2026年度掲載 seeds-009-0024 - 【東北】 高温廃熱を電力に変えるTPVを用いた小型発電技術
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

これまで使えなかった高温廃熱を、使える電力へ

小型・分散型の熱源にも設置できる新しい廃熱発電

鉄鋼、化学、窯業などの製造現場には、800~1000℃級の高温設備や製品から、利用されずに放出される熱があります。特に連続鋳造材の搬送部や小型工業炉などでは、従来の大規模な排熱回収設備を設置しにくいことが課題です。本研究は、熱源から出る赤外線(熱ふく射)を太陽電池で電力に変える熱光起電力発電(TPV)により、熱源近傍に後付けできる小型発電モジュールの実現を目指します。不要な熱の吸収を抑えて冷却設備を簡素化し、工場内の機器や補助電源などで未利用熱を活用する社会を目指します。

USE CASE

最終用途例

工業炉や高温製造ラインの「捨てている熱」を回収

USE CASE 01連続鋳造・熱間搬送ラインにおける熱ふく射を回収

APPLICATION

APPLICATION

赤熱した鋼材の近傍に後付け設置し発電

連続鋳造後の鋼材や高温スラブが移動・待機する区間に小型モジュールを非接触で設置し、放射される熱を電力として回収することを想定しています。

MARKET

MARKET

鉄鋼製造の省エネルギー化

鉄鋼メーカーの連続鋳造・熱間搬送ラインが対象です。既設の排ガス回収設備では利用しにくい、高温製品表面からの放射熱が主な検討対象となります。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

所内電力の一部として活用

得られた電力を温度・設備状態の監視センサや補助電源に利用し、工場の省エネルギーに寄与することを目指します。実際の発電量や費用対効果は実地試験で確認します。

USE CASE 02小型工業炉の廃熱部・炉壁から電力を回収

APPLICATION

APPLICATION

熱回収が困難な小型・分散した工業炉の廃熱有効利用を可能に

800℃以上で稼働する小型工業炉の廃熱部近傍に発電モジュールを設け、従来は回収できなかった熱の電力利用を実現します。

MARKET

MARKET

熱処理・鍛造などの中小規模製造現場

大規模な蒸気・廃熱回収設備の導入が難しい小型炉を対象に改造を最小限に抑えたい事業者の省エネルギー需要を想定します。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

排熱回収設備の導入余地を拡大

熱需要先を新設せず現場で直接電力を使える構成を目指します。設置余地や許容冷却条件を調べ、経済性と保守性に合う後付けモジュールを検討します。

STRENGTHS

強み

非接触・後付け型の発電と、不要な熱を吸収しない光学設計により熱を有効活用

STRENGTHS 01

発電部が高温熱環境と非接触で発電できる

高温熱源から放出される赤外線を受けて発電するため、熱源に発電素子を直接取り付ける必要がありません。可動部を持たない小型モジュール構成を目指し、従来の回収設備が設けにくい場所への後付けを検討できます。

STRENGTHS 02

発電に使えない赤外線を反射

太陽電池で発電に使えない波長の熱ふく射を反射して熱源側へ戻し、セルの温度上昇と冷却負荷を抑えます。太陽電池セルでは感度波長外反射率70%台の成果を基に、高反射化と簡素な冷却の両立を目指します。

STRENGTHS 03

低コストSiセルと放射制御を統合

大量生産技術が確立したSi太陽電池を活用し、エミッタの波長選択性、セル反射率、放射輸送、冷却を一体で設計します。材料単体の性能ではなく、製造・設置・保守を含むモジュール全体で実用性を追求します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

高反射太陽電池セルと波長選択エミッタによる高温廃熱TPV

TECHNOLOGY 01

不要な熱ふく射を吸収しにくい太陽電池

熱光起電力発電(TPV)は、高温物体が放つ熱ふく射を太陽電池で直接電力に変換する技術です。800~1000℃の熱源では、太陽電池セルが発電に利用できない長波長の赤外線が多く含まれます。これをセルで吸収すると発電に寄与しない熱となり、冷却負荷が増えます。本研究では太陽電池セルを工夫し、不要な熱ふく射を熱源側へ戻す光リサイクルを利用します。感度波長外反射率70%台の研究成果を踏まえ、1000℃の熱ふく射に対する全反射率80%以上を目標とします。セル温度と発電特性を併せて評価し、一般的な水冷条件で動作するための設計指針を明らかにします。

TECHNOLOGY 02

1000℃級でも使える波長選択熱放射技術

発電に有効な波長を選択的に放射し、不要な長波長の熱ふく射を減らすエミッタを開発します。これまでに、金属と酸化物からなる薄膜積層構造で、感度波長外の放射率を20%以下に抑え、真空中1150℃での安定性を確認しています。一方、工業炉などの実環境での耐久性は未解決であり、この環境で使用可能な技術へと発展させます。高反射太陽電池セルと組み合わせて熱負荷低減効果を実証し、モジュール化に向けた条件を整理します。

PRESENTATION

共同研究仮説

高温設備の導入企業・太陽電池メーカー・耐熱部材メーカーと共同開発

PRESENTATION 01

応用が想定される高温製造プロセスでの適用性検証

導入可能な工程と仕様の共同検討

鉄鋼・化学・窯業などの高温プロセス企業と、熱源温度、設置空間、冷却条件、運転・保守制約を整理し、候補設備を選定したいと考えています。大学側は発電・熱収支設計を行い、企業側の実設備情報を基に小型試作モジュールの現場試験計画を作成します。

PRESENTATION 02

高反射太陽電池セルの製造技術

既存の太陽電池製造プロセスをベースに高反射セルの量産性を示す

太陽電池・半導体関連企業と、高反射太陽電池製造プロセスの量産性を示したいと考えています。大学側は光学・発電・温度特性を評価し、企業側と製造プロセスやコストの制約をすり合わせ、高反射性能と量産性を両立するセルを目指します。

RESEARCHER

研究者

清水 信東北大学 大学院工学研究科 准教授
経歴

2013年東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、東北大学大学院工学研究科助教に着任し、2021年より同研究科准教授。
熱輻射の波動性に基づく制御技術を基盤として、熱光起電力発電(TPV)による太陽熱や産業排熱の高効率電力変換に関する研究に従事。
特に、高温エミッタの開発、TPVセルの高効率化や冷却技術、システム設計など、要素技術からシステムまで幅広く研究を進めている。
2023年にこれらの研究に対し、文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。

研究者からのメッセージ

これまで使えなかった高温廃熱を有用なエネルギー源に変えることで脱炭素に貢献

製造現場には、非常に高温でありながら設備条件や熱の発生場所の制約から、回収が難しい熱が数多く残されています。私たちは、熱ふく射を太陽電池で直接電力に変えるTPVを、現場の制約に合わせて導入できる技術に育てたいと考えています。特に、冷却の負担を小さくし、既設設備の近くに後付けできることを重視しています。現段階では最適な導入設備、必要出力、コスト条件を企業の皆さまと一緒に明確にすることが重要です。高温プロセスを持つ企業、太陽電池・半導体関連企業、耐熱薄膜・熱設計・装置開発に携わる企業の皆さまと、現場ニーズの共有から試作・実地試験まで幅広く議論できれば幸いです。