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近年のIoTの社会的実装の加速に伴い、我々の生活環境にスマートフォンなどを代表とする高性能なセンサシステムが浸透している。次の社会的・技術的の目標の一つとしては、日常の消耗品(食品や衣類など)や農耕地などの広大なフィールドから低コスト・低環境負荷のセンサにより情報を取得してIoTの対象を拡大し、人々に安全な生活と健康を届けることが挙げられる。
本研究提案は、 (a) センサの全ての構成要素が自然分解性・生分解性で、利用後は使用環境で完全に消失し、(b) 電磁波を利用しワイヤレスでのセンサ情報取得を可能(配線不要)、(c) バッテリーフリーで安全・安心の素材のみで構成(環境や生体への有害物質を含まない)、(d) 安価で大量生産可能、の5つの要素を全て満たす新規な自然分解性センサおよび計測通信手法を提案する。提案する手法により、使用環境にあわせたワイヤレスセンシング可能な自然分解型のセンサを開発し、(1)農業用地のIoTソイル(自然分解する微小顆粒状ワイヤレスセンサ)(2)生鮮食品などの品質管理シール(生分解する薄膜状ワイヤレスセンサ)の2つの実用的なかつ新規なセンサシステムを実現する。
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フェムト秒レーザーは材料の微細加工手法として注目されていますが、SiやSiCをはじめとする硬脆材料の加工時には、低い加工速度とクラック生成が課題となります。提案者はこれまで、透明材料を瞬間的に金属化することで、従来比5000倍速の加工が実現することを示してきましたが、この金属化手法は透明材料にしか適用できません。本研究では、電子密度の高速計測・制御技術を確立することで、不透明である半導体の透過性を向上させます。その領域を金属化することによって、半導体の超高速加工を実現します。
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農作物の生産現場では、インプットである栽培環境のモニタリングや制御技術が発達している一方で、アウトプットである植物のバイタルサインのモニタリングや評価技術が未発達であるために、植物の生育状態を環境制御にフィードバックするような栽培管理の高度な自動化が実現できていません。
植物の外観から病害を検出したり収量を予想したりする技術が開発されています。一方で、植物の外観からは環境に応じてダイナミックに変化する植物体内の生理情報を取得できません。また、軽度なストレスだと、外観に影響が現れるまでにタイムラグがあります。こうしたことから、画像計測のみでは緻密な栽培管理が難しい現状があります。
施設園芸や植物工場においても、作物の栽培環境や生育は不均一です。また、作物の生育段階によって環境応答は異なります。そこで、作物の生育に合わせた栽培環境の最適化やストレス処理による高付加価値化(果実の糖度向上など)を実現するには、植物の環境応答を高時空間分解能でセンシングする必要があります。
私は、植物の環境応答をリアルタイムで計測できる小型・低消費電力・低コストのセンシング技術を開発しています。
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2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの重要性が益々高まっている中で、大量の太陽光発電用高純度シリコンが必要となる見込みです。高純度シリコンの製造には、シリカ原料からの金属シリコン(MG-Si)の製造が最初のステップとなりますが、エネルギー多消費かつ二酸化炭素を排出するプロセスです。本研究では、熱プラズマの超高温を利用したインフライト水素還元プロセスの着目することで、エネルギー効率に優れる金属シリコン製造方法の確立を目指します。
従来技術である炭素電極アーク炉(電炉)では、一度還元されたシリコンが再び部分酸化されるなど、複雑な再循環の過程を経るためにエネルギー効率が低く、大量の二酸化炭素を排出する点が大きな課題点です。そこで本提案手法では、高温・高化学活性の熱プラズマ中でのインフライト処理に着目しました。数十~数百マイクロメートルのシリカ粉末を熱プラズマに投入することで、再循環の抑制、反応時間の短縮が可能となるため、エネルギー効率に優れ、CO2を排出しない革新的な金属シリコン製造方法が確立できると考えます。
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生命現象や機能性材料の重要な性質は、あらゆる力のオーダーが揃うために複雑な相互作用が生じる、ナノスケールダイナミクスから創発されます。実は、このナノスケールダイナミクスを計測する方法の欠如、著しい制約が、各種分野の研究開発のボトルネックとなっています。我々は、液中試料をそのまま電子顕微鏡で観察し、構造と動きを観察可能とすることで、このボトルネックを解消しました。具体的には、電子線透過性と変形性に優れたナノ薄膜を作成し、試料を覆うことで、ナノ薄膜が透明マントのように観察の邪魔をせず、液中状態を保ったままの試料のダイナミクス観察を可能とする方法を開発しました。作成した薄膜をDET膜(Deformable and Electron Transmissive Film)、この薄膜を用いた電子顕微鏡ライブイメージング法をDET膜法と命名しました。現在開発したDET膜は光透過性も高いため、同じ試料の分光計測等の光学顕微鏡計測も可能とします。我々は、このDET膜法の利用と改良を進め、「液中試料の電子顕微鏡ライブイメージング」という顕微鏡計測の新基準を打ち出そうとしています。
