2022年度公募 seeds-2429 - 【北海道・東北】 水を加工液として機械加工を行う水加工で性能向上とメンテナンスフリー化の検討
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

安全な水を加工液とした機械加工を実現し、製造環境改善し焼却等の廃液処理削減でCO2削減・SDGs貢献

様々な工作機械機種への水加工実装・商用化と、水加工技術応用で、世界で持続可能開発に貢献

機械加工(切削,研削)では,従来は油剤など薬剤を含む加工液(切削油,研削液)が使用されてきた.しかしながら,作業者への健康影響や高コストな廃液処理(焼却等)でのCO2排出など環境負荷がある.ここで,もし加工液に安全無害な水(水道水など)が使用する事ができれば廃液処理を削減し高い環境性,省資源,省エネ,生産性等が期待できる.加工液に水が使用できれば,従来加工液での「危険・汚い・きつい・臭い・暗い」が改善でき,安全・キレイ・楽・無臭・明るい工場が実現できる.これを実現する水加工(電気防錆加工法)システム開発しており,本申請研究ではその高性能化やメンテナンス性の向上を検討する.

USE CASE

最終用途例

水加工(電気防錆加工法)で工場環境クリーン化・廃液削減・CO2削減し、
製造業でSDGs貢献

USE CASE 01電気防錆加工法:水(水道水等)を加工液にして金属(特に鉄等)の工作物(部品・製品)が錆びない加工実現

APPLICATION

APPLICATION

様々な機械加工に適用可能.研削(円筒、平面、内面等)や切削等

水は安全性・冷却性等が良いが、鉄などが錆びる問題があった。電気防錆加工法では工作物を陰極として微弱電流を供給して電気化学的に防錆することで、油剤・防錆剤を使用せずに、水だけで錆びない加工を可能にした。

USE CASE 02耐水耐食加工機(水加工機):水を加工液に使用可能な水仕様の工作機械

APPLICATION

APPLICATION

水で錆びない工作機械

従来工作機械は主に鉄材で製作され水を流すと腐食し損壊する。そこで水加工のため耐水耐食加工機(水加工機、例:平面研削)を開発している。コーティングし素材を樹脂やステンレス等にし機体に電気防錆をしている。

USE CASE 03水循環再生システム:イオンサイズ(~0.1nm)までの切屑等を除去し、加工用水を再利用可能。応用も。

APPLICATION

APPLICATION

水リサイクル、超精密加工、海外等の水の水質調整、汚染物除去等

使用した水に含まれる切屑や錆(切屑が水中で腐食)、イオン、雑菌等を除去する新しい濾過系の水循環再生システムを開発した。イオンまで除去でき非汚染超精密加工や水質調整、セシウム等汚染物除去などに応用可能。

STRENGTHS

強み

安全・無害・安価な水を加工液とする環境調和型加工法:生産現場をオイルレス・ゼロエミッションに

STRENGTHS 01

水使用での高い環境性、省エネ・省資源、冷却性、生産性

これまで様々な環境調和型加工法が開発されてきた。本研究の水加工では、水の冷却性(熱伝達率)は空気の約20倍・油剤の約5倍で、潤滑性もあり、廃液は水で、環境性、省エネ・省資源性が高く、高品質・高生産性でも優位性が期待できる。水仕様加工機、濾過システムなど一連の工作機械システムを構築し、類似研究は無い.

TECHNOLOGY

テクノロジー

一連の水を使用した工作機械系の水加工システム(電気防錆加工法システム)

TECHNOLOGY 01

耐水耐食加工機(電気防錆加工法登載)、水循環再生システムなど

本研究では、機械加工(切削・研削等)において、水のみを加工液として使用する一連の工作機械システムである水加工システム(電気防錆加工法システム)を提唱し、研究開発してきている。本システムは電気防錆加工法を登載して水加工を行う耐水耐食加工機(図の例では平面研削)と、加工後の水を浄化再生する水循環再生システムなどからなる。独自に提唱・開発をしている新システムであり、環境対応加工への関心の高まりから国内外で高評価を受けている。
【主な表彰】
2012年 砥粒加工学会賞熊谷賞、日本機械学会奨励賞(研究)、砥粒加工学会奨励賞
2013年 精密工学会技術奨励賞
2014年 文部科学大臣表彰 若手科学者賞など

TECHNOLOGY 02

加工用水の濾過・浄化性能

水循環再生システムを使用すれば、逆浸透膜等を使用しているため、水中に含まれる様々な不純物粒子(切屑、脱落砥粒、錆、イオン、雑菌など)を、従来の濾過では除去が困難なイオンサイズ(~0.1nm)まで除去することができる。これにより残留切屑等での工作物のスクラッチを防ぎ、非汚染超精密加工が簡易にできると期待される。
【主な表彰※上記からの続き】
2018年 Young Researcher Award (KSPE at PRESM2018 International Symposium on Precision Engineering and Sustainable Manufacturing)など

