下層構造に影響を与えない表層アブレーション処理への応用
フェムト秒レーザーを使ったアブレーション加工は、半導体、金属、有機材料など幅広い材料に適応できる特徴があります。様々な薄膜試料に対して系統的にレーザー加工を行い、材料がアブレーションされるしきい値を調査・整理することで、複数の材料からなる積層試料に対して、表層構造を選択的に除去する表層処理技術への展開が期待できます。例えば、大気圧下で実行可能なドライエッチングや、高感度材料の表面クリーニング、半導体リペア技術などが想定されます。
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ビジョン
フェムト秒レーザーを使ったアブレーション加工は、半導体、金属、有機材料など幅広い材料に適応できる特徴があります。様々な薄膜試料に対して系統的にレーザー加工を行い、材料がアブレーションされるしきい値を調査・整理することで、複数の材料からなる積層試料に対して、表層構造を選択的に除去する表層処理技術への展開が期待できます。例えば、大気圧下で実行可能なドライエッチングや、高感度材料の表面クリーニング、半導体リペア技術などが想定されます。
最終用途例
APPLICATION
本薄膜レーザー加工技術では、フェムト秒レーザーパルスが照射されるごく短時間のうちに加工が完了します。装置および試料は大気中で取り扱うことができ、試料の準備や加工の条件出しも簡単に実行できます。
APPLICATION
プラズマクリーニング等の手法ではダメージを受けてしまう繊細な試料でも、本レーザーアブレーション技術を応用することで表面洗浄処理を施すことができると期待されます。
強み
最先端のFIB技術を駆使しても、厚さが100 nm以下であるような薄膜の加工は難しい課題です。本技術では厚さが数100 nmの材料から、薄いものではグラフェンのような単原子層材料にも適用することができます。
テクノロジー
量子科学分野の研究の進展により、スピントロニクスやバレートロニクスといった物質の表面物性や、二次元結晶の電子物性を駆使する新しい工学分野が誕生しています。レーザーを利用する加工技術は、サブマイクロメートルスケールの微細穴あけ処理からミリメートルスケールの大規模パターニングまで柔軟に対応できるため、これら新技術領域に適用可能なスケーラビリティのある要素技術として期待されます。
共同研究仮説
本技術は、大出力のレーザーを使って材料を加工する従来のレーザー加工技術よりも、高品質のレーザーで描画やパターン露光を行うフォトリソグラフィに近い性質の光学装置を要求します。光学系設計や装置開発を通じて、本技術の確立を共に目指していただける企業様とご一緒できればと考えております。
電子顕微鏡法、走査プローブ顕微鏡法、ラマン分光など、精密分析技術の高度化に貢献する機能デバイスの作製も想定しております。本技術をイノベーション・シーズとして、新技術の開発に挑む企業様の提案もお待ちしております。
研究設備
加工用のYb系フェムト秒レーザ―(40 μJ)と、再生増幅Ti:サファイアレーザー(4 mJ)を保有しており、レーザーアブレーション現象の様々な基礎検証を行うことが可能です。
EDX付きのFE-SEM、FIB装置、STEM、高分解TEM、AFMや顕微ラマン分光装置など、微細構造物の観察に欠かせない多様な研究設備を利用することが可能です。
イベント動画
研究者
研究者情報については、JST科学技術振興機構のデータベースサービス「researchmap」をご参照ください。
https://researchmap.jp/yuukiuesugi