2022年度公募 seeds-3541 - 【近畿】 再エネの主力電源化に資する水素吸蔵合金の省エネ・低コスト製法の開発
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

温室効果ガスや難処理廃棄物を排出しない持続可能なエネルギーインフラの構築

再生可能エネルギーを大容量,長期間,コンパクトに貯蔵する水素吸蔵合金の量産化

東日本大震災に伴う原発事故を経験し,ロシアによるウクライナ侵攻が続く中,外憂に翻弄されない持続可能なエネルギーインフラの構築が急務となっています。出力変動が大きい再生可能エネルギーを貯蔵し利用するには,現行の揚水発電に加え,水素蓄電も大規模化に有利な選択肢の1つです。本テーマでは,水素キャリアのうち性能・コスト両面で実用化が困難とされていた水素吸蔵合金について,既に低コスト化の見通しが得られており,現在は高性能化に向けた研究開発を中心に取り組んでいます。

USE CASE

最終用途例

Power to Gas (PtoG) システム向け定置用水素吸蔵合金

USE CASE 01再生可能エネルギーを長期間安全に貯蔵

APPLICATION

APPLICATION

ゼロエネルギービルにおける水素蓄電・BCP電源

余剰の再生可能エネルギーを用いて水電解により水素を製造し,電力需要が供給を上回る冬季,夜間,災害時に燃料電池により発電するエネルギー供給システムに,低圧で安全な水素吸蔵合金の活用を目指します。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

再生可能エネルギーを主力電源とする水素エネルギー社会の実現

水素蓄電を揚水発電に次ぐ再生可能エネルギーの出力変動対策と位置付け,低圧で安全な水素吸蔵合金タンクの普及を通じて,再エネの主力電源化を目指します。

USE CASE 02都心部にも設置できる水素ステーションの実現

APPLICATION

APPLICATION

低圧で安全な水素吸蔵合金タンク

現行の水素ステーションに実用されている水素キャリアは液体水素および超高圧水素で,法規制により1階建ての建物にしか設置できませんが,水素吸蔵合金タンクであれば高層ビルの地下等にも設置できます。

USE CASE 03軽量で安価な水素キャリアの実現に向けて

APPLICATION

APPLICATION

純水素型燃料電池向け軽量水素吸蔵合金カセット

現行の水素吸蔵合金ボンベには主にLaNi5系合金が用いられ,重量に難があります。輸送時のCO2排出や材料コストを抑えるため,軽量水素吸蔵合金(主にMg系・Ti系)の高性能化・低コスト化を進めています。

STRENGTHS

強み

水素吸蔵合金の生産速度向上

STRENGTHS 01

従来法(ボールミリング)から1~3桁高速化

ボールミリングでは数~数100時間かけて200g以下の合金しか作製できませんが,摩擦攪拌技術を活用することで,1日数~10kgの水素吸蔵合金を生産できる見通しが得られています。

STRENGTHS 02

水素吸蔵合金製造時の電力コスト削減

水素吸蔵合金粉末の主要製造工程として摩擦攪拌と従来法(ボールミリング)を比較したところ,同質量の水素吸蔵合金の製造に要する消費電力量(電力量料金)は,従来法の1/10以下で済む見通しが得られています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

摩擦攪拌がもたらす水素吸蔵合金の高性能化

TECHNOLOGY 01

主要な強ひずみ加工の中で最も優れた水素吸蔵・放出サイクル特性

近年,新たな水素吸蔵合金粉末の製造方法として,板材や棒材などの塊状の素材(バルク)に強ひずみ加工を施し,処理部から粉末を削り出す新工程が検討されています。本テーマで採用する摩擦攪拌処理(FSP)を施した攪拌部から削り出した粉末は,高圧ねじり加工(HPT)または等チャンネル角押出し(ECAP)を受けたバルクから削り出した粉末と比較して優れた吸蔵・放出特性を示すことが分かりました。FSPは水素吸蔵合金の初期活性化プロセスとして有用であるだけでなく,100サイクル後の水素吸蔵量も6質量%以上が維持され,長期耐久性にも優れた結果が得られています。

TECHNOLOGY 02

摩擦攪拌合金化・複合化による更なる特性向上

摩擦攪拌処理において工具の突起(ピン)が通過する領域にあらかじめ水素化反応を加速する触媒物質(遷移金属や酸化物等)を配置しておき,その上から摩擦攪拌処理を施すことにより,ベースとなる水素吸蔵合金に触媒物質を合金化・複合化することが可能です。これにより水素吸蔵速度を高速化できることを実証し,現在さらなる特性向上に取り組んでいます。

PRESENTATION

共同研究仮説

摩擦攪拌技術による水素吸蔵合金の創製からシステム実装に至るまでの研究開発

共同研究仮説01

水素吸蔵合金の量産化を通じたグリーンイノベーション

摩擦攪拌を活用した水素吸蔵合金の省エネ・低コスト製法の開発

これまで水素吸蔵合金を研究開発・販売されてきた,あるいは今後自社の素材をクリーンエネルギー分野に展開したい素材メーカーの皆様方らと共に,新たな材料・プロセス開発に取り組みたいと考えています。

共同研究仮説02

水素吸蔵合金の量産専用機・汎用機ならびに後工程の開発

水素吸蔵合金のサプライチェーンの構築に向けて

摩擦攪拌装置は制御性の高いフライス盤と類似の機構を有しており,少量生産段階では専用機で,大量生産には汎用機にてサプライチェーンが構築できれば理想的です。また,摩擦攪拌部の切削・粉砕・容器充填工程の開発も必要です。工作機械,粉砕機メーカー,ガスボンベ等を取扱う企業様のご協力を求めます。

LABORATORY

研究設備

摩擦攪拌装置

LABORATORY 01

摩擦攪拌装置

弊所森之宮センターでは2022年に新たに摩擦攪拌装置を導入しました。この装置でカバーできない条件にて実験を行う際に,共同研究先の大阪大学接合科学研究所の装置を利用する場合もあります。

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RESEARCHER

研究者

木元 慶久 大阪産業技術研究所 物質・材料研究部 先進構造材料研究室 主任研究員
経歴

2007年 大阪府立大学大学院工学研究科材料工学分野にて博士号取得
2015年 大阪市立工業研究所 研究員
2017年 オーストリア ウィーン大学物理学部に入学(1年間)
2019年 大阪産業技術研究所 主任研究員 現在に至る
成果リスト researchmap https://researchmap.jp/y-kimoto

研究者からのメッセージ

立つ鳥跡を濁さず

子どもたち孫たちの世代にたくさんの負の遺産を残すか,持続可能な社会を築き上げるかは,今を生きる私たちにかかっていると認識しています。
自然エネルギーを貯めて大切に使い,ライフラインを奪い合う必要がない世界に向けて,ご一緒に舵を切りませんか?
電力に占める再エネ比率が8割を超える東欧の国オーストリアに留学し開始した国際共同研究の成果を,共に形にして頂ける企業を心待ちにしています。