2026年度掲載 seeds-009-0009 - 【近畿】 Gyroid構造の3D造形熱交換器で、空調・データセンター・EVの冷却機器を小型・高性能化
  • エレクトロニクス
  • 自動車・機械
  • インフラ(資源・エネルギー)
  • 工学
  • 機械工学
  • カーボンニュートラル
  • 省エネ・再生可能エネルギー
  • 3Dプリンティング
  • 航空・宇宙産業
  • #熱交換器
  • #冷却
  • #熱マネジメント
  • #ヒートポンプ

研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

熱交換器の高性能化・小型化を実現し、熱マネジメントの高度化を実現する

これまでにない3次元複雑流路形状を熱交換器へ適用し、熱交換性能を飛躍的に向上させる

本研究では、三重周期極小曲面(TPMS)のひとつであるGyroid(ジャイロイド)構造を熱交換器の流路へ適用し、体積当たりの熱交換性能を飛躍的に向上させます。Gyroid構造は、体積当たりの伝熱面積が従来の熱交換器と比べ大きく確保でき、排熱システムや熱回収システム、ヒートポンプサイクルに用いられる熱交換器の小型化が実現できます。

USE CASE

最終用途例

冷凍空調からデータセンター、EVまで、熱を扱う機器の小型化・省エネに貢献

USE CASE 01データセンターのサーバー冷却を高効率化し、AI時代の電力課題に貢献

APPLICATION

APPLICATION

液冷用コンパクト熱交換器

データセンター液冷・産業用冷却分野:AIサーバー、CDU、液冷システム、産業機器向けのコンパクト液-液熱交換器への適用を想定する。

MARKET

MARKET

データセンター・産業冷却市場

生成AIの普及によりサーバーの発熱密度が急増し、空冷から液冷への移行が進んでいる。限られた設置スペースで大きな熱量を処理できる熱交換器が求められている。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

冷却電力の削減と高密度実装

冷却システムの小型・高効率化により、データセンターの冷却電力を削減し、サーバーの高密度実装と運用コストの低減に貢献する。

USE CASE 02ヒートポンプ・冷凍機の熱交換器を小型・高効率化し、省エネに貢献

APPLICATION

APPLICATION

ヒートポンプ・冷凍機

Gyroid構造の熱交換器を冷媒-水熱交換器、蒸発器、凝縮器、小型ヒートポンプへ適用する可能性がある。

MARKET

MARKET

空調・給湯・冷凍機市場

脱炭素化に向けてヒートポンプの普及が進む中、低GWP冷媒への転換や冷媒量の削減に対応できる、小型で高性能な熱交換器への需要が高まっている。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

機器の小型化と省エネルギー化

熱交換器の小型化により、室外機や給湯機などの機器サイズや冷媒充填量を削減しつつ、効率向上による消費電力の低減が期待できる。

USE CASE 03EV・パワーエレクトロニクスの冷却器を小型軽量化し、電動化を支える

APPLICATION

APPLICATION

液冷プレート・小型冷却器

Gyroid構造の流路を液冷プレートや小型冷却器に適用し、バッテリーやパワーモジュールを均一かつ効率よく冷却する。

MARKET

MARKET

車載・電装・パワーエレクトロニクス関連

EV、車載電装品、インバータ、バッテリー周辺では、限られた搭載空間で高い熱流束を除去する冷却技術が求められており、小型で高性能な冷却器への需要が高い。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