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日本では高齢化が進んでおり,2030年には約3割が高齢者となる社会に突入することが推計されています。また,近年の乗用車による危険運転を背景として,運転免許証の自主返納の動きが広がっています。免許返納後,地方では公共交通網が脆弱であるために生活機能維持が難しくなっています。そのため,後期高齢者を始めとした買い物弱者の自立的移動のためのモビリティ確保に向けた対策が求められています。
私は,電動車いすの利用において,運転時に危険・不安となる事象をあらかじめ検出し,それらを運転者に知らせる安全運転支援機能と,危険・不安事象を反映させた自動歩道地図作成機能を,コンピュータビジョン技術に基づいて実現しようと開発に取り組んでいます。
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メンタルヘルス対策、学習・労働の作業効率化、および人為的作業ミス対策として、ストレスや疲労感、快適感、感情的覚醒度などの人の心的状態の把握と環境改善が重要です。心的状態を推定する技術は、近い将来に向けて、自動車メーカ、医療メーカ、家電メーカ、さまざまな企業が注目している技術です。心的状態推定技術は、製品やサービスを利用する人の感情に応じて個別最適化するシステムやサービスへの応用が期待されており、新しい製品やサービスを生み出し、開発の在り方も変えるインパクトを持っています。
本研究では、労働環境・教育研究環境における心的状態の把握と改善に向けて、非接触型環境センサデータのみ用いて心的状態を推定するシステムの高度化(高精度化、汎用化、心的状態の時系列予測技術の開発)を目的とします。本研究において、実用化に向けた研究開発を進めることによって、メンタルヘルス対策、学習・労働の作業効率化、および人為的作業ミス対策だけではなく、個別最適化技術を用いたさまざまなサービスへの展開が可能となります。
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生体組織に弾性・伸縮性を与えるエラスチンタンパク質は、コラーゲンやヒアルロン酸と並んで重要な細胞外マトリックス成分ですが、抽出法や化学合成法が確立されておらず、実利用・普及に至っていません。本研究開発では、自己集合してナノファイバーやハイドロゲルを形成し、エラスチンの機能を再現できるタンパク質・ペプチドの最小アミノ酸配列を探索し、その化学合成法を確立します。合成エラスチンが実現すれば、社会、産業においてエラスチンを利活用する道が拓かれ、機能性化粧品や食品、細胞培養基材、実験用モデル組織、人工血管、創傷治癒、ウェアラブルデバイス用素材等、多数の応用につながると期待されます。
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Society 5.0として注目されている技術では、AIとIoTによるセンサーを活用し現象を学習・予測しますが、センサーのない箇所までは対象にできません。機械やインフラなどの構造物には様々な力がはたらくため、IoT技術のみでは構造全体の状態の把握が難しくなります。また、AIの学習にも、センサーから得られる計測データを使用するため、長時間を要します。
この研究では、構造シミュレーション手法であるCAE技術を積極的に活用し、データ科学の手法と融合させることで、構造物の状態把握におけるセンサーと学習時間の問題の克服するデータ駆動型CAE技術の開発を目指します。しかし、従来のCAE技術を用いて構造物の予測するためには、大型コンピューターを用いた長時間の計算が必要になり、データ科学の手法で必要とされる膨大な数のシミュレーションを実行が難しくなります。そのため、この研究では、独自の高効率なシミュレーション技術である「理想化陽解法FEM」により、計算量の壁ともいえる問題を克服し、Society 5.0の技術に加えて物理現象のモデルを活用したSociety 5.1技術体系を構築します。
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様々なモノがインターネットに繋がり、そこから得られたビッグデータが収集・分析され、社会に大きな革新をもたらすと期待されています。このような IOT (Internet of Things)時代に必要不可欠となるフレキシブル・ストレッチャブルセンサのような次世代フレキシブルデバイスの場合、薄くて軽く、さらに曲げられる特性を活かしてモノに直接貼り付けるだけで多くの情報を得ることができると期待されています。本研究提案の目標は、プラスチック上に形成したシリコン (Si) 及び、有機や酸化物に代表される電子デバイスを接続し、有用な機能を持たせるためのインクジェット描画技術を応用した低コスト回路配線技術を開発することです。本提案技術の対象は、回路構成に必要となる金属配線及び層間絶縁膜の形成技術であり、金属配線に於いては、描画と同時に低抵抗化する技術を開発し、層間絶縁膜に於いては、ポリシラザンを用いて必要な位置に描画後、簡易な装置・シンプルな処理のみで高品質絶縁膜へシリカ転化させる技術を開発していきます。
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