化石資源からバイオマス資源への転換
石油や天然ガスなどの化石資源は自動車や航空機の燃料、衣類や化成品の原料などとして利用され、人類の経済活動の発展を支えてきた。しかし、その埋蔵量には限りがあり、枯渇が危惧されている。また、化石資源を消費することで副次的に生産されるものの中には、環境問題を引き起こす物質も多く確認されている。例えば、二酸化炭素は地球温暖化の要因として取り上げられ、また窒素酸化物や硫黄酸化物は、酸性雨・大気汚染などの公害問題の原因物質として問題となっている。これらの理由から、近年では化石資源の節制・保存を目的としてバイオマス資源への代替が注目されている。そこで本研究では、バイオマスの主成分であるリグノセルロースの化学変換により有用化成品を製造するための合成技術の確立を目指す。