2022年度公募 seeds-3128 - 【近畿】 過酷環境下運用に向けた非破壊レーザー誘起振動波診断技術の開発
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VISION

ビジョン

成熟した検査工程にレーザー技術を導入し、高速・遠隔・定量的な非破壊計測手法の開発に貢献

オール光ファイバー化の実現により、人が立ち入れない過酷環境下での運用に挑戦

本プロジェクトではこれまでの技術基盤を活かし、全ての計測系を長尺光ファイバーに置換します。ファイバー化より、レーザー光が伝搬する空間の気流や温度、雰囲気ガスに依らない計測を実証していきます。そして、長尺化することにより、例えばロボットに搭載するなど人が立ち入れない領域への近接アプローチを目指します。本技術は成熟した打音検査や触診検査をレーザー光に一部置換する発想で、システム動作の停止、危険な作業、検査頻度の長期化といった課題へのスムーズな現場導入に貢献します。

USE CASE

最終用途例

様々な領域にあわせたレーザー技術を活用する打音検査・触診検査を展開

USE CASE 01臨床試験機の開発による医療分野への適応

APPLICATION

APPLICATION

整形外科インプラントの打音検査を実証・実現

人工関節などを術中に打音検査により設置強度評価したいという医師のニーズとマッチングし、医療応用に向けたプロジェクトを実施しています。現在、専用プロトタイプ機を開発し、小規模な臨床研究を実施中です。

USE CASE 02微小試料に合わせた半導体分野への適応

APPLICATION

APPLICATION

半導体チップの新奇検査技術開発を推進

本手法を用いることで、半導体領域での課題に挑戦しています。微細な試料に対応するよう、また連携する企業ニーズにマッチした機器開発を行っています。

STRENGTHS

強み

過酷環境下を想定した定量・高速・遠隔な従来にない非破壊検査を実現し、より多角的な領域展開に貢献

STRENGTHS 01

振動に加え、硬度・光吸収・熱物性の計測項目拡充も視野

打音検査・触診検査をレーザー技術により定量・高速・遠隔化している従来手法に加え、低パワーレーザーによる非破壊検査が実現しています。さらに、従来の振動計測だけでなく、評価試料の光吸収で生じる熱的な振動が計測原理となるため、硬度や、光吸収m熱物性の計測も視野に、計測項目の拡充も視野に入ります。

TECHNOLOGY

テクノロジー

共振効果を利用した低パワーレーザーによる振動計測の実現

TECHNOLOGY 01

掃引加振方式によるレーザーポインター数本程度の出力で計測実証

本研究の手法では、直径50 mm・厚さ1 mmの金属円板をレーザーポインター (出力約1 mW) 数本のパワーで振動が計測できることを実証しています。この手法は論文発表 [1,2]、特許出願 [3] しており、また振動データの機械学習による解析も実施しています [4]。[1] K. Mikami et al., J. NDE 40 (2021) 12. [2] K. Mikami et al., Sensors 22 (2022) 5025. [3] 設置強度測定装置 PCT/2021/014198. [4] K. Mikami et al., 21 (2021) 7553.

PRESENTATION

共同研究仮説

ニーズに即したレーザー計測技術の実証および専用装置開発の検討

共同研究仮説01

既存ノウハウに基づく新領域ニーズに対応する計測技術の高度化

活用現場の制限・規制を踏まえた専用技術の創造

航空・宇宙、エネルギーインフラ、プラントなどの現場では、国、省庁、地方自治体や各企業様が設定される法令やガイドラインが数多く取り巻く中で、時には複数の組織で運用されていることと思います。本研究では、実現場の状況を鑑み、計測技術の高度化に留まらない円滑な出口導出に資する開発を共同で実施してまいります。

LABORATORY

研究設備

レーザー誘起振動波による計測実証システム

LABORATORY 01

複数の機材による比較検討・実証試験系が可能

周囲への安全性を考慮し、レーザー光が外部に漏れないよう遮光ブース内において実証試験系を構築しています。振動を誘起するレーザー装置に加え、振動計測装置も複数の手法を比較検討できるよう常設しており、対象に応じた最適な評価手法を検討することが可能です。

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LABORATORY 02

大型重量試料にも対応した試験系も完備

産業用ロボットで構築された3軸自動ステージや、最大50 W出力が可能なレーザー装置による試験系も常設しており、低出力レーザーだけに固執しない比較的大型な重量物の評価も検証することが可能です。

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LABORATORY 03

高真空・雰囲気置換・温度変化に対応する試験系を構築

評価対象が晒される環境は様々であると推測しています。真空チャンバーにレーザー光が導入可能なシステムを所有しており、雰囲気の変化、温度変化に対応した試験系を構築しています。また、減圧だけでなく、陽圧環境下で評価可能な試験系も本プロジェクトで構築予定です。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

三上 勝大 近畿大学(講師)
経歴

■経歴

2015年4月 (公財) レーザー技術研究所 研究員
2015年6月 (国研) 日本原子力研究開発機構 特定課題推進員
2016年4月 (国研) 量子科学技術研究開発機構 博士研究員
2018年4月 同上 研究員
2019年4月 近畿大学 生物理工学部医用工学科 助教
2021年4月 同上 講師 (現職)
■実績
受賞:レーザー学会学術講演会第30回年次大会優秀論文発表賞

(2010年6月)
受賞:平成22年電気関係学会関西連合大会奨励賞 (2011年4月)
受賞:第34回 (2013年春季) 応用物学会講演奨励賞 (2013年8月)
その他実績はResarch mapをご覧ください。https://researchmap.jp/k-mikami

研究者からのメッセージ

「ほんの一部分だけレーザー技術に置き換えてみる」から始めてみませんか?

レーザー光は1900年代半ばに発明されて依頼、瞬く間に開発が進み、今となっては特定の業界・用途では必須の技術の一つとなりました。しかし、その運用難易度やコストの課題から未だに高嶺の花としての側面があるのも事実です。近年、様々な業界でレーザー装置が導入され、それに伴い全体的に導入障壁やコストが抑えられた製品が増えました。既存の「レーザー技術で実現可能かわからない」「とても採算があわない」「導入時のイメージが浮かばない」と言ったハードルを容易に越えれる環境が整いつつあると感じています。これまで、前所属では土木インフラ、現所属より医療や半導体業界を中心に本技術の研究開発に携わってきました。その中で、ご指導いただく中でも、「あっ、意外と測定できるんですね」「その装置であれば現場導入がイメージできます」「その程度のコストなら検討します」といったお声をいただきます。いきなり全てを刷新する必要はありませんので、まずは、どこか一部分をレーザー技術に置き換えてみることを検討されてみませんか?レーザー技術の発展に向け、そして、活用分野の裾野を広げるため、ご協力させていただければと思います。