2022年度公募 seeds-3551 - 【中国・四国】 ポリマー側鎖のアミノ基修飾による抗菌・抗ウイルス性を付与した高分子材料の開発
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VISION

ビジョン

耐候性・耐久性・持続性に優れた、抗菌・抗ウイルス性機能を持つ高分子材料の開発

P(M)MA・PVAの化学修飾

ポリ(メタ)アクリレート[P(M)MA]やポリビニルアルコール(PVA)は日本企業が高いシェアを誇るポリマー群です。いずれも側鎖にエステル基とヒドロキシ基を有しており、エステル交換反応に利用可能です。この側鎖に共有結合で抗菌・抗ウイルス性を示す化合物(アミノ基)を修飾する手法を開発しました。この反応に用いるTBZLは特異な選択性を示すため、無保護でアミノ基を側鎖に修飾することができます。元の高分子材料の機能、特性への影響を最小限に抑えた上で優れた抗菌・抗ウイルス性を示す高分子材料の開発につながります。

USE CASE

最終用途例

汎用高分子材料の高機能化

USE CASE 01化学選択的なエステル交換反応によりアミノ基を簡便にポリマー側鎖に修飾可能

APPLICATION

APPLICATION

樹脂としての利用だけでなく、医療機器・材料への応用を目指して

抗菌・抗ウイルス性を示すP(M)MA・PVAの合成を実現します。

STRENGTHS

強み

アミノ酸を利用した材料開発

STRENGTHS 01

循環型社会の構築に向けて

本手法では、化学選択的に反応が進行するため、アミノ基を保護する必要がありません。また、天然のアミノ酸や天然に存在するアミノアルコールを用いるため、反応基質のバリエーションが豊富であり、比較的容易、安価に原料を入手できます。反応温度が低いため熱に不安定な基質も用いることができることも利点です。

TECHNOLOGY

テクノロジー

亜鉛アート錯体TBZLを用いたエステル交換反応

TECHNOLOGY 01

化学選択的な反応を利用して

亜鉛アート錯体TBZLがカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応に対して優れた触媒作用を有すること、この特徴により温和な条件でポリマーの側鎖変換が可能であることを見出しました。側鎖の変換率は、反応基質の量、反応温度、反応時間を変えることで制御可能であり、アミノ基をポリマー側鎖に容易に修飾することができます。側鎖に第一級~第三級アミノ基を修飾することに成功し、特定のアミノ基を修飾したポリマーが抗ウイルス性を示すことを見出しました。

PRESENTATION

共同研究仮説

ポリマー側鎖のアミノ基修飾

共同研究仮説01

P(M)MAへのアミノ基修飾

看板、照明、飛散防止パネル等の改良

P(M)MAは身近に使用されており人が触れる機会も多く、アミノ基修飾による抗菌・抗ウイルス性の付与への価値が期待されます。しかし、修飾によるP(M)MAの最大の利点の一つである透明性へ影響や、成形時の加工性への影響も懸念されます。実用化に向け、企業の方々と技術的・産業的課題を解決にあたりたいです。

共同研究仮説02

PVAへのアミノ基修飾

フィルム、繊維、接着剤、サイジング剤等の改良

PVAは汎用ポリマーでありながら生体適合性を有する特異なポリマーであり、工業用途だけでなく歯科材料や手術材料等、医療用途でも利用されています。そのため、樹脂素材業界や樹脂成型加工業界だけでなく、医療機器業界やヘルスケア業界の企業との共同研究により実用化に向けて研究を進めていきたいと考えています。

RESEARCHER

研究者

押村 美幸 徳島大学大学院社会産業理工学研究部・講師
経歴

■学歴:2011年 名古屋工業大学大学院 工学研究科 未来材料創成工学専攻 博士後期課程修了(工学)
■職歴:2010年~ 徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 助教
2016年~ 徳島大学大学院 理工学研究部 助教
2017年~ 徳島大学大学院 社会産業理工学研究部 助教
2018年~ 徳島大学大学院 社会産業理工学研究部 講師
■専門:高分子合成
■HP:http://poly.chem.tokushima-u.ac.jp/

研究者からのメッセージ

歴史が深い≠十分研究が進んでいる

大学で高分子について学び、研究室配属後は環境負荷の少ない生分解性ポリマーの合成法について研究を行い、博士の学位を取得しました。現在は、天然物由来のポリマー合成や、新規医療用材料の開発を目指し研究を行っています。エステル交換反応は歴史の深い化学反応の1つですが、かなり奥深い反応であり、まだまだ改良の価値があると感じています。本研究に少しでも興味をお持ちいただきましたら、ぜひお気軽にご連絡下さい。