2020年度公募 seeds-0234 - 【中国・四国】 遺伝子改変技術を活用した、デンプンの代わりに機能性多糖類を蓄積する高付加価値オオムギの開発
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VISIONビジョン

VISION

ビジョン

遺伝子改変技術を活用して、高付加価値なオオムギを開発し、企業・農家の課題解決に貢献

遺伝子改変技術を活用して、デンプンの代わりに機能性多糖類を蓄積する、高付加価値なオオムギを開発

本研究は、デンプンの代わりに機能性多糖類を穀粒に蓄積する、高付加価値なオオムギの開発を目指します。これは、人間の健康機能性食品としてだけでなく、家畜の健康を支える機能性飼料としての利用も期待されます。
本研究を担当する研究者は、独自に開発したスクリーニングシステムにより、デンプンの蓄積が少ないオオムギの変異体を獲得しています。本研究では、そのオオムギ変異体と機能性多糖類を過剰発現する遺伝子改変オオムギを交雑することで、高付加価値オオムギを開発します。一方、デンプンが少なく遺伝子改変が可能なオオムギを育成することにより、様々な機能性多糖類を蓄積する遺伝子改変オオムギの開発システムを構築します。

企業・農家の目的に合わせて、特定の機能性多糖類を蓄積したオオムギを、従来より短期間で開発

本研究では、現在、機能性多糖類のモデルケースとしてフルクタンを蓄積するオオムギを開発しています。フルクタンは、飼料に豊富に含まれることで家畜の嗜好性が向上することが分かっています。このフルクタンを蓄積するオオムギを開発することで、より健康な家畜育成・家畜のブランド化等に貢献します。
また、本研究を通じて、遺伝子改変技術を活用した機能性オオムギの開発手法が確立されれば、10年以上を要する従来の育種による手法に比較して、3年程度の短期間でオオムギの開発が可能になります。これにより、企業・農家の目的に合ったオオムギの開発・生産・流通を加速させます。
このようにオオムギの高付加価値化に貢献することで、国内におけるオオムギ生産・流通の活性化に寄与します。

USE CASE

最終用途例

目的に合わせた高付加価値なオオムギを開発することが可能に

USE CASE 01家畜の嗜好性が高いオオムギ開発により、高品質飼料を生産できる

APPLICATION

APPLICATION

遺伝子改変技術を活用し、フルクタンを蓄積したオオムギを開発

本研究で着目するフルクタンは、水溶性食物繊維であり、家畜の嗜好性を高める機能性多糖類です。これを蓄積した高付加価値オオムギを開発することで、企業・農家にとっては高品質飼料による健康な家畜育成・家畜のブランド化等に繋がることが期待されます。

USE CASE 02共同研究先のニーズに合わせたオオムギ開発により、企業・農家の課題解決に貢献

APPLICATION

APPLICATION

その他の機能性多糖類を蓄積したオオムギを開発

オオムギに蓄積する機能性多糖類は、共同研究先のニーズに合わせて柔軟に対応可能です。例えば、人や家畜が摂取するものだけでなく、生分解性プラスチックやバイオマス燃料に適したオオムギの開発も想定しています。

STRENGTHS

強み

オオムギ×遺伝子改変技術に関する豊富なリソース・ノウハウにより、高付加価値なオオムギの開発を実現

STRENGTHS 01

オオムギに特化した研究開発・豊富なリソース・ノウハウ

本研究を担当する研究者が属する岡山大学は、世界中から収集されたオオムギ遺伝資源を有しており、多様性解明に向けたゲノム研究等に取り組んでいます。一方、本研究を担当する研究者は、オオムギの遺伝子改変技術の高度化や有用遺伝子解析に取り組んでいます。本研究は、これら研究資源を活用して得られたオオムギの低デンプン変異体および形質転換技術を活用します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

デンプンの蓄積量が少ないオオムギ変異体をもとに、特定の機能性多糖類を蓄積するオオムギの開発を実現

TECHNOLOGY 01

デンプンの蓄積量が小さいオオムギ変異体

本研究を担当する研究者は、独自に開発したスクリーニングシステムにより、デンプン関連のオオムギ突然変異体を収集しています。これまでに、本来の野生型のデンプン粒子とは大きく異なる突然変異体を5系統単離し、これらの変異体の交雑により得た二重変異体から、デンプンの蓄積量が小さい変異体(starchless変異体)を獲得しました。
このstarchless変異体は、光合成産物である糖がデンプンに占有されずに過剰に存在しているため、機能性多糖類への容易な代謝誘導が期待されます。図に示すヨウ素で染色した穀粒の断面からも、starchless変異体はデンプンが少ないため、ヨウ素呈色が薄いことが分かります。

