若手研究者産学連携
プラットフォーム
このシーズに
問い合わせる
ビジョン
最終用途例
強み
テクノロジー
ボールミルで顆粒状の鉄粒子を偏平化する際に鉄粒子の表面を潤滑することで、偏平面に鉄の磁化容易軸(=鉄の結晶が磁化しやすい方向軸)を配向させることに成功しました。この偏平粒子を成形して鉄心を作製すると、鉄心中でも磁化容易軸が配向するため、鉄心の磁気特性が改善されます。
さらに、一般に鉄心はその内部ひずみの低減のため、再結晶熱処理を行いますが、その際に磁化容易軸の配向は大きく変化してしまいます。本研究では表面エネルギーを制御することで、再結晶に伴う磁化容易軸の配向の変化を抑制する手法を確立しています。
本研究は、鉄粒子の表面に塗布する物質を工夫することで、ボールミル処理で形成した磁化容易軸の配向が、再結晶熱処理で変わることを抑制する技術を開発しました。この表面物質の工夫を進めて、磁化容易軸の配向の変化を抑制するのみならず、より配向性を高めて、磁気特性を改善することを目指します。
熱処理温度を高めるにつれて、一次、二次、三次再結晶と、それぞれ異なる機構の再結晶現象が順番に生じます。特に三番目の三次再結晶では磁化容易軸の配向性が大変優れた組織が得られることが分かっています。しかし、三次再結晶は大変高い温度でしか誘起できず、実用化が困難です。本研究は、この課題を克服します。
共同研究仮説
モータ特性に大きな影響を与える主要部品である鉄心の性能向上を目的に、鉄心の材料となる「純鉄粉末」の磁気特性に着目し、鉄心の性能向上のために最適化された加工プロセスと熱処理の手法を研究しています。この技術の社会実装に協働して頂ける企業様との連携を期待しています。
研究設備
電界放出型走査型電子顕微鏡では金属材料表面の凹凸や組成分布を観察することができます。また、ECCIs法により、材料表面の欠陥(転位)を観察することもできます。ただし、これらの観察結果の読み取り方・判定には多くの経験と知見が必要となります。
なお、遠隔画面共有システムを用いて、遠隔での指示に対応することが可能です。
電界放出型走査型電子顕微鏡にEBSDカメラが付随しており、このカメラを用いて金属試料表面の結晶方位分布を評価することができます。ただし、これらの観察結果の読み取り方・判定には多くの経験と知見が必要となりますが、チームメンバーはそのための十分な能力と実績を持っています。
X線回折装置では,材料の構造解析を行うことができます。また、金属材料の結晶方位の配向状態も評価することが可能です。これらの観察結果の読み取り方・判定には多くの経験と知見が必要となりますが、本研究チームのメンバーは、そのための十分な能力を備えています。
イベント動画
研究者
2006-2010年 日本ガイシ株式会社 設備設計グループ所属
2010-2019年 岐阜高専 機械工学科 着任、(2013年 東工大 理工学研究科 学位取得)
2019年~九州工業大学 工学研究院 准教授 (現職)
「ランダムキューブ組織を有する偏平圧粉コアの創出とその磁気特性」にて2016年平成28年優秀論文発表賞)
2000-2001年 大同特殊鋼株式会社 粉末事業部所属、2004年4月 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 博士研究員、2004-2005年 独マックスプランク鉄鋼研究所 ポスドク、2005-2009年 名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教、2009年-現在 准教授(現職)
「In-situ observation of butterfly-type martensite in Fe-30wt.%Ni alloy during tensile test using high-resolution EBSD」にて2010年澤村論文賞。