国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が実施する、官民による若手研究者発掘支援事業(以下、若サポ)は、大学等の若手研究者と企業との共同研究の形成を支援することにより、次世代のイノベーションを担う人材の育成と新産業の創出を目指しています。
本コラムでは、産学連携に関心を持ちながらも、なかなか一歩を踏み出せない若手研究者の皆様に向けて、「若サポ」を活用して共同研究を始めるためのヒントをお届けします。
産学連携への第一歩として、「若サポ」を利用してみませんか?
「いつか自分の研究を社会に役立てたい」「企業と共同研究をしてみたい」
そう思いつつも、いざ産学連携に挑戦しようとすると、こんな不安や疑問が頭をよぎることはありませんか?
- 「社会実装のイメージが固まらない…」
- 「自分の研究シーズを必要とする企業とどう出会えばいいのか分からない…」
- 「企業との交渉をスムーズに進められるか不安がある…」
- 「共同研究における企業からの資金拠出が高額になる場合、研究開発のイニシアティブが取りにくくなるのでは…」
初めて産学連携に挑戦する若手研究者の皆様が抱く不安を一つひとつ解消し、安心してステップアップできるように設計されたのが、NEDOが実施する「若サポ」です。
「若サポ」がどのように皆様の挑戦をお手伝いするのか、その仕組みをご紹介しながら、よくある疑問にQ&A形式で詳しくお答えしていきます。
出会いから共同研究までを後押しする「若サポ」の仕組み
「若サポ」の最大の特徴は、企業とのマッチングから共同研究まで、研究の状況や若手研究者の要望に合わせた2つのフェーズで支援を行っている点です。
1. マッチングサポートフェーズ
若手研究者の有望な研究シーズと、企業ニーズを引き合わせるフェーズです。
支援序盤では産学連携セミナーや個別メンタリングを通じて、例えば以下のようなサポートを提供しています。
- 研究成果の社会実装に向けた「有望な用途の洗い出し」
- 企業視点で魅力が伝わる「ピッチ資料の作成」
- 協業への関心を引き出すための「プレゼンテーション手法」 など
これらの支援により、実用化への道筋をより具体的なものへと磨き上げることができます。
次に、描いた実用化への道筋をもとに、ターゲットとなる業界・企業との接点づくりを進めます。
具体的には、以下のような多面的なアプローチを事務局が主体となって実施し、企業との接点を創出します。
- 「若サポ」事業Webサイトによる、社会実装ビジョンや研究シーズの発信(※図1)
- 若手研究者の技術を活かすことができる企業の探索・企業への連携提案
- 企業と交流ができる「マッチングイベント」の開催(※図2)
上記のアプローチを通じて企業との個別面談が決まった際には、事務局メンバー(メンター)も面談に同席し、訴求点の整理やファシリテート、さらには面談後のネクストアクションなどのサポートを行います。そのため、産学連携の経験が少ない若手研究者でも企業と円滑に対話でき、共同研究に向けた具体的なステップを踏み出すことができます。
2. 共同研究フェーズ
企業との共同研究を資金面から後押しするフェーズです(※マッチングサポートフェーズを経由せず、本フェーズからの応募も可能です)。
企業から支払われる共同研究費に対し、NEDOからも同額以下(※上限あり)の予算が若手研究者に補助されます。国からも追加で資金が投入されることで、研究の体制や環境が充実し、社会実装に向けた研究開発を加速させることができます。
「本当に大丈夫?」若手研究者の皆様からよく寄せられるQ&A
「応募してみたいけれど、自分にも使える制度なのか不安」という若手研究者の方に向けて、「若サポ」の採択要件や支援内容に関するよくある疑問をQ&A形式で解説します。
【マッチングサポートフェーズ関連】
Q1. 実用化の目処が立っていない基礎研究の段階でも応募できますか?
A. 社会実装を目指す方向性があれば、基礎研究の段階でも応募いただけます。
採択において「社会実装(実用化)への意欲や大まかなビジョンがあること」は必須ですが、応募時点で具体的な計画まで決まっている必要はありません。「研究シーズでこの分野のこんな課題を解決したい」というビジョンをお持ちでしたら、採択後はメンターが伴走し、実用化に向けたサポートをします。
Q2. 企業の探索・面談の設定等は自分で行うのですか?
A. 事務局が主導し、プレゼンテーションや面談の場をセッティングします。
前述した「マッチングサポートフェーズ」の仕組みにより、事務局が若手研究者と共に連携候補の企業を探索し、企業へコンタクトを行うご支援を提供します。また、事務局が企画・運営するマッチングイベントにおいては、若手研究者が話したいイベントの参加企業との面談組成や、偶発的な出会いによる面談組成も行いますので、面談に向けた事前準備や企業とじっくり対話することに専念していただけます。
Q3. 企業との交渉や調整のやりとりが不安ですが、誰かサポートしてくれますか?
