2021年度公募 seeds-1925 - 【中国・四国】 ナノ・マイクロ分析ツールとしてのナノダイヤモンド量子温度計
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VISION

ビジョン

ナノダイヤモンド量子温度計による温度測定・熱分析技術の開発

蛍光ナノダイヤモンドを利用して、ナノ・ミクロスケールの温度を測定する量子センシング技術

温度測定は工業技術の基礎ですが、ナノメートルからマイクロメートルという大きさでの温度測定には、現在も有用な手法が存在していません。電気抵抗や熱起電力から温度測定を行う一般的な接触式電子温度計では、素子の大きさが最小でも数十マイクロメートルに限られます。サーモグラフィーを用いれば非接触で温度計測ができますが、使用される赤外線波長が10マイクロメートル程度であるため、これより小さいスケールの温度計測を行うことは困難です。一方で、近年の半導体集積回路の超微細化やグラフェンなどの新規ナノ電子材料技術の発展により、微小領域でのジュール熱やペルチエ効果などを正確に測定することが必要となっています。また、バイオ分野などでもマイクロ流体チップ高速PCRの微細化やナノ加工食品の熱分析といった用途で温度計測のニーズが生じています。
私は、企業の研究者が量子センサ技術によるナノスケールの温度計測・熱分析技術を自身のラボで利用できるような試験機を開発して、半導体製造工程の温度管理や化粧品ナノ材料の熱分析技術につなげようと研究しています。

微小生物体内のリアルタイム温度計測

量子センサ技術は、特に、蛍光ナノダイヤモンド(蛍光ND)の電子スピン状態の量子操作を利用したセンシング技術です。私たちは特に温度測定に特化した実装技術開発をしています。私たちはこれまでに、生体内など動的な環境で温度精度を得る技術開発に成功し、幹細胞や線虫体内でのリアルタイム温度計測を実現してきました。

USE CASE

最終用途例

温度測定という基本測定技術として、広範な分野における利用が期待されます。

USE CASE 01レジスト薄膜の温度計則

APPLICATION

APPLICATION

半導体製造工程において、レジストそのものの温度が評価できれば、より信頼性の高い製造機が開発できます。

レジスト薄膜は300~30 nmと薄く、現在は、基板と環境の温度で温度制御を担保しています。もし、レジストそのものの温度が直接測れれば、より動的な工程の精密制御が可能となると期待されます。

USE CASE 02ナノ化粧品材料の熱分析

APPLICATION

APPLICATION

ナノ化粧品材料の皮膚組織上での熱分析ができれば、化粧品材料の正確な経時変化が調べられます。

化粧品などのナノ化(ナノ粒子、ナノカプセルなど)は、安定性や摂取率の向上のために重要です。実際の皮膚上などでの特性をミクロレベルで評価することで、より効果的な材料開発の知見が得られると期待されます。

STRENGTHS

強み

ナノ~マイクロメートルにおけるリアルタイム温度計測技術

STRENGTHS 01

動的な環境で高精度測定が可能な技術を保有しています。

これまでは、微生物体内の温度計測などに焦点を当ててきましたが、顕微鏡下での測定では、サンプルのふらつきなど、動的なノイズ要因が常に存在します。そのため、私たちの技術は、生体サンプル以外にも有用です。

STRENGTHS 02

顕微鏡とマイクロ波制御の融合技術

本手法は、蛍光顕微鏡とマイクロ波照射を用います。世の中のほとんどのマイクロ波技術は遠方場ですが、私たちは近傍場制御による独自技術で、ガラス上への照射アンテナ形成なども可能です。

TECHNOLOGY

テクノロジー

バイオだけでなく、広範な工業用途に適したナノ温度計

TECHNOLOGY 01

蛍光ナノダイヤモンド温度計測の特徴は、広い使用温度範囲・高耐久性・精密温度計測という3点です。

-100~700℃という広い温度範囲において精度0.1℃のナノスケール温度計測が可能な技術です。また、蛍光ナノダイヤモンドは化学的に非常に安定しているため、高い耐久性を有しています。

PRESENTATION

共同研究仮説

どこでも大事な温度センシング技術

共同研究仮説01

温度測定は汎用性が高く、様々な分野で利用例を見出すことができると思います。

温度測定はどの工業技術でも重要です。新しい利用可能性があればぜひご連絡ください。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

藤原正澄 岡山大学 学術研究院自然科学学域
経歴

学歴
2008年12月 大阪市立大学 大学院理学研究科 数物系専攻 後期博士課程 修了

 

職歴
2007年4月~208年12月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2009年1月~2014年9月 北海道大学 電子科学研究所 助教
2013年11月~2015年1月 ベルリン・フンボルト大学 物理学科 フンボルト財団奨学研究員
2015年2月~2015年3月 大阪市立大学 複合先端研究機構 特任助教
2015年4月~2016年9月 関西学院大学 理工学部 環境・応用化学科 任期制助教
2016年10月~2021年3月 大阪市立大学 大学院理学研究科 物質・分子系専攻 講師
2021年4月~現在 岡山大学 学術研究院自然科学学域 准教授

 

受賞歴
独国フンボルト財団フェローシップ (2013,受賞)
2015年堀場雅夫賞(2015,受賞)
H28年度文部科学省卓越研究員(2016,認定)
大阪市立大学若手研究者奨励賞「南部陽一郎記念奨励賞」(2020, 受賞)
日本光学会月刊誌「光学」2020年日本の光学研究(2021,選出)

研究者からのメッセージ

量子技術で役に立つ計測・分析技術をつくりたい

もともと、量子エレクトロニクス分野で量子コンピュータなどの研究をしていましたが、その分野で生まれたこのセンシング技術を実用的な分析手法にまで高めたいと思って研究をしています。