PRESENTATION

共同研究仮説

SDGs対応の水加工搭載の工作機械システムや、水加工技術応用

共同研究仮説01

様々な工作機械機種・用途での水加工機

水加工実装した様々な工作機械の開発

水加工システムは、従来工作機械(機種・用途ごと)のほぼ全てに適用可能なプラットホーム技術である。水加工システムを各工作機械メーカーの各機種に登載できれば、製造業での環境負荷低減・CO2削減目標(2030年46%削減、2050年100%削減カーボンニュートラル)やSDGs達成に大きな貢献が期待できる。

共同研究仮説02

水循環再生システムなど水加工技術の応用利用

水加工技術は様々な応用が可能

水加工技術は様々な応用が考えられる。水循環再生システムでは、イオンまで除去できる浄化性能から除去しにくい汚染物(セシウムCsなど)も除去できる。また、海外等水質が異なっても水質調整ができる。この濾過や水質調整でのメンテ性や性能改良などが検討される。(他応用例:水を静圧媒体に利用した水スピンドル等)

LABORATORY

研究設備

一連の水仕様工作機械系:水加工システム(電気防錆加工法システム):水加工機,水循環再生,水中保管など

LABORATORY 01

水加工機:耐水耐食加工機(実証機・平面研削)

工場環境のクリーン化(汚れ・臭いなど防止)や作業者健康被害防止,加工廃液処理削減を目指して,生産現場で水加工機(図は平面研削機)による実際の製造(部品加工等)への利用を目指し,研究開発・検証を行っている.【産学連携・共同研究】

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LABORATORY 02

水循環再生システム(研究実験機、商用準備機)

加工用水のリサイクルのほか様々な用途が考えられる水循環再生システムは、水加工機とのセット化のほか、その他の用途で単体での利用が考えられる。そこで、ビジネスの一環として単体での商用化を目指して、研究実験機と同等の浄化度・浄化流量(10L/min以上)でスリム化した商用実験機も開発している。

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LABORATORY 03

電気防錆水中保管法

上記の他、油剤や防錆剤を使用せず、加工後の工作物を水中で長期保管する電気防錆水中保管法を開発している。付随して水から出した後も耐食性向上の被膜生成も開発(特許第5598841号).
その他、今後情報紹介(水加工ネットワーク):
http://web.cc.iwate-u.ac.jp/~nkawa/

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

西川尚宏 国立大学法人岩手大学理工学部(助教)
経歴

■経歴
2006-2007 岩手大学工学部 助手
2007-至現在 岩手大学理工学部 助教
2014-至現在 浙江工业大学超精密加工研究中心 客座教授(兼業)
2019-至現在 理化学研究所 客員研究員(兼業)
2020-2021 浙江工业职业技术学院机械工程学院客座教授(兼業)
2020-至現在 南京星合精密智能制造研究院有限公司 海外特聘研究員(兼業)

■参考
世界に誇る岩手大学の先端研究pdfのp.17-18あたり
https://www.iwate-u.ac.jp/research/latest/pamphlet.html

水加工(電気防錆加工法)システムのための水循環再生系の部分的商用化の検討
https://michinoku-academia-startup.jp/michinokugapfund/mgf04/

CV(Curriculum Vitae): Naohiro Nishikawa
https://2018.presm.org/speaker/index.html?sgubun=2&event=7

特許:特許第5598841号、特許第6841500号等

研究者からのメッセージ

水加工系を登載した様々な工作機械などが開発・商用化できればと思います.

水加工(電気防錆加工法)は2030年・2050年の未来の製造にも対応するゼロエミッション環境調和型加工法と思います。水は人にも環境にも安全です。製造現場をオイルレス・クリーンにして、「危険・汚い・きつい・臭い・暗い」が改善し、安全・キレイ・楽・無臭・明るい、快適な工場が実現できればと考えてきました。輸出できれば海外での多量に加工液をを使う量産現場での廃液やCO2の削減・環境汚染・公害の防止にも役立つと期待されます。
水加工をさまざまな工作機械機種等に搭載できればと考えており、各機種ごとに各メーカー等企業様等とそれぞれ開発できればと考えております。その際、工作機械開発などは規模が大きいため、産学連携で、国のプロジェクト(経済産業省・中小企業庁Go-Techなど)など活用してできればと思います。(実績:H26年度サポイン、R4年度Go-Techなど)

参考:
西川尚宏:特集 求められる環境・省エネの最新技術 環境対応技術「水加工システム」の実用化へ向けて─SDGsに対応する加工液を水にした汎用機械加工技術─、機械と工具、日本工業出版、Vol.12, No.8, p.8-17 (2022)