2022年度公募 seeds-3137 - 【中国・四国】 エネルギー回生システム開発のためのライデンフロスト状液滴に関する研究
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VISION

ビジョン

利用しづらい250ᵒC以下程度の排熱を回生するためのシステムの開発

ライデンフロスト状液滴が駆動する理由を追求。
→ 熱-仕事エネルギー変換効率を実用化可能レベルに!

現在国内では、年間743 PJもの排熱があると推定されており、その75%(565 PJ)は250ᵒC以下と回生する術無く排出されている状況である。この捨てざるを得ない250ᵒC以下の熱の利用や回生を目的として熱電変換などの技術開発が盛んに行われています。私も自身が有する技術によって、同様のことが出来ないかと検討しました。そこで、ライデンフロスト現象を上手に利用する事によって、熱を回生する事が可能な熱機関や素子を作れるのではないかと思いつきました。

マッチングサポートフェーズ期間中:
物理メカニズムの解明と最適な熱→仕事変換媒体および構造の特定、および、低温下。
熱-仕事エネルギー変換効率1%、可能であれば3%を目指す。
共同研究フェーズ:
実際に運用される環境への適用を目的に、素子開発やシステムの構築を進め、寿命や信頼性などの評価などに関する研究を進め、熱-仕事変換効率10%以上を目指します。

USE CASE

最終用途例

排熱のエネルギー回生は食料品工業から宇宙産業まで活躍が期待される。

USE CASE 01工場やプラントから排出されるエネルギーの回生に役立て、地球環境環境の保全に貢献

APPLICATION

APPLICATION

2030年における省エネ効果は原発2~3基分相当

未利用熱の3R技術開発と熱マネージメント技術開発の2030年における市場規模は、国内:2100億円/年、世界:1.3兆円/年以上が見込まれます。

USE CASE 02活躍の場は、宇宙産業にまで及ぶ

APPLICATION

APPLICATION

その規模は今後20年間で4倍の予想 (2020年度40兆円)

近い将来他惑星や衛星などへ進出が期待される。しかしながら、地球外での燃料や光の確保は容易でなくなる。つまり地球環境から飛び出してしまえば熱が最も容易に獲得可能なエネルギー源となる。

STRENGTHS

強み

温度差を容易に確保でき、類似技術に比べ優位?!

STRENGTHS 01

気液の相変化が鍵。潜熱を有する分、温度差の確保が容易

類似技術として、熱電変換素子開発に関する研究が挙げられる。熱電変換素子や本技術を用いてエネルギー変換を達成させるためには、高温側熱源と低温側熱源の間の温度差を保つ必要がある。本技術では潜熱(液体から気体への変換に必要な熱)がある分、熱電変換素子よりも温度差を保ちやすく優位であると考えられます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

ライデンフロスト現象を活用した技術の動向とエネルギー回生システム開発の可能性

TECHNOLOGY 01

ライデンフロスト現象を利用したアプリケーションはここ最近!

加熱された鋸歯基板上の液滴挙動に関する研究は、英国Bath大学高品圭先生が行われている研究が有名である。基材表面の形状の調整と温度操作により液滴の進行方向を制御する技術や、そういった機構を利用して冷却能力を自動的に調整するシステム、所謂サーモスタットを開発されたりしている。他にも英国Northumbria大学では、ドライアイスをライデンフロスト状態にして、熱を仕事へ変換する熱機関が考案・試作されている。国内では、東京工業大学の中島章先生が、Northumbria大学同様熱機関開発として利用することを検討されており、表面構造と表面の濡れ性を変化させて高効率化を図られている。

TECHNOLOGY 02

250°C以下で水のライデンフロスト状態の維持には工夫が必要

当該技術を産業的に利用するなら、どこでも入手する事ができ安全性に優れた「水」を利用するのが適切である。しかしながら250°C以下では水はライデンフロスト状態を保つことができず崩れてしまう。つまり何も工夫すること無しに250℃以下の排熱を安定して回生することはできない。対策として液種を変更することが容易に思い浮かぶが、安全性に問題が生じる。別の対策として表面状態を変更させる術が存在する。一般に、表面の荒さや表面の構造を変える対策が検討される。我々も表面状態の変更、特に表面の粗さと表面の濡れ性を変化させることにより、200°Cでも水をライデンフロスト状態として維持する事に成功している。

PRESENTATION

共同研究仮説

素子の試作に取り組みむ事に加え、実際に現場に適応させて問題点を洗い出していただく

共同研究仮説01

生産ライン上で発生している排熱を利用するのための技術開発

研究用簡易小型システムから産業用システムへの展開

実際に排熱回生を行いたいと希望されている企業や排熱回生を事業化したいと希望されている企業様。例えば以下の様な業種。
食料品、繊維、パルプ・紙、化学、石油・石炭、窯業・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、機械、電気機械、輸送機械、ガス・熱供給、電力、清掃、宇宙開発

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

川原村 敏幸 高知工科大学(教授)
経歴

■経歴
2019(H31)年 1月 高知工科大学 システム工学群・総合研究所 教授
2014(H26)年 4月 高知工科大学 システム工学群・総合研究所 准教授
2013(H25)年 4月-8月 UCLA, Dept. Elect. Eng., DRL 客員研究員
2012(H24)年 4月 高知工科大学 ナノテクノロジー研究所 講師
2011(H23)年 4月 高知工科大学 ナノテクノロジー研究所 助教
2008(H20)年 4月 高知工科大学 ナノデバイス研究所 助教

・実力 :多岐に亘り深く修学した工学的知識、30代で教授
・社交性:広い交友関係、積極的な成果の発信、学生や助教との信頼関係
・個性 :特徴的な名字と国際的に通用する体格
研究者は、化学工学を修学し、電子工学で博士号を修得、現在は機械系の専攻に所属しており、基本的な工学知識を広く深く習得している。計画立案、装置自作、実験計測、数値計算、解析、理論式構築と、研究に係わる“全て”を行うことができる、稀代な研究者である。

http://www.nano.kochi-tech.ac.jp/tosiyuki/index.html

研究者からのメッセージ

液滴(ミスト)には無限の可能性があります。

液滴(ミスト)は、我々の身近に存在します。しかしながら人類が液滴を積極的に使い出したのはごく最近の事になります。100年程度前には液滴(ミスト)を人為的に発生されることは出来ず、雲や霧などの単なる自然現象として存在しているに過ぎませんでした。最近になってインジェクターやスプレー、圧電素子などが発明され、人為的に液滴を発生させられるようになり、動力源への燃料供給であったり、印刷したり、加湿器として利用したり、美容などに役立てたりすることができる様になってきました。ところで、ここにみられる液滴(ミスト)は全て、単純に体積に対する表面積が大きく蒸発しやすいから利用されていたり、微小領域への塗布などに必要だからという理由で利用されているだけに過ぎません。液滴にはもっともっと特徴的な性質があり、それを利用する事も可能です。我々が提案する研究は、液滴のそういった特殊な性質を積極的に利用する技術の開発です。今後100年を担う技術の一端になる可能性を秘めていますので、是非ご協力いただければ幸いです。