2023年度公募 seeds-4891 - 【近畿】 ナノカーボンを用いた高分離能液相分離システムの開発と実用化
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VISION

ビジョン

ナノカーボンを用いた高分離能液相分離システム

π相互作用による次世代液体クロマトグラフィーの開発

生体試料や汚染水の微量分析から、天然資源や化成品の大量分取に至るまで、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) が産業にもたらした恩恵は計り知れません。そこで本プロジェクトでは、高密度なナノカーボンの固定化によって、芳香族に由来する微弱な相互作用(π相互作用)を駆動力とした逆転の発想の分離場を開発し、HPLCでの精密分離における新しい選択肢を提供します。分離スケールの拡大にも力を入れ、微量精密分離から汎用的なミクロスケールの分離分析、さらにはリッタースケールの大量分取に対応できる実用的な分離プラットフォームの構築に挑戦します。

USE CASE

最終用途例

弱い相互作用を制御し、精密な分離を可能にする

USE CASE 01分取・精製への応用

APPLICATION

APPLICATION

精製のステップでお困りですか?

π相互作用は微弱ですが、汎用的な強い相互作用よりも選択性に優れています。本研究では、物質合成の最大のボトルネックである “精製” の過程に対して、新しいソリューションを提供します。

MARKET

MARKET

ナノカーボンの超分子スクリーニング

HPLCでは弱い相互作用の影響が分離の結果に強く反映されるため、固定相ー溶質間の相互作用を高感度かつ網羅的に計測することができます。合成した分子をカラム化することで、超分子探索を加速します。

STRENGTHS

強み

弱い相互作用を利用した精密分離の実現

STRENGTHS 01

ナノカーボンによって微弱なπ相互作用を積極的に利用

汎用の分離モードでは、疎水性相互作用やイオン性の静電引力など、強い相互作用を分離の駆動力に採用していますが、多数の芳香環を持つナノカーボンを分離場に応用することで、これらの相互作用と比べて微弱なπ相互作用を分離の駆動力として積極的に利用し、弱いからこそ見極められる精密な分離を実現にします。

TECHNOLOGY

テクノロジー

ナノカーボンの効率的なカラム化

TECHNOLOGY 01

独自のシリカ表面処理技術

熱・光活性物質であるperfluorophenyl azideは、電子求引基によって安定性が高められたnitrene中間体を介し、ナノカーボンと高効率に反応します。これを用いることで、ナノカーボンに反応性の官能基を導入し、シリカ基材へと固定化することができます。固定化したナノカーボンと溶質との分子間相互作用をスクリーニングし、超分子の候補物質を一挙に同定することができます。

TECHNOLOGY 02

シリカモノリスキャピラリーを用いた高性能分離場

シリカモノリスは、三次元ネットワーク状の骨格とその空隙が一体となったシリカ基材です。シリカモノリスの骨格サイズと流路サイズは独立して制御可能で、粒子充型カラムと比較して大きな流路によって低圧での送液が可能であると同時に、その細い骨格によって粒子充填型カラムと同等以上の性能を示します。また、分離基材とカラムが一体型であり、キャピラリーフォーマットに適用することで、少量のナノカーボン修飾溶液で、十分な分離性能・感度を示す分離場を構築することができます。

PRESENTATION

共同研究仮説

分離化学の限界突破を目指す

共同研究仮説01

モノづくりで分離化学を変えませんか?

基礎・応用両面でご一緒できるパートナーを探しています

自分が作った新しい分子をカラム化したい方、使い道を一緒に探索していただける方を探しています。生体試料や汚染水の微量分析から、天然資源や化成品の大量分取に至るまで、“分離”が産業にもたらした影響は測りしれません。本研究ではモノづくりを軸に、あらゆる産業の根底を支えるような分離場を開発したいです。

RESEARCHER

研究者

金尾 英佑 京都大学大学院薬学研究科・助教
経歴

2020 年7 月 京都大学大学院工学研究科博士課程材料化学専攻修了,博士(工学)取得
2020 年8 月~現在 京都大学大学院薬学研究科・助教
2020 年8 月~現在 国立研究開発法人医薬基盤健康栄養研究所・研究員
https://researchmap.jp/read40895166

研究者からのメッセージ

基礎研究から実用化まで,次世代のHPLCを開発する

本研究では、新材料による液相分離場というファンダメンタルな研究開発から、実用的な技術の創発を目指します。ご興味をお持ちの方は、お気軽にメールを頂けますと幸いです。