A. 事務局メンバー(メンター)が面談に同席し、交渉を全面的にサポートします。
産学連携の経験が少ない若手研究者にとって、企業の担当者と議論を進めることは高いハードルに感じられるかもしれません。「若サポ」では、事務局メンバー(メンター)が企業との個別面談の初回に同席し、企業との認識合わせがスムーズに進むよう、議論のファシリテートやサポートを行います。
また、その後の詳細な条件等に関する交渉・調整は、基本的には若手研究者と所属機関の産学連携支援担当者を中心に進めていただくことを想定していますが、ご相談いただければ個別に対応します。
【共同研究フェーズ関連】
Q4. 共同研究において、資金面で企業に頼りきりになると、研究自由度が下がるのでは?
A. 「若サポ」では、企業から支払われる共同研究費と同額以下(上限あり)の額がNEDOから補助されるため、研究のイニシアティブを保ちやすい仕組みとなっています。
「若サポ」では、企業が負担する資金に対し、NEDOからも同額以下の補助が受けられます。そのため、企業との契約のみで共同研究を進める場合に比べ、研究内容・方法(資金の使途を含む)に関する交渉においても、ご自身で裁量をもったコミュニケーションがしやすくなります。
結果として、本来目指すべき研究開発の方向性を堅持しながら、企業との共同研究を進めやすくなるといえます。
Q5. 共同研究で生まれた成果の取り扱いはどうなりますか?
A.原則として、NEDOが成果の権利や対価を求めることはありません。
「若サポ」を通じた共同研究で生まれた知的財産などの権利について、基本的にはNEDOが権利等を主張することはありません(権利の取り扱い等は、企業と大学等の当事者間で定めていただきます)。
ただし、知財権の譲渡やライセンス収入などにより収益が発生した場合には、補助金額を上限として、その収益の一部を還元(納付)していただきます。詳細については、NEDOまでご確認ください。
【その他】
Q6. 地方の大学や私立大学だと、審査で不利になることはありませんか?
A. 地域や大学の規模・種別による有利・不利は一切ありません
本事業の審査は、外部の有識者によって公平公正に実施されます。そのため、所属する研究機関の所在地や規模などの属性で評価が左右されることはありません。実際に、毎年全国のさまざまな地域から、国公立・私立大学・高専など、多様な所属機関の若手研究者の提案が採択されています。
Q7. 申請書類の作成や準備には、手間がかかりますか?
A. 提案書はコンパクトに設計されており、過度な負担はかかりません。
例えば、マッチングサポートフェーズに応募する際の「研究開発提案書」は、5ページ以内のフォーマットに設計されています。主な記入項目も、研究開発の目的・目標・優位性や計画など、これまでの研究実績をもとに準備できる内容が中心です。
Q8. 補助金に「間接経費」は含まれますか?
A. 間接経費(原則30%)も補助の対象に含まれます。
本事業では、直接経費に加えて間接経費(原則として直接経費の30%)も補助の対象となります。
Q9. 研究室の学生をプロジェクトに参加させることは可能ですか?
A. 可能です。ただし従事させる場合は、人件費の支払いが必須となります。
研究室の学生を参加させることは可能です。学生の役割に合わせて、「研究員」か「補助員」いずれかを登録し、人件費をお支払いいただきます。(※それぞれ任せられる作業範囲や、経費計上できるルールが異なります)
・ 「研究員」として登録(実験や設計などメイン業務に主体的に関わる場合)
:大学等と守秘義務を含む雇用契約を結び、契約で定めた時間単価(時給等)と、実際に従事した時間に基づいて経費を計上
・ 「補助員」として登録(データ整理や片付け、資料作成など、サポート業務に限る場合)
:アルバイトとして、実際に手伝った時間(時給換算)に応じて経費を計上
「若サポ」に挑戦してみませんか?
「産学連携」は、決して一部の研究者だけのものではありません。NEDOの「若サポ」は、社会実装を目指す若手研究者の皆様の「新しい一歩」を全力でサポートします。
「自身の研究を社会実装へ繋げる道を探りたい」
「まずは企業と対話する機会が欲しい」
そう思われた方は、ぜひ一度、NEDOの公募情報ページにて、応募要件や申請手順をご覧ください。
あなたの研究を大きく飛躍させる出会いが、ここで待っているかもしれません。
▼公募情報(2026年度)
https://www.nedo.go.jp/koubo/SM2_100001_00119.html
▼事業紹介(これまでの採択状況情報 など)
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100166.html
▼お問い合わせ
NEDO フロンティア部 産学連携推進ユニット
E-mail:wakate-contact[*]nedo.go.jp
E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。