TECHNOLOGY 02

オオムギの遺伝子改変技術(形質転換・ゲノム編集)

本研究を担当する研究者は、オオムギの形質転換およびゲノム編集技術の高度化に取り組んでいます。これまでに、それらの遺伝子改変技術を可能にするオオムギ遺伝子座TFAを同定しました。低デンプン変異体は遺伝子改変が難しい系統ですが、交雑によりTFAを導入することで、遺伝子改変が可能な低デンプンオオムギを作出できます。また、このTFAは他のオオムギ品種にも導入可能であり、多様な品種で遺伝子改変効率の向上が期待できます。

PRESENTATION

共同研究仮説

機能性多糖類を蓄積した高付加価値オオムギの品種開発、成分分析、試験栽培、商品開発

共同研究仮説01

まず高付加価値オオムギの開発手法を確立した上で、共同研究相手の目的に合った開発等を実施

品種開発、成分分析、試験栽培、商品開発を、一気通貫で進行

モデルケースとしてフルクタンを蓄積するオオムギの開発を進めて、開発手法の確立、知見の蓄積を目指します。その上で、共同研究相手と連携して、目的に合った機能性多糖類を蓄積するオオムギの品種開発、成分分析、試験栽培、商品開発を、一気通貫で進めます。試験栽培には、大学が保有する閉鎖系育成室を使用します。

LABORATORY

研究設備

植物育成設備

LABORATORY 01

研究圃場と組換えDNA実験対応の植物育成室

オオムギ栽培(非組み換え)が可能な研究圃場を有します。遺伝子組換え植物に該当するオオムギは、閉鎖系の専用育成室にて栽培します。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

久野 裕 岡山大学
経歴

2012年 2月 岡山大学資源植物科学研究所 助教
2018年 2月 同 准教授
実績(受賞歴・特許実績等)
International Barley Mutant Workshop Best Poster Award (2018/06)
特願2016-124749・形質転換感受性のオオムギの作出方法(2016/06)
学会発表歴(招待講演)
Plant and Animal Genome XXV (2017/01)
第16回NC-CARP産学連携コンソーシアム講演会(2018/06)
論文
Selection of transformation-efficient barley genotypes based on TFA (transformation amenability) haplotype and higher resolution mapping of the TFA loci. (2017/04)
Genomic regions responsible for amenability to Agrobacterium-mediated transformation in barley. (2016/11)

研究者からのメッセージ

人も家畜も健康になるようなオオムギを作りたい

オオムギの形質転換やゲノム編集ができる研究機関はそれほど多くなく、日本の大学に限れば私だけかもしれません。本研究では、その技術を駆使して、オオムギに新規の機能性を付与します。フルクタンは、水溶性食物繊維として、人の健康機能性成分として着目されています。また、フルクタンは、家畜の嗜好性を上げる飼料成分でもあります。家畜の腸内細菌を活性化するともいわれています。一方、植物に蓄積するフルクタンは耐凍性や耐病性の向上にも貢献しています。このように、人や家畜、さらには植物の生活を支える機能性多糖類を深く研究していきたいと考えています。

松島 良 岡山大学
経歴

2005年4月 岡山大学資源植物科学研究所 助手
2016年4月 同 准教授
実績(受賞歴・特許実績等)
イネ科植物及びその作製方法 (特願2020-169225) (2020/10)
第125回日本育種学会優秀発表賞 (2014/03)
学会発表歴(招待講演)
第65回 日本食品科学工学会 シンポジウム (2018/08)
おかやまバイオアクティブ研究会 第45回シンポジウム (2014/06)
7th International Rice Genetics Symposium (2013/11)
論文
Scientific Reports(Imaging Amyloplasts in the Developing Endosperm of Barley and Rice)(2019/03)
Plant Physiology(Amyloplast Membrane Protein SUBSTANDARD STARCH GRAIN6 Controls Starch Grain Size in Rice Endosperm)(2016/01)

研究者からのメッセージ

新しい食品や飼料の開発につながるオオムギ素材を作出したい。

オオムギは、食用、醸造・麦芽用、飲料用ならびに飼料用など様々な用途を持つ多用途作物です。野生型のオオムギ穀粒では、その70%以上がデンプンです。この多量に蓄積するデンプンを構成する糖をデンプン以外の機能性多糖類に置き換えることができれば、全く新しい価値を有した食品素材、飼料素材ができると思っています。本研究では、遺伝学的な方法を使って低デンプン変異体系統を作出しています。この変異体の登熟穀粒では、野生型よりも単糖類と二糖類が高蓄積していました。この系統に対して、遺伝子改変技術により代謝改変することにより、様々な機能性多糖類の高蓄積が実現できると期待しています。