2023年度公募 seeds-4716 - 【九州・沖縄】 酸性pHの制約を受けにくい高機能キトサン誘導体~中性でも溶けて高い性能を示すキトサン誘導体~
  • 食品・農業
  • 素材
  • 化粧品
  • ケミカル
  • 新素材
  • 生産・加工
  • 化学
  • #製造
  • #抗菌剤
  • #キトサン
  • #カチオン性ポリマー
  • #吸着材
  • #機能性繊維
  • #スケールアップ
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

天然由来カチオン性高分子であるキトサンは中性では溶解せず、その機能も十分に発揮できません

キトサンの欠点を克服した高機能キトサン誘導体で地球環境や人々の健康に貢献する

SDGsの機運の高まりにより石油由来高分子から天然高分子やバイオプラスチックへの転換が進んでいます。この時勢を背景に、天然由来のカチオン性高分子であるキトサンの需要は、年々拡大し続けています。一方で、キトサンは、アミノ基が正に帯電することで水に溶解し、正電荷に由来する吸着性や抗菌性のような機能が発現します。つまり、キトサンの溶解と機能には酸性pHの制約があります。私たちが開発した高機能キトサン誘導体は、このキトサンの欠点を克服したキトサンの上位製品であり、吸着剤、抗菌剤、化粧品素材、医薬品添加剤、分離材料など、様々な分野での利用が期待されます。

USE CASE

最終用途例

高機能キトサン誘導体を複合化した繊維や不織布

USE CASE 01ウイルスや細菌を補足・失活させる繊維や不織布

APPLICATION

APPLICATION

高機能キトサン誘導体を水に溶かして繊維や不織布に複合化する

高機能キトサン誘導体は、中性の水に溶けるので、水に溶かして表面コートしたり、他の素材と混合したりすることで、容易に複合化できます。また、中性でも正電荷を保持するのでウイルスや細菌を補足・失活できます。

USE CASE 02高機能キトサン誘導体の成形性と吸着特性を利用した分離材料

APPLICATION

APPLICATION

中性での正電荷を利用した分離材料

高機能キトサン誘導体は、フィルムやゲル材料への成形性を有します。つまり、所望の材料に加工することで、中性での優れた吸着特性を利用した分離材料として利用することができます。

USE CASE 03高機能キトサン誘導体の加工性と機能を活用したバイオマテリアル

APPLICATION

APPLICATION

創傷被覆材、生体接着剤、医薬品添加剤など

高機能キトサン誘導体の加工適性や中性での正電荷によって発現する接着性、抗菌性、細胞膜透過性を利用した創傷被覆材、生体接着剤、医薬品添加剤の開発に利用することができる。

STRENGTHS

強み

高機能キトサン誘導体は、中性の水に溶解し、中性でも正電荷を保持できます

STRENGTHS 01

キトサンよりも優れた溶解性、吸着特性、細胞膜透過性

キトサンは酸性条件でしか溶解しませんが、高機能キトサン誘導体は水にも酸性水溶液にも溶けます。また、高機能キトサン誘導体は、強塩基性の置換基を有するので中性でも正電荷を保持することができます。よって、周囲環境の変化にあまり影響を受けません。

TECHNOLOGY

テクノロジー

水溶性グアニジル化キトサンの開発に成功しました

TECHNOLOGY 01

一段階でのグアニジル化キトサンの合成に成功しました

キトサンは、その構造的特徴であるアミノ基が正に帯電することで水への溶解性と吸着特性や抗菌性のような機能が発現します。一方で、アミノ基のpKaは6.5なので、キトサンは、中性pH領域では不溶であり、その性能も充分に発揮できていません。つまり、アミノ基のpKaに依存するCSの溶解性と機能は、酸性pHという制約を受けています。私達は、室温・開放系・一段階でキトサンからグアニジル化キトサンを合成することに成功しました。グアニジノ基のpKaは12.5なので、GCSは、中性でも正電荷を保持することができます。

TECHNOLOGY 02

グアニジル化キトサンの水溶化に成功しました

キトサンはキチンの脱アセチル化によって作られるので、一般的なキトサンには、5~20%程度脱アセチル化されなかったアセチル基が残っています。このアセチル基の量は、キトサンの物性や機能に影響を及ぼすことが知られています。私たちは、アセチル基の量を制御することで、グアニジル化キトサンが中性で水溶化することを発見しました。この水溶性グアニジル化キトサンは、正電荷が保持されるのでpH 7.4においてタンパク質との結合定数がキトサンよりも10倍以上高く、タンパク質の細胞内導入を2倍以上促進させることも明らかにしました。高機能キトサン誘導体は、この”アセチル化度を制御したグアニジル化キトサン”です。

PRESENTATION

共同研究仮説

高機能キトサン誘導体の製造・販売と利用用途の探索

共同研究仮説01

高機能キトサン誘導体の製造・販売

高機能キトサン誘導体の製造方法の改良

高機能キトサン誘導体の用途が見つかっても、製造・販売を行う企業が無ければ、社会実装は達成できません。高機能キトサン誘導体の合成には反応と精製に時間がかかる問題があります。高機能キトサン誘導体の将来的な製造・販売を見据えて、製造方法の改良やスケールアップにご協力いただける企業を探しております。

共同研究仮説02

高機能キトサン誘導体の用途探索

高機能キトサン誘導体は様々な用途への利用が期待されます

高機能キトサン誘導体はキトサンの問題点を改善したキトサンの上位製品です。よって、キトサンが使われている全ての用途に適用可能と考えております。特に、中性で溶けるキトサンが欲しい、キトサンの性能(吸着特性や抗菌性など)に満足していないなどの要望に応えることができます。

RESEARCHER

研究者

井澤浩則 宮崎大学工学部 教授
経歴

富山工業高等専門学校専攻科(2001年4月~2003年3月)を修了後、東北大学大学院工学研究科(2003年4月~2005年3月)で修士を取得しました。その後、星光PMC株式会社(2005年4月~2006年9月)での社会経験を得て、2010年3月に鹿児島大学大学院理工学研究科で博士(工学)の学位を取得しました。物質材料研究機構(2010年4月~2012年7月)での博士研究員、鳥取大学工学部での助教(2012年8月~2019年12月)、准教授(2020年1月~2022年3月)を経て現職の宮崎大学工学部に着任し、現在に至っております。専門は生体高分子を用いる新規材料の創製で、本研究シーズのようなキチン・キトサンを用いるものづくりが得意です。これまでに、キチン・キトサンに関係する研究成果で高分子学会研究奨励賞、日本キチン・キトサン学会奨励賞、Polymer Journal論文賞-日本ゼオン賞を受賞しております。詳細な研究歴は、Research map(https://researchmap.jp/hironori_izawa)などでご覧になれます。

研究者からのメッセージ

高機能キトサン誘導体の産業化にご協力いただける企業を探しております

これまでの研究人生において感動した研究は、いくつかありますが、本シーズの水溶性グアニジル化キトサンもその一つです。アセチル基の量がグアニジル化キトサンの溶解性改善に重要な要素であることをつきとめた時は、アセチル基とグアニジノ基の構造の類似性など、組み合わせの妙に感動しました。この感動を原動力にグアニジル化キトサンの実用化を本気で目指しています。そのためには、企業との協力による『製造における問題解決』と『明確な利用用途の開拓』が必要と考えています。少しでもグアニジル化キトサンの製造・販売や用途開拓に興味があればお声がけ下さい。サンプル提供などにも応じます。