2026年度掲載 seeds-009-0027 - 【関東】 非対称ジスルフィドの自在設計が拓く高機能材料
  • インフラ(資源・エネルギー)
  • 素材
  • ケミカル
  • 理学
  • 化学
  • 工学
  • 材料工学
  • 医歯薬学
  • 薬学
  • カーボンニュートラル
  • 環境保護
  • 廃棄物処理
  • 医療・ヘルスケア
  • 新素材/高付加価値素材
  • バイオテクノロジー
  • コスト削減
  • #ジスルフィド
  • #余剰硫黄
  • #切断性リンカー
  • #バイオコンジュゲーション
  • #循環型材料
  • #自己修復材料
  • #電池材料
  • #モジュラー合成

研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

余剰硫黄を高機能分子へ変える新しい合成基盤

非対称ジスルフィドを自在に作り、新たな循環型材料や切断性リンカーを拓く

2つの硫黄原子が繋がった「ジスルフィド結合」は、切断・交換・酸化還元に応答する性質を持ち、自己修復、再加工、易解体、薬物放出、蓄電などの機能を分子・材料に与えられる重要な構造です。本技術により、これまでアクセスできなかったケミカルスペースに存在するユニークなジスルフィド構造も簡便に構築できるようになるため、上記の機能を有する新奇な材料の開拓や、性質の調整が容易になることが期待できます。さらには、石油精製の過程で生成する余剰硫黄の活用にも接続することで、機能材料と豊富な資源のミスマッチを解消し、収益性の高い産業へと繋げることも目指します。

USE CASE

最終用途例

独自の分子設計基盤をもとに、循環材料・医薬・電池への利用を想定

USE CASE 01狙った環境で切れる医薬・バイオリンカー

APPLICATION

APPLICATION

切断型リンカー

私たちの方法で新たにアクセスが可能となったユニークなジスルフィドを基盤に、pHや還元環境に応じて、応答性良く切断できるリンカーを設計します。

MARKET

MARKET

DDS・ADC・バイオ医薬

血中では安定で、病変部位や細胞内で薬物を放出するリンカーは、薬効と安全性を左右する重要技術であり、性能の向上が求められています。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

薬効と安全性の両立

構造と切断速度の関係を詳細に検証し、薬物・抗体・ペプチドや用途に合わせて放出特性を調整できるリンカーを実現します。これにより薬効が高く副作用の少ない医薬品を可能にします。

USE CASE 02構造から容量・安定性を最適化する電池材料

APPLICATION

APPLICATION

有機硫黄系電池材料

硫黄数や置換基を精密に変えたジスルフィド・ポリスルフィドを設計し、電極材料としての特性を評価します。

MARKET

MARKET

次世代蓄電池・Li-S電池

高容量で安価な硫黄系電池では、活物質の溶解性や反応安定性を分子構造から制御する技術が求められます。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

高容量と長寿命の両立

容量、溶解性、反応速度、サイクル特性を構造と結び付け、安価で持続可能な次世代電池材料を目指します。

USE CASE 03必要なときに解体・再加工できる循環材料

APPLICATION

APPLICATION

易解体接着剤・再加工樹脂

非対称ジスルフィドをモノマーや架橋剤に組み込み、耐久性を保ちながら特定条件で解体・再加工できる材料を設計します。

MARKET

MARKET

樹脂・接着剤・高分子材料

長寿命化に加え、修理、部材分離、再加工、ケミカルリサイクルを可能にする材料への需要に応えます。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

頑丈さと分解性を両立

用途に応じて結合の交換・切断条件を調整し、使用中は安定で、回収時には解体しやすい製品を実現します。

STRENGTHS

強み

非対称ジスルフィドの構造自由度を飛躍的に広げる

STRENGTHS 01

両側に異なる機能を選択導入できるモジュラー型合成

独自の両側変換型試薬は、二つの反応点を条件に応じて順番に変換できます。異なる置換基を硫黄結合の両側へ選択的に導入し、多彩な非対称構造を短段階で構築できます。

STRENGTHS 02

混合物を避け、目的構造を合成できる

従来法では非対称な構造の選択的な合成は難しく、非対称体と対称体の混合物が生じるため、分離や構造展開が課題でした。本法は目的の非対称ジスルフィドを選択的に作れるため、材料候補を効率よく供給できます。

