2020年度公募 seeds-0968 - 【関東】 模倣学習を用いたロボットによる高速汎用物体操作
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VISION

ビジョン

柔軟物や不定形物をも操作可能なロボットのマニピュレーション技術

人間の位置と力加減を制御する技能を模倣するAIを用いた高度な制御技術

本技術を用いれば「人間がロボットを遠隔操作してできる作業ならすべて自動化可能」であることが期待されています。初見の物体、柔軟物、多品種の物体を対象とする汎用的な物体操作は人間には容易である反面、ロボットには非常に困難であり肉体労働の完全機械化への大きな障壁となっていました。しかし、本技術では人間の遠隔操作時の技能模倣することで人と同等の物体操作技能をロボットが獲得できます。これまで人間の技能をロボットに教示する模倣学習を開発し、微細な接触面の変動に適応する力制御を内包した技能の教示や、道具を用いることでロボットの位置制御性能を上回る制御性能を実現してきました。

人間並みに速く、環境変動への対応や人間との協調も可能な物体操作技能を、数十回程度の動作教示で獲得

これまでにも数多くのロボットの自律動作制御法が提案されてきました。しかし、いずれの手法も人間並みの速度で動くことと、環境変動や人間の動作に対応することを両立することができませんでした。これに対して、我々の研究グループは、バイラテラル制御と呼ばれる操作者に触覚の再現を実現できる遠隔操作制御により、人間の運動技能データを抽出し、ロボットに転写することでこれを解決できることをあきらかにしました。遠隔操作時に触覚提示があれば人間は環境に適応するためのスキルを発揮することが可能になり、これをロボットが模倣することで人間並みの速度と適応能力を獲得できるのです。

USE CASE

最終用途例

人間にしかできなかった物体操作をロボットが代替

USE CASE 01バリ取り、研磨

APPLICATION

APPLICATION

人間の手作業を必要とする最終仕上げ加工を機械化

現在、加工機では取り除けないような細かいバリなどは手作業で取り除いています。これを自動化できます。

USE CASE 02ピッキング

APPLICATION

APPLICATION

柔軟物や不定形物の操作をハンドの変更不要で実現

食品などの柔軟物や不定形物のピッキングのためには専用のハンドやツールを用いることが多い。しかし、本技術を使うと一つのハンドで多様な物体を操作できるようになるため、特別なハードウェアが不要になります。

USE CASE 03組立作業

APPLICATION

APPLICATION

多様な物体の接触制御が必要な組み立ても容易に

組立作業では多くの部品を接触させながら制御する必要があります。これは非常に困難でこれまでは人の手作業に頼らざるを得なかったのです。本技術を用いればこれも自動化できるようになります。

STRENGTHS

強み

高速動作と適応能力を両立

STRENGTHS 01

人間並みの速度で環境の変動に適応する動作が可能

速く動くためには環境の動的な力を制御する必要があります。環境が変動するとその影響はさらに顕著になります。本技術はこのような早い力の変動に対応することができます。

STRENGTHS 02

まるで人間であるかのような動作を実現

AIを使ったロボット制御技術は広がりつつありますが、人間と比較して半分以下の速度でしか動けないものか、環境に対する適応能力が低いものばかりでした。これら2つを初めて両立し人間並みの動作に成功したのが本技術です。

TECHNOLOGY

テクノロジー

人間の遠隔操作技術を真似る模倣学習

TECHNOLOGY 01

ロボットの位置・力指令値を直接計測できるシステム

これまでにも、人間がロボットを直接手で動かして軌道を教示すれば適切な動作を教示できました。しかし、現実のロボットは理想的には制御できないため、制御の遅延により所望の動作を得られません。そこで本技術では2台のロボットを同期させる遠隔操作制御によりこれを解決しました。遠隔操作時には人間は制御が遅延する前提の技能を発揮しつつ同時に環境への適応能力も発揮します。この技能を模倣することで、制御の遅延を補償した高速動作が可能かつ、環境への適応能力を両立できるのです。

PRESENTATION

共同研究仮説

どうしても機械化できない人間の技能を機械化します

共同研究仮説01

遠隔操作時の人間の物体操作技能をロボットに模倣

ロボットが未知対象物を人間並の速度で操作できます

消しゴムを用いた字消、書字、人間との協調作業、定規を用いた描線など、簡単なデモンストレーションをしています。初見の環境や道具であっても、人間並みの速度で適応していることがわかります。

RESEARCHER

研究者

境野 翔 筑波大学システム情報系
経歴

2011 年3 月慶應義塾大学大学院理工学研究科総合デザイン工学専攻博士課程修了。2011年4 月から2019 年3 月まで、埼玉大学工学部電気電子システム工学科助教。2019 年4 月より、現職、筑波大学システム情報系准教授。2011 年、2020年電気学会産業応用部門誌論文賞受賞。2020年日本ロボット学会Advanced Robotics Excellent Paper Award受賞。博士(工学)。主としてロボティクス、モーションコントロール、ハプティクスの研究に従事。
https://mclab.iit.tsukuba.ac.jp/

研究者からのメッセージ

ロボットが肉体労働を大幅に代替します

初見の物体、柔軟物、多品種の物体を対象とする汎用的な物体操作は人間には容易である反面、ロボットには非常に困難であり肉体労働の完全機械化への大きな障壁となっています。本研究課題では人と同等の物体操作技能をロボットに獲得させることを目指します。これまで人間の技能をロボットに教示する模倣学習を開発し、微細な接触面の変動に適応する力制御を内包した技能の教示や、道具を用いることでロボットの位置制御性能を上回る制御性能を実現してきました。本技術を用いれば「人間がロボットを遠隔操作してできる作業ならすべて自動化可能」であることが期待されており、現在はこれをより高度化し、社会実装に向けて技術を磨いております。