2026年度掲載 seeds-009-0016 - 【四国】 フッ素フリーで「滑る・はじく・汚れにくい」表面をつくるポリシロキサンブラシコーティング
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

フッ素フリーで高機能な表面処理を実現する

「滑る・はじく・汚れにくい」を分子設計で両立

PFAS規制などを背景に、フッ素系材料への依存を低減する動きが広がっています。一方、タッチパネルや車載部材・機械部材では、防汚性だけでなく、低摩擦性、撥液性、耐久性も求められます。本研究では、基材表面にポリシロキサン鎖を高密度に固定した「分子のブラシ」を形成し、終端・側鎖構造、膜厚、グラフト密度を制御することで、フッ素フリーでもこれらの表面機能を高いレベルで両立する新しいコーティング技術の実現を目指します。

USE CASE

最終用途例

フッ素フリー表面処理で幅広い製品表面を高機能化

USE CASE 01タッチパネル・ディスプレイ

APPLICATION

APPLICATION

防指紋・防汚・低摩擦化

防指紋・防汚性と低摩擦性を両立し、視認性を維持しながら清掃負荷を低減し、良好な指滑りの実現を目指します。

USE CASE 02ベアリング等の機械部材

APPLICATION

APPLICATION

低摩擦・耐摩耗化

摺動部材に低摩擦性と耐摩耗性を付与し、摩擦によるエネルギー損失の低減と部材の長寿命化を目指します。

USE CASE 03フィルム・繊維

APPLICATION

APPLICATION

撥水・防汚機能の付与

フィルムや繊維表面に撥水性と防汚性を付与し、汚れの付着を抑制するとともに、洗浄・メンテナンス負荷の低減を目指します。

STRENGTHS

強み

ポリシロキサンの特性を活かした高機能表面の分子設計

STRENGTHS 01

低い表面自由エネルギー

ポリシロキサンはフッ素樹脂に近い低い表面自由エネルギーを有しており、撥液性や防汚性に優れた表面を設計するうえで有利です。

STRENGTHS 02

柔軟な主鎖

ポリシロキサンの主鎖(Si–O–Si)は高い分子鎖運動性を有しており、表面に形成したポリシロキサン鎖の柔軟な運動を活かして、低摩擦な表面の実現を目指します。

STRENGTHS 03

高い分子設計自由度

ポリシロキサンブラシの終端・側鎖構造、膜厚を制御することで、低摩擦性、撥液性、防汚性、耐久性を用途に応じて最適化できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

精密設計と簡便化を両立するポリシロキサンブラシ形成技術

TECHNOLOGY 01

grafting-from法による精密ブラシ形成

基材表面に導入した重合開始基から環状シロキサンモノマーを重合し、ポリシロキサン鎖を高密度に成長させるgrafting-from法を用います。ナノメートルスケールのブラシ層を形成し、終端や側鎖構造を精密に制御することで、低摩擦性、撥液性、防汚性などの表面機能を分子レベルで設計します。用途に応じてブラシ構造を最適化できることが特長です。

TECHNOLOGY 02

grafting-to法による簡便な表面形成

あらかじめ合成したポリシロキサンを基材表面に固定するgrafting-to法により、より簡便な表面処理プロセスを目指します。ポリマー濃度や分子構造、グラフト密度等を調整することで表面特性を制御し、繰り返し摩擦後も低い動摩擦係数を維持できる条件を検討しています。実用基材への展開を見据え、精密な分子設計と処理工程の簡便化の両立を目指します。

PRESENTATION

共同研究仮説

実用基材での共同評価を通じて社会実装を目指す

PRESENTATION 01

電子機器・ディスプレイ分野

実用ガラスで表面機能を共同評価

実用ガラス等を用いて、防指紋・防汚性、指滑り、耐摩耗性を共同評価します。製品に求められる性能を明確化し、ポリシロキサンブラシの分子構造や処理条件を最適化することで、実用化につなげます。

PRESENTATION 02

機械部材・軸受分野

実使用条件で低摩擦・耐久性を検証

実用部材と実使用条件で、摩擦係数、耐摩耗性、耐久性を共同評価します。荷重や相手材などの使用環境を踏まえて表面構造を最適化し、摩擦損失の低減と部材の長寿命化を検証します。

PRESENTATION 03

フィルム・繊維分野

実用基材で撥水・防汚性能を検証

実用フィルム・繊維を用いて、撥水性、防汚性、耐久性や既存加工工程への適合性を共同評価します。用途ごとの要求性能に合わせて材料構造・処理条件を最適化し、製品への適用可能性を検証します。

LABORATORY

研究設備

材料合成から表面特性評価まで一気通貫で実施

LABORATORY 01

材料合成・表面形成

ポリシロキサンをはじめとする高分子材料の合成から、基材表面への高分子ブラシ形成・表面改質まで、目的に応じた材料設計と試料作製を研究室内で実施できます。

LABORATORY 02

化学構造・材料構造の解析

合成した材料について、化学構造や分子構造、表面・薄膜構造などを解析し、分子設計や表面形成条件と材料構造との関係を評価できる研究環境を整えています。

LABORATORY 03

表面・摩擦特性の評価

摩擦特性、濡れ性、耐摩耗性など、機能性表面に求められる物性を評価し、材料の分子構造から表面機能までを一貫して検討できる体制を整えています。

RESEARCHER

研究者

原 光生香川大学 創造工学部 材料物質科学領域 准教授
経歴

2012年3月 名古屋大学大学院工学研究科 修了
      博士(工学)の学位を取得
2012年4月 名古屋大学大学院工学研究科 助教
2024年4月 香川大学創造工学部 准教授(現職)

  • リサーチマップ

    https://researchmap.jp/mhara

     

  • 専門領域

    高分子材料
    表面・界面
    分子組織化
    液晶
    有機無機ハイブリッド

  • 共同研究の経験がある企業/業界

    化学・素材、ガラス・表面処理、電子材料、粘着・機能性フィルム、医療機器、化粧品など、幅広い業界の企業との共同研究実績があります。高分子材料の設計・合成、表面・界面制御、機能性コーティング、物性評価を中心に、各企業のニーズに応じた材料開発を進めてきました。

研究者からのメッセージ

表面の分子設計から、新しい製品価値を一緒につくりたい

ポリシロキサンを中心とした高分子材料の分子設計と、表面・界面の機能制御に取り組んでいます。本研究では、フッ素系材料への依存を低減しながら、「滑る・はじく・汚れにくい」表面の実現を目指しています。研究室では、材料合成から構造解析、表面特性評価までを一気通貫で実施でき、これまでにも幅広い業界の企業と共同研究を進めてきました。実用基材や製品に求められる性能をお持ちの企業の皆様と、用途に応じた材料設計・評価を重ね、社会実装につなげていきたいと考えています。