2021年度公募 seeds-1714 - 【中国・四国】 過酷環境で使用できるタフネスと自己修復性を両立した高分子イオン液体ゲル材料の開発
  • エレクトロニクス
  • 素材
  • ケミカル
  • 新素材
  • 化学
  • 船舶・航空
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

寒冷、高温、真空などの過酷環境で劣化せずに長期で使用できる高強度なイオンゲル材料を開発する。

高分子イオン液体ゲル材料にタフネスと自己修復性を付与し、長寿命化を実現

ソフトアクチュエータに代表されるフレキシブル電子デバイスの素子として、優れたイオン伝導性や不揮発性を有するイオンゲルが注目されています。イオンゲルは高分子の三次元架橋ネットワークにイオン液体を含むソフトマテリアル材料です。その実用化には、長期間劣化せず、繰り返しの変形に耐えうる「タフネス」や多少の傷なら自然に修復される「自己修復性」が求められます。しかし、基本的に両者の間にはトレードオフの関係があり、それらを両立して機能発現することは困難です。また、多くのイオンゲルは、親水性高分子骨格を多く含むネットワークであるため、イオン液体自体が疎水性であっても、時間経過とともに吸湿して機能低下をもたらすことが問題となっています。

本研究では、イオンゲル骨格として、ナノ材料と高分子イオン液体を複合したダブルネットワーク構造に着目し、ネットワーク構造に立脚した材料設計により、「タフネス」「自己修復性」「高イオン伝導性」「撥水性」などの有用な物性を広範な温度域で発現する新奇イオンゲルを開発します。

高分子イオン液体材料のさらなる高機能化を目指した成形加工技術の開発

イオン液体は、常温で液体かつ不揮発性を有するため、古くから有機合成用の溶剤や電池の電解質として使用されてきました。しかし、どんな温度域でも液体状態であるために材料としては扱いにくいことが多々あります。一方で、イオンゲルはイオン液体を高分子架橋体に含浸した固体状のソフトマテリアル材料ですが、様々な用途に応用することを考えると、イオンゲルを薄膜フィルムや微粒子状に成形加工する技術の構築が必要となります。

 本研究で開発する新奇イオンゲルはナノ材料を分散した前駆体液を重合するという極めてシンプルなプロセスで調製できるため、成形加工性にも優れています。例えば、スピンコート法を用いることで薄膜化や当研究室独自のマイクロ化学プロセスを用いたマイクロカプセル調製も適用可能です。本研究では、イオンゲルを薄膜状、微粒子状に成形加工する技術を確立し、それら成形加工されたイオンゲル材料の機能評価にも取り組みます。

USE CASE

最終用途例

イオンゲルはハイドロゲルが適用できない過酷環境で使えるソフトマテリアルとして注目されている

USE CASE 01空気中で乾燥せずに使用できるゲル材料の開発

APPLICATION

APPLICATION

長期で使用できるタフネスに優れたフレキシブル電子デバイス素子

本研究で開発するイオンゲル材料は、イオン液体由来の不揮発性とネットワーク構造由来のタフネス・自己修復性を有するため、長期で使用可能なフレキシブル電子デバイスや自己修復性材料としての応用が期待されます。

STRENGTHS

強み

タフネスと自己修復性を兼備した新奇イオンゲル

STRENGTHS 01

ナノ粒子由来の物理架橋ネットワークと高分子イオン液体由来の動的架橋ネットワークの導入に成功

ナノ粒子由来の物理架橋ネットワークと高分子イオン液体の動的架橋ネットワークを複合化したダブルネットワーク構造によって、力学特性に優れたタフネスと自己修復性を両立したイオンゲルを作製できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

スケールアップや成形加工が容易な材料調製プロセス

TECHNOLOGY 01

原料をイオン液体中で混ぜて重合するだけ

本研究のイオンゲルは、原料を溶媒中で混ぜて重合するだけで調製できます。そのため、比較的スケールアップが容易な材料調製プロセスです。また、スピンコート法やマイクロ化学プロセスを適用することで、薄膜や微粒子・カプセルに成形加工できます。

PRESENTATION

共同研究仮説

イオンゲルを活用した新製品やアプリケーションを一緒に創造しませんか

共同研究仮説01

「タフネス」と「自己修復性」を兼備した新たなイオンゲル材料

これまでイオンゲルは、電池の電解質や二酸化炭素分離膜、アクチュエータなどへの応用が検討されています。本研究では「タフネス」と「自己修復性」を兼備した新たなグレードのイオンゲルを開発します。既存の用途にとらわれないイオンゲル材料の新たな用途開発にも挑戦したいと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

渡邉貴一 国立大学法人岡山大学学術研究院自然科学学域応用化学専攻
経歴

2014年3月  岡山大学大学院自然科学研究科機能分子化学専攻 修了 博士(工学)

2013年4月 – 2014年3月  日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2014年4月 – 2014年12月 日本学術振興会 特別研究員(PD) 
2015年1月 – 2016年3月 東京大学 生産技術研究所 特任研究員
2016年4月 – 2021年3月 岡山大学大学院自然科学研究科応用化学専攻 助教
2021年4月 – 現在 岡山大学学術研究院自然科学学域 助教
2021年5月 – 現在 岡山大学学術研究院自然科学学域 研究准教授
2022年5月 – 2024年3月 アーヘン工科大学 客員研究員 (兼任)

研究者からのメッセージ

イオンゲルの高機能化とその新たなアプリケーションを創造したい!

空気中で乾燥しないイオンゲルにタフネスや自己修復性を付与できれば、これまでにないグレードの新たなソフトマテリアルとなります。高機能イオンゲルの開発やその新奇な用途開発をご一緒できれば幸いです。