STRENGTHS 03

機能性モジュールを自在に集積

医薬分子、高分子、生体分子、環境応答性基などの機能性モジュールを部品のように組み合わせられます。多機能性分子を合成しやすい他、構造を細かく変えて性能を比較でき、用途に最適な分子を探索しやすくなります。

TECHNOLOGY

テクノロジー

二つの反応点を使い分ける独自のジスルフィド合成化学

TECHNOLOGY 01

両側変換型プラットフォーム試薬

独自に開発した新規ジスルフィド試薬は、同じS–S骨格上に反応性の異なる2種の脱離基を備えた試薬です。本試薬は、保存可能な固体試薬で匂いもなく非常に取り扱いやすい試薬です。本試薬の直交的な反応性により、二つの異なる炭素置換基を順番に導入し、対称体の副生を抑えて多様な非対称ジスルフィドを短段階で合成できます。

TECHNOLOGY 02

未開拓構造へ広がるモジュラー合成

本プラットフォームでは、医薬分子、生体分子、重合性官能基、環境応答性基などを機能性モジュールとしてS–S骨格の両側に配置する分子設計が可能です。実際に、アミノジスルフィドや、ジスルフィド結合を持つアミノ酸・ペプチドなど、既存法では合成例が限られる構造へ展開しています。置換基や周辺構造を変えた類縁体を系統的に供給し、切断性、動的結合性、酸化還元特性と分子構造の関係を評価することで、用途別の設計指針を構築します。

PRESENTATION

共同研究仮説

材料企業・製薬企業と用途別の最適構造を共同開発

PRESENTATION 01

切断型リンカーの共同開発

新奇構造を用いて安定性と薬物放出を最適化

これまで作れなかった新奇構造群の合成を行い、製薬、DDS、ADC、バイオ分野の企業と血漿安定性、pH・還元応答性、薬物放出等を評価します。使用環境と搭載分子に適した切断速度を持つリンカーの設計指針を確立します。

PRESENTATION 02

有機硫黄系電池材料の開発

硫黄数と置換基から性能を設計

硫黄数や置換基の異なるジスルフィド・ポリスルフィド候補を合成し、電池材料メーカーに容量、溶解性、反応安定性、サイクル特性を評価いただきます。構造と性能の相関を基に、高容量と長寿命を両立する候補を共同で探索します。

PRESENTATION 03

易解体・再加工材料の開発

分子構造と材料性能をつなぐ

非対称ジスルフィド型モノマー・架橋剤を設計・合成し、樹脂・接着剤メーカーに重合、成形、耐久性、解体性、自己修復性、再加工性を評価いただきます。企業材料を基盤に有望構造を絞り込み、試作・実装を目指します。

RESEARCHER

研究者

金本 和也東京科学大学 総合研究院 生体材料工学研究所 准教授(PI)
経歴

北海道大学で有機合成化学を学び、アステラス製薬で7年間、医薬品のプロセス化学研究に従事。東京医科歯科大学で博士号を取得後、中央大学、東北大学を経て、2026年より東京科学大学准教授(PI)。非対称ジスルフィド合成、ペプチド修飾、医薬品化学を研究。2025年有機合成化学協会奨励賞、2026年東京科学大学挑戦的研究賞・末松特別賞を受賞。

  • リサーチマップ

    https://researchmap.jp/kazuya_kanemoto

     

  • 専門領域

    有機合成化学
    有機硫黄化学
    医薬品化学
    ペプチド化学
    ケミカルバイオロジー

  • 共同研究の経験がある企業/業界

    創薬ベンチャー企業との共同研究の経験あり。製薬企業時代に、会社間での共同研究の経験あり。

研究者からのメッセージ

硫黄化学から新しい材料・創薬技術を一緒につくりたい

私たちは、これまで「作りにくい」ため十分に探索されてこなかった非対称ジスルフィドを、自在に設計・合成できる化学を開発しています。硫黄結合には、切断・再形成、酸化還元応答など、材料やライフサイエンスで活用できる多彩な性質があります。一方で、どの構造がどの用途に最適かは、まだ多くが未開拓です。私たちの独自技術によって切り開かれたケミカルスペースを用いて、材料化、DDS・ADC、バイオコンジュゲーション、試薬製造などの強みをお持ちの企業の皆様と、分子設計から評価・実装まで一緒に新しい用途を探索したいと考えています。また、石油精製の際に発生し、多くが安価に無加工輸出されている余剰硫黄の活用にも興味を持っています。これをジスルフィド型の高付加価値材料と結びつけることができれば、持続可能で高収益な産業を生み出せるのではないかと考えています。