2022年度公募 seeds-2362 - 【九州・沖縄】 原子ダイナミクス計算と熱流体解析を活用した凝固プロセスの設計 〜革新的軽金属材料の開発〜
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VISION

ビジョン

破壊靱性などの巨視的特性を支配する材料組織形成メカニズムの解明

第一原理計算と熱流体計算、および実験の連携による革新的軽金属材料の開発

マグネシウム(Mg)の比重は鉄の約1/3、アルミニウム(Al)の約2/3と実用金属の中でも最も軽い。そのため、次世代軽量構造材料として輸送用機器部材への適用が期待されています。2001年に熊本大学で開発されたMg-Zn-Y系合金は、展伸加工することによって、延性を確保しながら、機械的強度が著しく向上するため、現在世界的に研究が行われています。一方で、Mg合金を航空機や鉄道車両の部材として使用するには、機械的強度だけでなく安全性、信頼性を確保する破壊靱性も極めて重要な材料特性であり、その改善が産業界から強く求められています。

USE CASE

最終用途例

マグネシウム合金の航空機や新幹線車両の部材としての実用化を目指しています。

USE CASE 01合金組成を反映させた実材料の凝固シミュレーションの実現

APPLICATION

APPLICATION

熱流体解析を用いた急冷Mg薄帯の組織形成メカニズムを解明

急冷薄帯の局所的な冷却速度、熱勾配の測定は実験的にはほぼ不可能であるため、熱流体数値解析を実施し、定量的に得られた冷却速度や温度分布をもとに、急冷凝固薄帯の組織形成機構について検討を進めています。

STRENGTHS

強み

合金組成や化学結合を反映させた実材料の凝固シミュレーションの実現

STRENGTHS 01

物性を反映したより適切な凝固プロセス設計探査に応用できます。

鋳造やダイカストといった凝固プロセスシミュレーションを行う際にも、溶融金属や過冷却液体の粘度や密度、定積比熱の情報は必須ですが、データがないために仮想的な値を入力して対応している場合が多いと予想されます。金属の高温物性値や得られた知見を社会•産業への提示することで、効率的な材料開発に貢献します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

量子力学に立脚して化学結合や短距離秩序を考慮して粘性等の物性値を決定できます。

TECHNOLOGY 01

MD計算結果の解析や機械学習ポテンシャルの開発を支援します。

【招待講演】 西本宗矢、圓谷貴夫、河村能人 「Mg-Zn-Y合金急冷薄帯の組織に及ぼすロール周速の影響と凝固プロセスの数値解析」, FLOW-3D Japan Users Conference 2022.
【論文】
T. Tsumuraya, H. Momida, and T. Oguchi, Appl. Phys. Exp. 15, 075506 (2022).
Y. Takeshita, K. Shimamura, S. Fukushima, A. Koura, and F. Shimojo, J. Physics. Chem. Solids. 163, 110580 (2022).

PRESENTATION

共同研究仮説

物性値を決定することに留まらず、粘性が生じる物理的な起源を原子レベルから解明を目指します。

共同研究仮説01

計算結果の解析や原子間ポテンシャルの開発を支援します。

実際に材料を作製し、特性の改善に取り組むことが可能です。

熊本大学先進マグネシウム国際研究センターの装置を用いることで、計算材料設計で得た知見をもとに実材料を作製し、実際に材料特性の改善に取り組むことが可能です。自社製品の凝固プロセスシミュレーションを行なっている企業、サッシ等の建築資材や競技用自転車開発に取り組んでいる企業を想定しています。

 

 

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

圓谷 貴夫 熊本大学 先進マグネシウム国際研究センター 准教授
経歴

2009年  広島大学 大学院先端物質科学研究科量子物質科学専攻修了

博士(理学)
2009年   日本学術振興会 特別研究員(DC2からPDへ資格変更)
2009ー2011年 米国ノースウェスタン大学 物理学科 A. Freeman研究室

博士研究員
2011ー2015年 理化学研究所 加藤分子物性研究室 特別研究員
2015ー2017年 物質・材料研究機構 若手国際研究センター(ICYS) 研究員
2017年   平成29年度 文部科学省 卓越研究員
2018ー2022年  熊本大学 大学院先導機構/先進マグネシウム国際研究センター助教
2023年-  熊本大学 先進マグネシウム国際研究センター 准教授

https://researchmap.jp/tsumu

研究者からのメッセージ

第一原理計算に基づく物質・材料研究

物質・材料研究は予期せぬことが多く、単純な内挿や外挿で新たな材料特性を予測することは困難です。そのため、次の一手のためにはからくりを知る必要があると考えています。本研究で用いる密度汎関数理論に基づく第一原理計算手法は汎用的で、非経験的な計算手法です。研究対象とする物質や性質に研究手法が依存せず、多様な材料系を扱うことができます。研究代表者はこれまで, 第一原理計算を主たるアプローチとして、分子性固体の示す多様な磁気秩序と電子状態, 鉄水素化物の圧力誘起相転移といった基礎科学的研究課題と実用材料の基礎研究(水素貯蔵材料, 有機太陽電池, インバー合金等)の両方を取り組んだ経験があり, 多様な物質に関する幅広い知識を有しています. その研究過程では, 実験系研究者との議論を常に心がけ, 現象の説明に留まらず, 物質・材料開発に従事する者にとって新たな知見を得てきました。これらの経験を本事業の共同研究に生かしていきたいと考えています。