2023年度公募 seeds-4741 - 【近畿】 廃棄硫黄を原料とした高機能プラスチック創出技術の開発
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VISION

ビジョン

ポリマーと調和した社会構築を目指した硫黄ポリマーの社会実装

低環境負荷硫黄ポリマー合成法の開発と材料創出

プラスチックは安価で加工性も高いため数多くの製品に用いられていますが、枯渇資源である原油から作製されていることや作製や廃棄の際の環境汚染など、プラスチックは世界的な問題となり、脱プラスチックの動きが盛んになっています。しかし、プラスチックは我々の生活にはなくてならない材料です。硫黄、そして室温合成という環境負荷の低い素材と製法からプラスチックを開発し、ポリマーを使用してもいい社会、ポリマーと調和した社会の構築を目指します。

USE CASE

最終用途例

電池材料・自己修復材料・吸着剤・接着剤

USE CASE 01低環境負荷リチウム硫黄電池の創製

APPLICATION

APPLICATION

二次電池(リチウム硫黄電池)の正極材料や電解質として使用

硫黄ポリマーの室温合成法の開発により、これまでの硫黄ポリマーよりも圧倒的に環境負荷が低い方法で硫黄ポリマーを作製できます。

MARKET

MARKET

二次電池(リチウム硫黄電池)の正極材料や電解質

リチウムイオン電池の市場規模は2020年は約233億米ドルで、年20%成長しており、2025年には約500億米ドルの規模に達する巨大マーケットです。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

既存のリチウムイオン電池の10倍の容量を持つ電池を実現

二次電池の大容量化が可能となるため、モバイル機器や車載バッテリーへの応用が期待できます。また、軽量化も可能となるため、ドローンや空飛ぶ車などの次世代モビリティ社会を支える領域への適用も期待できます。

USE CASE 02自己修復材料の創製

APPLICATION

APPLICATION

メンテナンスフリーなコーティング剤、ポリマー材料

硫黄ポリマーの特徴は「損傷しても元に戻る」ことです。これによりプラスチックについた傷などを治す必要がなくなり、メンテナンスフリーが実現可能となります。

MARKET

MARKET

現在の炭素プラスチックの代替材料や自己修復材料

汎用プラスチックの市場規模は年6%成長しており、2027年には約6890億米ドルの規模に達する巨大マーケットです。自己修復材料も年63%成長栞、2028年には626億米ドルの市場規模になります。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

材料の長寿命化やメンテナンスフリー化

硫黄ポリマーをコーティング剤をはじめとしたポリマー材料そのものとしての利用。それに加えて、自己修復性を付与する添加剤としての利用も考えらます。

USE CASE 03機能性接着剤の創製

APPLICATION

APPLICATION

易解体性接着剤・異種材料接着剤

硫黄ポリマーは①簡単に分解できる②他の材料となじみやすい特徴があります。そのため、好きなときにくっつけて剥がせる接着剤や、金属とプラスチックなどの異種材料の接着剤が実現できます。

MARKET

MARKET

接着剤における解体性接着剤、異種材料接着剤

世界の接着剤およびシーラントの市場規模は、2022 年の 653 億 8,000 万米ドルから年5.0%成長し、 2029 年までに 922 億 9,000 万米ドルに成長すると予測されています。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

あらゆる材料を好きなタイミングでくっつけて剥がせる

近年はあらゆる製品がマルチマテリアル化されており、製品の接合を接着剤で行えれば、軽量化と工程の簡素化に加えてリサイクルも容易になります。そのような異種材料・易解体性の接着剤を開発します。

STRENGTHS

強み

高温(180℃)以上でしか合成できなかった硫黄ポリマーの室温合成法の開発

STRENGTHS 01

CO2と毒ガス発生量を削減し、無臭の硫黄ポリマーを開発

室温合成を達成したことにより、高温合成される硫黄ポリマーと比較して、製造工程でのCO2発生量を75%削減、毒ガス(硫化水素)を99%以上削減した。加えて、得られた硫黄ポリマーの匂いも75%削減し、一般的なプラスチックと同様の値になりました。

STRENGTHS 02

大量合成(100gスケール)可能

空気中で混合するだけという、例えば小学校の理科室でもできる非常に簡便で安全な合成法を開発したことで、大量合成が可能です。

STRENGTHS 03

SDGs、カーボンニュートラルに大きく貢献

硫黄ポリマーは既存のプラスチックと異なり、原油ではなく硫黄を主原料として作製出来るため、化石燃料の節約やカーボンニュートラルに大きく貢献できます。しかも硫黄は廃棄物であるため、循環型社会構築にも貢献できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

