2021年度公募 seeds-1189 - 【北海道・東北】 嫌気性廃棄物処理の安定化/高速化のために重要な、微生物を効率的に保持する微生物保持促進剤を混合した微生物担体の開発
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VISIONビジョン

VISION

ビジョン

メタン生成古細菌を含む重要な微生物を保持できる微生物担体を開発し、嫌気性廃水処理の安定化や高速化の実現へ

独自開発した嫌気性処理に重要な微生物を効率的に保持できる新規微生物担体を用いて、嫌気性排水処理を安定化させる環境を確立

嫌気性処理では、有機物分解の過程においてプロピオン酸などの脂肪酸によって生成される中間代謝物の分解が安定した処理の要となるため、有機酸分解細菌とメタン生成古細菌を一緒に効率的に処理槽内に保ち続ける事が処理の安定化には重要です。(この脂肪酸の分解を担う微生物はメタン生成古細菌との共生関係が必要なため「嫌気共生細菌」と呼ばれています。)

これら脂肪酸分解嫌気共生細菌とメタン生成古細菌を一緒に、効率的に処理槽内に保持する事が嫌気性処理では重要なことから、新規微生物担体の開発がカギとなってきます。

本研究では、独自開発した嫌気性処理に重要な微生物を効率的に保持できる新規微生物担体(メタン生成古細菌を含む嫌気性処理に重要な微生物を効率的に保持できる導電性物質を混合した微生物担体)の技術を用いて、添加する導電性物質の最適な添加量や廃水・廃棄物の種類や処理方式に対応した微生物の種類、また実際の処理リアクターへの添加による効果の確認と長期的な効果の検証を行い、本担体の実用化を目指します。

USE CASE

最終用途例

既存の嫌気性排水処理の能力向上を実現し、バイオエネルギー創出へ

USE CASE 01幅広い領域の製造業/エネルギー業種等が導入済の嫌気性排水処理設備への研究技術適用(補助剤、等)

APPLICATION

APPLICATION

嫌気性排水処理能力向上の可能性

すでに多くの幅広い領域の製造業/エネルギー業種等で導入している嫌気性排水処理の設備に対し、処理能力を高める補助剤を開発することが出来れば、該当企業は大規模な投資をすることなく嫌気性排水処理能力を向上させることも夢ではありません。

USE CASE 02開発途上国の有機性排水問題に対応

APPLICATION

APPLICATION

環境負荷の軽減

例えば経済成長が目まぐるしいアジア地域で課題となっている有機性排水も、処理の過程で発生するメタンガスを燃料として利用できる嫌気性処理でなら、循環型の排水処理システムとしてバイオエネルギーの観点から環境への負荷が減らせます。

STRENGTHS

強み

独自開発の導電性物質入りゲル担体で嫌気性処理の効率と安定を図るとともに、廃棄物利用でコスト削減に寄与

STRENGTHS 01

PVA担体に添加する導電性物質の量を調査し、種類と保持微生物の調査から世界初の導電性物質入りゲル担体を生成

嫌気性排水処理に使われる有機酸分解菌とメタン生成古細菌の共生への導電性物質に着目し、担体に導電性物質を加えることで増殖しにくいとされていたこれまでの菌を安定して培養することに成功、嫌気性処理を効率化・安定化させられることを発見しました。

STRENGTHS 02

高価な素材の使い捨てからの脱却と廃棄物利用で幅広い領域の製造業/エネルギー業種等のコスト削減に寄与

使用する導電性物質をゲル担体に保持することで、これまでのような高価な素材を使い捨てる必要がなくなります。また、緑色凝灰岩という鉄分を多く含んだ石の粉末を使用することで、元来廃棄物とされてきた素材を廃棄物利用できるようになります。

TECHNOLOGY

テクノロジー

最適な微生物担体の開発と微生物植種技術の確立で、企業との共同研究で量産体制構築を目指す

TECHNOLOGY 01

最適な微生物担体の開発

PVA担体に添加する導電性物質にはマグネタイトや活性炭を利用、微生物保持担体の素材にはPVA 担体以外にもアルギン酸やPEGを基材とした担体、導電性のスポンジ、またPVA担体の作成条件など3 種類以上の条件で微生物保持担体を作成し、強度や温度に対する素材の安定性を確認して効果的な担体を検証します。

TECHNOLOGY 02

微生物植種技術の確立

リアクターの回復速度確認実験では、UASBリアクターを用いてpHを人為的に低下させることでプロセス破綻を起こし、①微生物担体を移植、②そのまま回復を待つ、の2パターンで実験し、微生物担体による有用微生物移植技術を検証します。

PRESENTATION

共同研究仮説

企業様との共同研究で、価格を抑えて安定・高速化した処理能力を備える嫌気性排水処理(メタン発酵)技術確立で社会貢献

共同研究仮説01

廃棄物再利用とバイオエネルギーを実現する嫌気性排水処理技術で社会的インパクトを創造

独自技術を基盤に、廃水・廃棄物の種類や処理方式に応じた適切な微生物群集の組み合わせによって嫌気性有用微生物含有担体を生成し、処理装置の新規立上げ期間/リアクタートラブルからの回復期間の半減を目指します。

RESEARCHER

研究者

幡本 将史 長岡技術科学大学 工学部 環境社会基盤工学専攻 環境マネジメント講座 准教授
経歴

准教授、環境マネジメント講座担当。2008年~2010年 広島大学大学院工学研究科 研究員、2010年~2012年 日本学術振興会 特別研究員、2012年~2015年 長岡技術大学工学部 環境・建築系 助教、2015年~2020年 同 産学融合トップランナー養成センター(環境) 特任准教授、2020年より現職。

日本水環境学会 年間優秀論文賞(2018年)、日本水環境学会 博士研究奨励賞(2008年)などを受賞。これまで163本の日英論文を発表。

また、日本微生物生態学会(2014年)/日本水環境学会(2020年)/日本工業出版(2020)等の雑誌で総説・解説を執筆。

日本水環境学会、日本微生物生態学会、国際水協会、日本生物工学会、土木学会 の会員。

研究者からのメッセージ

微生物を用いた環境浄化/環境保全技術の、基礎から応用まで幅広く研究しています。

生物学的排水処理技術やバイオマスからの資源回収技術の開発、環境中の微生物生態の解明のための微生物分離培養などを研究の柱とし、世界的な環境問題や地域課題を解決するための研究を行っています。