2024年度公募 seeds-5564 - 【中国】 もみ殻炭のハイブリッド構造を活かしたバイオマスフィラーによる高分子複合材料の開発
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

バイオマスであり、マテリアルリサイクル性の高い高分子複合材料の開発

もみ殻の炭素・ケイ素のハイブリット組成と多孔質構造を活用した高分子材料の補強材

2050年の脱炭素社会の実現に向けて、バイオマス由来の補強材(フィラー)と樹脂を混錬し複合化したバイオマスプラスチックの活用が注目されています。身近なバイオマス資源であるもみ殻を炭化し、もみ殻炭が併せもつ炭素・ケイ素ハイブリット構造と多孔質構造の特性を活用したバイオマスフィラーによる高分子複合材料の開発を行います。自動車製品、家電製品用プラスチックにはフィラーとしてカーボンブラック(CB)やケイ素含有のタルク(鉱物)が多く含まれており、もみ殻炭によるバイオマスフィラーへ転換することで環境調和性と機能性の向上が実現可能な材料開発を目指します。

USE CASE

最終用途例

機能性とリサイクル性の高いポリマー材料開発

USE CASE 01カーボンブラックの置き換えが可能に

APPLICATION

APPLICATION

もみ殻炭の多孔質構造により高分子複合材料の力学的物性が向上

CBに比べ比表面積が10倍以上のもみ殻炭の活用で、引張特性(のび)の優れた高分子材料開発を可能にします。さらに、マテリアルリサイクル時に課題となっているCBの凝集挙動を回避することが可能となります。

STRENGTHS

強み

化学的・力学的物性の制御が可能なバイオマスプラスチックの開発

STRENGTHS 01

環境調和性もあり高機能化も図れるバイオマスプラスチックの創生

産業廃棄物として単にもみ殻炭を取り入れた複合材料では強度やのびが保証できない材料設計でしたが、適正な調製条件によりポリマーとフィラーの接着性や高分子結晶性を制御することで強度やのびなどの機能性向上が図れる材料設計を実現します。

STRENGTHS 02

もみ殻炭によるプラスチック材料のマテリアルリサイクル

もみ殻炭は800℃以下の焼成温度に対しては非晶性シリカ成分を含む炭素・ケイ素ハイブリット構造を有するバイオマスフィラーであり、一般的な樹脂の混錬温度である250~300℃においては熱による変性のリスクのない安定した材料であるためマテリアルリサイクル用途の材料として活用できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

バイオマスであり、リサイクル性もある高機能性フィラー素材

TECHNOLOGY 01

ポリマーともみ殻炭の接着性と高分子結晶挙動がコントロール可能

もみ殻炭の炭素・ケイ素のハイブリット構造と多孔質構造という天然のユニークな特性は、適正な処理により樹脂との接着性を向上させ、樹脂の剛性を付与することが期待できます。樹脂ともみ殻炭との接着性や剛性に寄与する支配因子について、機器分析による組成分析結果と力学的物性評価の相関を機械学習を用いて解明します。さらに、カーボンブラック(CB)やタルク(鉱物)に比べ、結晶化挙動を緩和させる核剤効果を示すため、リサイクル時の樹脂の再融解による再結晶化挙動を制御可能にするバイオマス材料となり、効果的なマテリアルリサイクルへの活用が期待できます。

PRESENTATION

共同研究仮説

社会実装を目指した共同研究

共同研究仮説01

効率的なもみ殻炭の製造プロセスの開発

低エネルギー、低コストな製造方法

もみ殻を焼成し、炭化する際の排出エネルギーを効率よく循環する知見に乏しく、エネルギー循環に関する技術開発においても共同研究を実施する必要があると考えております。さらに、嵩高く、軽量の産業廃棄物を低コストで機能性材料へと変換していくプロセスにおいても共創していきたいと考えております。

共同研究仮説02

社会的ニーズの探索

課題解決に向けた具象性が低いことが社会実現を律速化

もみ殻炭の多孔質構造はバイオマスフィラーのみならず、活性炭としての特性もあるため、ガス吸着膜や分離膜、建材、自動車などの断熱・吸音材、あるいは電極材料などのバッテリー製品への応用も可能であり、高分子複合材料とは別の専門性が必要です。企業の皆さまのご知見と共に研究を推進したいと考えています。

RESEARCHER

研究者

中谷 都志美 広島大学 デジタルものづくり教育研究センター 特任助教
経歴

(経歴)
2020年4月~現在 広島大学デジタルものづくり教育研究センター 特任助教
2019年9月 広島大学大学院工学研究科応用化学専攻博士課程後期 修了
(受賞歴)
2025年4月 令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 開発部門
2024年4月 第74回自動車技術会賞 「技術開発賞」受賞

研究者からのメッセージ

地域産業の活性化にもつながる取り組み

もみ殻は日本国内はもとより、世界中で生産され、排出されている身近な産業廃棄物です。労働者人口の減少に伴い、廃棄物処理を担う人手が不足していることも喫緊の課題となっています。環境調和性の取れた材料開発と地域産業の活性化の実現に向けて共に研究活動、さらには社会実装化を目指していきたいです。