高分子イオン液体ゲル材料にタフネスと自己修復性を付与し、長寿命化を実現
ソフトアクチュエータに代表されるフレキシブル電子デバイスの素子として、優れたイオン伝導性や不揮発性を有するイオンゲルが注目されています。イオンゲルは高分子の三次元架橋ネットワークにイオン液体を含むソフトマテリアル材料です。その実用化には、長期間劣化せず、繰り返しの変形に耐えうる「タフネス」や多少の傷なら自然に修復される「自己修復性」が求められます。しかし、基本的に両者の間にはトレードオフの関係があり、それらを両立して機能発現することは困難です。また、多くのイオンゲルは、親水性高分子骨格を多く含むネットワークであるため、イオン液体自体が疎水性であっても、時間経過とともに吸湿して機能低下をもたらすことが問題となっています。
本研究では、イオンゲル骨格として、ナノ材料と高分子イオン液体を複合したダブルネットワーク構造に着目し、ネットワーク構造に立脚した材料設計により、「タフネス」「自己修復性」「高イオン伝導性」「撥水性」などの有用な物性を広範な温度域で発現する新奇イオンゲルを開発します。