硫黄ポリマー合成において、逐次重合の概念を世界で初めて導入

TECHNOLOGY 01

常識外れな方法により硫黄含有エポキシ硬化物の合成に成功

硫黄ポリマーは連鎖重合で合成されることが一般的でした。一方で、我々が用いている炭素ポリマーは連鎖重合の他に逐次重合でもポリマーが合成され、我々の衣服や接着剤など様々な材料に応用されています。更に逐次重合ポリマーは室温で合成できるというメリットもあります。もし硫黄ポリマーにおいても逐次重合による合成法を確立できれば、硫黄ポリマーの最大の問題である合成時の環境負荷と新たな硫黄ポリマー材料が合成できると考えました。試行錯誤の末、水で分解してしまうモノマーを水存在下で使用するという常識外の方法を用いることで、世界で初めての逐次重合硫黄ポリマーである、硫黄含有エポキシ硬化物の合成に成功しました。

PRESENTATION

共同研究仮説

高容量二次電池・自己修復性材料・接着剤・吸着剤の共同開発

共同研究仮説01

高容量二次電池の開発

室温合成硫黄ポリマーを用いた革新的二次電池の創製

二次電池作製を行っている企業に硫黄ポリマーを提供し、硫黄ポリマーを正極材料に用いたリチウム硫黄電池の共同開発を行いたく思います。電池性能評価を受けて、硫黄ポリマー構造の最適化を行い、革新的二次電池を開発します。

共同研究仮説02

硫黄ポリマーを添加剤として用いた材料の機能向上

材料の強靭化や自己修復性の付与

硫黄ポリマーを貴社のお持ちのポリマーに添加することで、自己修復性や強靭性の付与を目指した研究を行います。材料評価の結果を受けて、硫黄ポリマーの構造の最適化を行うことで、ポリマー材料に新たな価値観を付与します。

LABORATORY

研究設備

ポリマー材料の解析に関する装置が揃っています

LABORATORY 01

ゲルろ過カラムクロマトグラフィー

ポリマーの物性は分子量に影響されることから、合成されたポリマーの分子量を知ることは非常に重要です。オートサンプラーを用いて多数のポリマーの分子量を自動で測定することができます。また、分取することもできます。

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LABORATORY 02

引張試験機

ポリマー材料の強度評価を行うための機械です。強度評価は、材料自体、接着剤としてなど様々なものが評価できます。飛散防止カバーもあり、安全性にも優れています。

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RESEARCHER

研究者

小林裕一郎 大阪大学大学院理学研究科高分子科学専攻 助教
経歴

【研究室HP】http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/yamaguchi/assistant_professor/
【経歴】2011北陸先端科学技術大学院大学 単位取得退学、同年 博士取得、2011大阪大学大学院理学研究科 特任研究員、2011京都大学大学院工学研究科 特定助教、2016大阪大学大学院理学研究科 特任助教、2019~現職 大阪大学大学院 理学研究科 助教
【受賞】2023 第31回CERI最優秀論文賞、2022 ヤングサイエンティスト講演賞、2020 高分子研究奨励賞など

研究者からのメッセージ

脱プラスチックではなくプラスチックと調和した社会を構築するために

先日息子と絵本を買いに本屋に行った際に、プラスチックを怪物のように扱っている絵本を発見しました。自身が素晴らしいもの、そして息子たち次世代に誇れるものと信じて研究を行っていたプラスチックが排除すべきものと教育されていることに衝撃を受けました。プラスチックは発見されてから100年、産業化されてからはわずか50年で我々の生活になくてはならないようになった、素晴らしい材料です。環境中にそのまま投棄されると環境汚染を引き起こすのは避けられない事実ですが、それを解決するプラスチックの開発を企業様、大学の研究者が必死に研究開発しています。その中で私の室温合成硫黄ポリマーはその解決の一助になると信じております。しかし、まだ開発したばかりで、改良点も多いのも痛感しております。どうすればプラスチックと調和した社会を構築できるのか、その中で私の硫黄ポリマーが役割を果たせる点があるのかというご意見を企業様から頂きたく思います。プラスチックは本当に素晴らしい材料です。その中で幸運にも新しい硫黄ポリマーという素材を開発することができました。この新しい硫黄ポリマーという素材を一緒に研究して頂けませんか?