航続距離の延長と部品の長寿命化

冷却器の小型軽量化により車両の軽量化や航続距離の延長に寄与し、温度ムラの抑制によってバッテリーや電子部品の長寿命化が期待できる。

STRENGTHS

強み

三次元連続曲面と高い設計自由度により、伝熱性能と圧力損失を用途に応じて最適化可能

STRENGTHS 01

高い設計自由度

金属3D造形により、従来加工では困難な三次元連続流路を一体形成
流路寸法・空隙率などを用途に応じて最適化可能

STRENGTHS 02

高伝熱・低圧損の両立

単位体積あたりの伝熱面積がプレート式の約3倍
Gyroidの連続曲面を活用し、伝熱促進と圧力損失低減を両立
同一体積での熱交換器の小型・高性能化が期待できる

STRENGTHS 03

二相流まで含めた設計技術

単相流だけでなく、沸騰・二相流の熱伝達・圧力損失を評価
冷媒蒸発器など、実用的な熱交換器への展開が可能

TECHNOLOGY

テクノロジー

設計から評価までの一貫開発により、Gyroid熱交換器の高い性能を実証

TECHNOLOGY 01

同体積でプレート式の最大2.9倍の熱交換量を実現

当研究室では、Gyroid構造熱交換器の流路設計、CFD解析、金属3D造形による試作、性能評価試験までを一貫して実施しています。水-水熱交換試験では、同じ体積のプレート式熱交換器と比べて最大2.9倍の熱交換量を確認しました。さらに、試験データを予測モデルに反映することで、試作前に設計候補を絞り込み、用途に応じた最適な仕様を効率よく検討できます。

TECHNOLOGY 02

冷媒の蒸発・二相流特性の評価

冷媒を用いた蒸発試験により、Gyroid構造熱交換器内部の沸騰・二相流における熱伝達特性と圧力損失特性を評価しています。単相流だけでなく二相流まで含めた設計データを蓄積することで、冷媒蒸発器や凝縮器など、空調・冷凍機器で実際に使われる熱交換器への展開を見据えた設計検討が可能です。低GWP冷媒への対応も視野に入れています。

PRESENTATION

共同研究仮説

企業の製品・用途に合わせたGyroid熱交換器を共同で設計・評価し、実用化を目指す

PRESENTATION 01

冷媒蒸発器・凝縮器への適用検討と、省エネ効果の共同評価

空調・冷凍機業界

空調・冷凍機メーカーと連携し、Gyroid構造を冷媒蒸発器・凝縮器へ適用します。当研究室が流路設計と性能評価を、企業が実機条件の提示と機器への組込み評価を担い、省エネ効果を共同で検証します。

PRESENTATION 02

高熱流束サーバー向け液冷式冷却器の設計検討とPoC試作

データセンター関連インフラ業界

データセンター関連企業と連携し、高熱流束サーバー向けの液冷式冷却器を設計します。当研究室が流路設計・CFD解析・試作評価を、企業が実使用条件の提示とPoC評価を担い、実装に向けた検証を進めます。

PRESENTATION 03

バッテリー・パワー半導体冷却向け小型軽量熱交換器の共同開発

EV・航空宇宙業界

自動車・航空宇宙関連企業と連携し、バッテリーやパワー半導体向けの小型軽量な熱交換器を共同開発します。当研究室が設計と性能評価を、企業が搭載条件の提示と実機評価を担い、実用化を目指します。

LABORATORY

研究設備

熱交換器の設計・解析・試作評価を一貫して行える研究環境

LABORATORY 01

熱交換性能評価試験装置

水-水熱交換試験などにより、熱交換器の熱交換量と圧力損失を計測できる試験装置です。試作した熱交換器の性能を定量的に評価できます。

LABORATORY 02

冷媒蒸発・二相流試験装置

冷媒を循環させ、熱交換器内の蒸発熱伝達や二相流の圧力損失を評価できる試験装置です。空調・冷凍機器に近い条件での評価が可能です。

RESEARCHER

研究者

廣川 智己兵庫県立大学 大学院工学専攻機械工学分野 助教
経歴

2012年九州大学工学部機械航空工学科卒業。2016年九州大学大学院工学府航空宇宙工学専攻博士後期課程修了、博士(工学)。2016年ダイキン工業株式会社に入社。2022年より兵庫県立大学大学院工学研究科機械工学専攻助教。熱交換器や沸騰・二相流の熱流動特性に関する研究に取り組む。2024年マツダ研究助成奨励賞受賞。

研究者からのメッセージ

熱交換器の進化で、エネルギーを無駄なく使える社会をつくりたい

私たちが消費する熱エネルギーのうち、有効に利用できているのは約4割にすぎません。残りの熱を回収・活用するカギとなるのが熱交換器です。私は空調機器メーカーでの勤務経験を活かし、Gyroid構造という新しい形状と金属3D造形を組み合わせて、熱交換器の小型化・高性能化に取り組んでいます。空調・冷凍、データセンター、EVなど、熱の課題を抱える企業の皆さまと一緒に、実際の製品に使える技術へと育てていきたいと考えています。お気軽にご相談ください。