2020年度公募 seeds-0282 - 【関東】 急速充放電を可能とする次世代型リチウム二次電池の実用化に向けた高リチウム伝導性液体電解質の開発
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VISION

ビジョン

急速充放電が可能な蓄電池用電解質の実現により、自動車産業のカーボンニュートラルに貢献。

特異な「イオンホッピング現象」に着目し、リチウム系電解質の設計思想を根本から変えるブレークスルーを。

カーボンニュートラルへの関心が高まる自動車業界では、今後、電気自動車のさらなる普及が見込まれます。本研究は、電気自動車の充放電性能を大幅に向上させる液体電解質の開発を目指すものです。リチウムイオン蓄電池の充放電性能は「イオン伝導率」と「Liイオン輸率」の2つの指標に影響されますが、これらは、どちらかを高めようとすると他方が低下する傾向にあることが知られています。
本研究では、高濃度にリチウム塩を溶解させたある種の濃厚電解液を用いると、特異な「Liイオンホッピング伝導」によりイオン伝導率とイオン輸率が両立できる可能性を見出しました。電解質構造とイオン輸送特性について系統的な検討を行い、この実証を目指します。

電気自動車の充放電性能向上に寄与することで、世界的な普及の後押しを目指す。

自動車の電化は一気に進んでいく中で、急速充放電性能をいかに高めることができるかが、製品競争力を左右するポイントの一つになることは間違いありません。本研究の成果によって電気自動車の普及に寄与することで、産業界におけるカーボンニュートラルの取り組みを一層後押しすることができると考えています。

USE CASE

最終用途例

リチウムイオン蓄電池

USE CASE 01電気自動車電気自動車の急速充放電性能を可能にするリチウムイオン二次電池

APPLICATION

APPLICATION

電気自動車の充電速度を向上

これまで電気自動車のボトルネックであった充放電速度を向上させることで、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させることが可能になります。これにより、電気自動車のさらなる普及が期待されます。

STRENGTHS

強み

液体電解質で高いリチウムイオン輸率を実現

STRENGTHS 01

高イオン伝導率と高イオン輸率を両立できる電解質設計

これまで液体電解質開発において、Liイオン輸率を制御し向上させようとする試みはほとんどありませんでした。我々は独自に蓄積したデータベースと理論の裏付けから、高いLiイオン輸率を実現する指針を明らかにしました。これを基に高いイオン伝導性と高いLiイオン輸率を両立可能な液体電解質を設計・開発します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

【文科省「若手研究者賞」受賞】
イオン伝導率とイオン輸率を両立するリチウムイオン電解質の設計を可能に

TECHNOLOGY 01

特殊な電解質構造が、特異なLiイオンホッピング伝導と関係

高濃度にリチウム塩を溶解させたある種の濃厚電解液を用いると、特異な「Liイオンホッピング伝導」により高いLiイオン輸率が実現できることを明らかにしました。高いイオン伝導性と両立させることで、従来実現できなかった急速充放電レベルが達成可能となります。さらに、“液体”電解質であるため、従来の蓄電池生産プロセスが利用可能なことから、設備投資コスト抑制にも寄与します。その他、耐酸化性、耐熱性の向上、多様な負極材料への適用性、リチウムデンドライト抑制なども確認されており、リチウムイオン電池の高エネルギー密度化、高電圧化も期待できます。今後、新規溶媒やリチウム塩を用いた新規電解質開発やなどを推進していきたいと考えています。

PRESENTATION

共同研究仮説

新規電解質材料の開発

共同研究仮説01

新規リチウム塩・溶媒を用いた電解質材料の開発

本研究テーマの概要

優れた特性を示す電解質を実現するのにリチウム塩や溶媒など新規物質の開発は欠かせません。また、次世代蓄電池への応用の観点から、新たに開発検討されている電解質材料の評価や新規物質の提案を行うことも可能です。

LABORATORY

研究設備

新規液体電解質材料およびそれを用いた電池の基礎的な評価

LABORATORY 01

イオン輸送特性の評価

磁場勾配NMRおよびイオン伝導率、リチウム輸率測定により電解質材料のイオンダイナミクスを明らかにします。

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LABORATORY 02

電気化学特性の評価

各種電気化学測定により電解質材料の酸化・還元安定性や電気化学特性を評価します。

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LABORATORY 03

リチウムイオン電池の充放電測定

開発した電解質材料を用いたリチウムイオン電池をコインセルレベルで評価し、結果を更なる高性能化電解質の開発にフィードバックします。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

上野和英 横浜国立大学 大学院工学研究院 准教授
経歴

2009-2011年 アリゾナ州立大にて博士研究員
2011-2014年 横浜国立大学 産学連携研究員
2015-2017年 山口大学助教を経て
2017年 -現職 横浜国立大学 大学院工学研究院 准教授

受賞歴
「ソフマテリアルのイオン輸送特性と電池応用に関する研究」にて文部科学大臣表彰(若手科学者賞、2020年)。
電気化学会論文賞(2020年)
高分子学会 高分子研究奨励賞(2017年)ほか。

研究者からのメッセージ

大学での基礎研究とプロダクト開発の間にあるギャップを埋める活動をしたい

工学という特性上、ものづくりの実現において企業との協業が不可欠であると感じています。大学の研究者として受け身でお付き合いするのではなく、1対1の関係で企業の方と積極的に協力関係を深められるような共同研究をしたいと考えています。