術の応用を広げる取り組みをしています。

TECHNOLOGY 02

ファイバーベースで光学系を組むことでロバストな測定系を実現できます

本技術は光を用いた超高速波形検出技術であるため、ファイバーベースで測定系を組み立てることで、ロバストな光学系を実現できます。これによって、可搬型のリアルタイムテラヘルツオシロスコープを開発できると考えています。

PRESENTATION

共同研究仮説

マルチテラヘルツ領域にまで帯域を向上させたオシロスコープを共に開発しませんか?

共同研究仮説01

原理的には使用するレーザーのパルス幅の逆数程度までの帯域を実現できます!

本技術は光技術をベースにしているために、エレクトロニクスによる速度の制約を受けません。したがって、現状のオシロスコープの帯域(数百GHz)を容易に超えることができます。このような新しい原理に基づくオシロスコープをぜひ世に出したいと考えています。

共同研究仮説02

テラヘルツ・ピコ秒現象の可視化を通して新しい応用を開拓してみませんか?

本技術は繰り返し測定を必要としないテラヘルツダイナミクスの可視化技術であるため、従来は測定できなかったような現象でも波形計測が可能となります。ぜひこのような新規性に着目していただき、新しい応用を見出していければと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

片山郁文 横浜国立大学 工学研究院
経歴

2006年3月 京都大学大学院理学研究科 博士(理学)

2006年4月 大阪大学大学院基礎工学研究科 21世紀COE特任助手

2007年12月 横浜国立大学学際プロジェクト研究センター 特任教員(助教)

2012年1月 横浜国立大学工学研究院 准教授

2019年10月 横浜国立大学工学研究院 教授

研究者からのメッセージ

超短パルスレーザーを用いてこれまでに見ることのできなかったものを可視化し、制御したい!

超短パルスレーザーは電子移動や化学反応等の引き起こされる時間スケールである、ピコ秒・テラヘルツ領域の分光を行うことのできる光源ですが、その応用はそれほど広いとは言えません。我々は、このレーザーを、うまく利用することで、テラヘルツ領域のリアルタイムオシロスコープや、ナノメートルスケールのダイナミクス計測などに応用し、世界に先駆けて見えないものを見る・制御する研究を行いたいです。