2026年度掲載 seeds-102-0001 - 【関東】 薄膜成長技術が拓く、熱電発電・ペルチェ冷却と赤外センサ
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

熱と光を電気に変える薄膜材料で、省エネ社会を支える

薄膜成長技術で、発電・冷却・センシング

IoTセンサやAI機器の普及に伴い、電源の自立化、機器の熱管理、光センシングへの要求が同時に高まっています。安価で毒性の低い元素からなる材料(Zintl相Mg3(Sb,Bi)2など)に着目し、分子線エピタキシー法による高品質薄膜化技術を確立してきました。室温付近での熱電発電・ペルチェ冷却と短波長赤外光の受光素子などに用いることができます。Si基板上へのエピタキシャル成長も行っており、成熟したSiプロセスを活かした集積化が可能です。希少・有害元素に依存しない持続可能な熱・光デバイス基盤の確立を目指します。

USE CASE

最終用途例

熱電発電・ペルチェ冷却・赤外センシングという3つの出口

USE CASE 01IoT・ウェアラブル機器の自立電源(薄膜熱電発電)

APPLICATION

APPLICATION

体温や排熱を利用した発電

室温付近で高い出力因子を示す薄膜を作製し、わずかな温度差から電力を取り出します。薄く軽い膜のため曲面や微小部品にも搭載でき、電池交換や配線が不要な自立電源を実現します。

USE CASE 02半導体・光デバイスの局所ペルチェ冷却

APPLICATION

APPLICATION

発熱点をピンポイントで冷やす

熱電材料は冷却素子としても働きます。薄膜化により素子を微細化でき、チップ上のホットスポットや光デバイスの受光部だけを狙って温度制御できます。

USE CASE 03Si集積型の短波長赤外(SWIR)受光素子

APPLICATION

APPLICATION

アイセーフ波長を捉える受光素子

Si上に半導体薄膜をエピタキシャル成長し、赤外フォトダイオードを作製できます。これにより農業・ヘルスケア・インフラ監視などへの応用が期待できます。

STRENGTHS

強み

Te・Pbフリー材料を、単結晶級の薄膜品質で使いこなす

STRENGTHS 01

高い薄膜熱電出力因子

サファイア基板の表面を平坦に処理することで、バッファ層なしでMg3Sb2単結晶薄膜をエピタキシャル成長させることができました。これにより、高いキャリア移動度により従来報告値の約3倍の熱電出力因子を達成しました。その他の材料においても適用可能な技術です。

STRENGTHS 02

高熱電性能と大気安定性の両立

Mg3Bi2は大気中での分解が課題でした。アモルファスSiキャップ層と平坦なエピ構造の組み合わせにより分解を抑え、高い熱電出力を安定的に得ることができています。また、大気下で分解するメカニズムについても第一原理計算と組み合わせて解明しています。

STRENGTHS 03

Te・Pbフリーで調達・規制リスクに強い

主構成元素がBi2Te3系やPbTe系のような希少・有害元素に依存しません。材料調達の地政学リスクや環境規制対応の面でメリットをもたらします。

TECHNOLOGY

テクノロジー

分子線エピタキシーによる高品質成長と界面・歪み制御

TECHNOLOGY 01

高品質薄膜による高熱電性能

超平坦化したc面Al2O3基板を用いることで、パッシブ層や多結晶界面を介さずにMg3SbBiをc軸配向で直接エピタキシャル成長させました。キャリア散乱源となる界面や欠陥を減らし、高移動度化を実現しました。透過電子顕微鏡とX線回折による構造解析、ならびにホール測定・熱電特性測定によって、膜質と輸送特性の相関を定量的に示しています。また、第一原理計算や電子輸送計算を行うことで、薄膜中の電子輸送を明らかにすることができます。

PRESENTATION

共同研究仮説

材料からデバイスまで、企業と一緒に社会実装まで進めたい

PRESENTATION 01

フレキシブル熱電モジュールの共同開発

薄膜プロセスとモジュール実装の橋渡し

研究室が担う高品質薄膜成長と特性評価に対し、企業側の実装・信頼性評価技術を組み合わせ、曲面に適用可能な薄膜熱電モジュール試作を目指します。電子部品、センサ、ウェアラブル機器メーカーとの連携を想定しています。

PRESENTATION 02

マイクロペルチェ素子による局所冷却実証

実機の発熱課題に合わせた素子設計

実機における発熱分布や冷却要求を前提に、小型ペルチェ素子の構造設計と実証を進めます。半導体・パワーエレクトロニクス、光通信、データセンタ関連企業との共同研究を想定しています。

PRESENTATION 03

SWIR受光素子・赤外イメージャの試作

Si集積アイセーフ赤外センサの実用化

用途に応じた検出波長を提案し、読み出し回路との集積を含めた素子試作へ展開します。車載センサ、産業用計測機器、光学機器メーカーとの共同研究を歓迎します。

LABORATORY

研究設備

薄膜成長から素子の光・電気評価まで一貫対応

LABORATORY 01

分子線エピタキシー(MBE)装置

Mg・Sb・Bi・Siの各セルを備え、基板温度とフラックス比を精密制御した高品質エピタキシャル薄膜成長が可能です。

LABORATORY 02

構造・組成解析および熱電特性評価系

X線回折による極点図・歪み解析、電子顕微鏡観察に加え、熱電特性評価・ホール効果の温度依存測定により、膜質と輸送特性を対応付けて評価します。

LABORATORY 03

光応答・分光感度測定システム

p-n接合素子の電流電圧特性、分光感度スペクトル、入射光強度依存性を測定でき、短波長赤外域における受光素子としての性能を定量的に評価できます。

RESEARCHER

研究者

坂根 駿也茨城大学 大学院理工学研究科(工学野) 電気電子システム工学領域 講師
経歴

2017年〜2020年 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2020年〜2023年 中央大学 理工学部 助教
2023年〜2026年茨城大学 大学院理工学研究科 助教
2026年~ 茨城大学大学院理工学研究科 講師
2026年~ 「大学× 国研×企業連携によるトップランナー育成プログラム」育成対象者(第6期TRiSTARフェロー)
熱電変換材料、ナノ構造、薄膜を専門とし、薄膜のエピタキシャル成長と熱電・光電特性に関する研究を推進。
受賞歴:応用物理学会講演奨励賞、電気学会 産業応用部門活動功労賞、APAC Silicide Young Scientist Awards等

  • リサーチマップ

    https://researchmap.jp/shunyasakane0911

     

  • 専門領域

    熱電変換材料
    薄膜エピタキシャル成長
    赤外受光デバイス
    ナノ構造・界面制御
    プラズモニクス

  • 共同研究の経験がある企業/業界

    分析機器メーカーおよび公的研究機関と、薄膜の構造解析・電子状態評価に関する共同研究の実績があります。半導体・電子部品、材料、センサ、自動車関連の各業界との連携を歓迎します。

研究者からのメッセージ

ありふれた元素で、熱と光の「当たり前」を変えたい

熱電材料はTeやPbといった希少・有害元素が主に用いられます。私たちは、Mg・Si・Sb・Biという比較的ありふれた元素の組み合わせで、室温付近の発電と冷却、さらに赤外光の検出まで実現できることを示してきました。研究室で得られた高品質薄膜の知見は、企業の実装技術と組み合わさって初めて社会の役に立ちます。材料設計から素子試作まで、一緒に手を動かして形にしていきたいと考えています。