2022年度公募 seeds-2421 - 【中部】 高効率領域拡大を実現する磁性コンポジット材を用いた可変界磁モータ
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VISION

ビジョン

広い速度・トルク領域で可変速運転されるモータの高効率領域を拡大します

可変速運転モータにおける広範囲の運転領域の高効率化を実現

電気自動車用主機モータは発進・坂路走行時から高速走行時まで幅広い運転範囲で駆動されます。家電用モータも同様で、洗濯機は洗い・すすぎと脱水、エアコンは様々な温度条件で最適な冷暖房能力を発揮するために、低速回転から高速回転までの幅広い領域の可変速運転が求められています。しかし、一般的なモータは高効率で運転可能な領域が限られており、このように広範囲で可変速運転するモータの高効率化は困難です。本研究の可変界磁モータでは幅広い領域の高効率運転の実現を目指します。

USE CASE

最終用途例

幅広い運転領域で駆動されるモータの効率を改善

USE CASE 01電気自動車用主機モータや家電用モータ(洗濯機、エアコンなど)の効率を改善

APPLICATION

APPLICATION

電気自動車用主機モータ、家電用モータ

電気自動車用主機モータやエアコン・洗濯機などの家電モータは幅広い運転範囲で駆動されます。低速回転から高速回転までの幅広い運転が求められているモータの効率を改善します。

STRENGTHS

強み

モータ回転子のフラックスバリアに磁性コンポジット材を挿入するのみで効率を改善可能

STRENGTHS 01

高効率領域拡大と高強度化を同時に実現します。

可変界磁の実現には構成が複雑化しやすいという課題があります。本技術は、磁気特性の調整が可能で高強度な磁性コンポジットをモータ回転子に挿入するのみで可変界磁を実現します。解析では、従来の埋込磁石モータに比べて高効率範囲(96%以上)が3倍以上拡大可能し、強度も2倍近く向上することを確認しました。

TECHNOLOGY

テクノロジー

磁性コンポジット材の飽和磁束密度・透磁率の低さを逆に利用することで高効率領域を拡大

TECHNOLOGY 01

可変界磁と空間高調波抑制の効果で高効率領域を拡大

本技術は、磁性コンポジット材の磁気飽和を活用して可変界磁を実現しています。モータ用鉄心として通常使用される電磁鋼板は、トルクを大きくするために磁気飽和を回避する必要があり、高い飽和磁束密度・比透磁率が要求されています。一方、本提案は、飽和磁束密度1T以下の磁性コンポジット材の特性を有効に利用し、磁気飽和を積極的に発生させて可変界磁効果を高めることで銅損を40%低減します。また、磁性コンポジット材の透磁率の低さにより空間高調波が抑制され、高速回転時の鉄損を50%低減します。本研究成果は、電気学会産業応用部門 優秀論文発表賞を受賞しました。

PRESENTATION

共同研究仮説

磁性コンポジット材の特徴を最大限活かした可変磁束モータの高効率化

共同研究仮説01

磁性コンポジット材の成型方法と挿入位置の検討

磁性コンポジット材の寸法精度向上

希望先:モータ製造業あるいは磁性材料製造業の皆様
高硬度の磁性コンポジット材は切削加工時の寸法精度が低下しやすく、モータの可変界磁特性に大きく影響してしまいます。モータ設計・製作工程を考慮しながら、磁性コンポジット材成型時の磁気特性・寸法精度向上に関する課題解決に取り組めればと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

佐藤 光秀 国立大学法人信州大学
学術研究院工学系(助教)

経歴

2011年3月 東北大学大学院応用物理学専攻博士前期課程修了。同年4月 株式会社東芝入社、高速鉄道用電機品の開発設計およびシステムエンジニアリング業務に従事。2015年4月 長野県工科短期大学校 講師・主任を経て、2019年4月 信州大学学術研究院工学系助教に着任、現在に至る。博士(工学)(信州大学)。高効率モータ、リニア発電、エネルギー変換に関する研究に従事。
■研究室ホームページ:https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/engineering/chair/mizunosato/index.html

研究者からのメッセージ

可変速モータのイノベーションを図り、脱炭素化社会への貢献を目指します!

本技術はモータ設計と磁性コンポジット材の磁気特性の最適化により、さらなる高効率範囲拡大のポテンシャルを秘めています。実用化に向けて企業の皆様の知見をいただけますと幸いです。