2022年度公募 seeds-3538 - 【東海】 パルスレーザーで海水から直接水素を製造する
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VISION

ビジョン

水素エネルギー社会の実現には、二酸化炭素を排出しない水素製造と豊富な海水資源の有効活用が鍵

レーザー駆動の化学プロセスで水素エネルギー社会を実現する

パルスレーザーを用いて海水や河川水から直接水素を製造できる新しい技術の創出を目指す。従来の電気分解や光触媒では、装置の腐食や塩素ガスの発生を防止するために不純物の少ない水(純水)を使用する必要があったが、パルスレーザーを用いることで選択的に水のみを分解する。これにより、地域社会にスマートグリッドやレジリエンス強化をもたらす。

USE CASE

最終用途例

非常の電力源としての利用

USE CASE 01レーザーで海水から水素を直接製造する技術

APPLICATION

APPLICATION

淡水化処理プラントのような付帯設備が必要にない

非常・災害時のエネルギー源としての利用、中山間地域におけるスマートグリッドの確立、途上国におけるエネルギー源としての利用

STRENGTHS

強み

海水・河川水を処理することなく、レーザーの直接的な水分子への作用で水素を製造する

STRENGTHS 01

淡水化処理なしで海水を水分解する

従来の技術では、例えば海水を装置内に導入することで材料の腐食や、水分解で副次的に発生する塩素ガスの配管へのダメージが問題となる。一方、本技術では、水槽内に材料を設置しないこと、塩素ガスが発生しないことから、直接海水を利用することができる。

TECHNOLOGY

テクノロジー

フェムト秒レーザーで誘起される多光子電離水分解法(MPI-WS)

TECHNOLOGY 01

純水よりも海水から多くの水素が製造できる不思議

私たちの研究チームは、これまでに純水へレーザーを照射するよりも海水の場合により多くの水素を製造できることを発見しました。これは私たちが利用しているフェムト秒レーザー(10兆分の1秒のみレーザー照射)特有の現象です。エネルギーを時間的に圧縮することにより、ピーク強度が増強されるため、レーザーは場との相互作用で自ら空間的に狭まってきます(自己収束と呼びます)。海水は塩分(金属イオン)が存在するため、レーザーの影響を受けやすく、純水よりも自己収束の度合いが強まり、結果として水分解反応を促進します。

PRESENTATION

共同研究仮説

スケールアップ、システム化、コストダウンに関する共同研究

共同研究仮説01

本技術シーズの社会実装に向けた実現性の検討

従来手法に頼らない新しいスケールアップ概念の創出

スケールアップ、システム化、コストダウンの観点から共同研究を希望しています。スケールアップでは、レーザー増設等ではなく、ユニークな物理現象を利用したアイデアで新しい概念の創出に挑戦しています。

RESEARCHER

研究者

桑原彬 国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院工学研究科 助教
経歴

2019年9月 静岡大学創造科学技術大学院 修了 博士(工学)
2020年2月 名古屋大学大学院総合エネルギー工学専攻 助教
本技術シーズに関連する論文は以下をご参照ください。
DOI: 10.1039/D2RA01337A

研究者からのメッセージ

基礎研究から応用研究までカバーします。

水素の製造量だけでなく、パルスレーザーを照射した際の物理現象・化学反応の理解を大切にしております。既に海水からの水素製造を実証しており、現在、スケールアップ(製造能力の向上)に関する研究開発に取り組んでおります。熱意を持って次世代の地域創生に取り組む気概があり、共同研究をご実施いただけるパートナーを探しております。